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米個人所得・消費支出(20年8月)-消費支出は前月比+1.0%と市場予想(+0.8%)は上回るも、3ヵ月連続で伸びは鈍化
経済研究部 主任研究員 窪谷 浩
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1.結果の概要:個人所得は市場予想を下回る一方、個人消費は予想を上回る
価格指数は、総合指数が前月比+0.3%(前月改定値:+0.4%)と+0.3%から上方修正された前月を下回った一方、市場予想(+0.3%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数も+0.3%(前月改定値:+0.4%)と+0.3%から上方修正された前月を下回った一方、市場予想(+0.3%)に一致した(図表6)。前年同月比は総合指数が+1.4%(前月改定値:+1.1%)と+1.0%から上方修正された前月、市場予想(+1.2%)を上回った。コア指数も+1.6%(前月改定値:+1.4%)と+1.3%から上方修正された前月、市場予想(+1.4%)を上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:経済対策効果の剥落で消費の伸びは鈍化

新型コロナ感染終息の目途が立たない中、労働市場の回復ペースが鈍化しているため、今後も消費が堅調な伸びを維持するためには、2回目の直接給付や失業保険の追加給付の再開などの追加経済対策が不可欠だろう。議会では野党民主党が多数を占める下院でこれらを盛り込んだ2.2兆ドル規模の追加経済対策を可決したが、与党共和党が多数を占める上院では可決の目途が立っていない。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数が5月の+0.5%を底に3ヵ月連続、物価の基調を示すコア指数も4月の+0.9%を底に4ヵ月連続上昇しているものの、両指数ともにFRBの物価目標(2%)を大幅に下回っている。9月のFOMC会合で示されたFRBの物価見通しは23年末に漸く2%に到達するとの見方が示されており、長期に亘り物価は抑制された状況が続くことが見込まれている。
3.所得動向:失業保険の追加給付が期限切れとなった影響が大きい
一方、労働市場の回復が持続する中で、賃金・給与が前月比+1.3%(前月:+1.3%)と前月並みの伸びを維持したほか、自営業者所得が+2.7%(前月:+1.2%)と前月から伸びが加速した。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、8月の名目が▲3.2%(前月:+0.3%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが▲3.5%(前月:横ばい)となり、名目、実質ともに前月からマイナスに転じた(図表3)。
4.消費動向:財・サービスともに前月から伸びが鈍化
財消費では、耐久財が+0.9%(前月:+2.2%)と伸びが鈍化したほか、非耐久財が▲0.1%(前月:+1.0%)とマイナスに転じた。
耐久財では、家具・家電が+0.4%(前月:▲0.1%)とプラスに転じた一方、自動車・自動車部品が+2.0%(前月:+2.9%)と伸びが鈍化したほか、娯楽財・スポーツカーが▲0.2%(前月:+0.8%)とマイナスに転じた。
非耐久財では、衣料・靴が+0.3%(前月:▲0.5%)とプラスに転じたものの、ガソリン・エネルギーが+1.8%(前月:+10.1%)を伸びが大幅に鈍化したほか、食料・飲料が▲0.9%(前月:+0.2%)とマイナスに転じた。
サービス消費は、外食・宿泊が+7.1%(前月:+3.4%)、娯楽サービスが+4.1%(前月:+3.8%)と伸びが加速した一方、輸送サービス+1.8%(前月:+7.6%)、医療サービスが+1.2%(前月:+2.5%)住宅・公共料金が+0.1%(前月+0.7%)と伸びが鈍化した。
5.価格指数:前月比ではエネルギー価格が3ヵ月連続で物価を押し上げ
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(2020年10月02日「経済・金融フラッシュ」)
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