2020年09月10日

ロシアGDP(2020年4-6月期)-▲8.0%の急減速も、金融危機よりは軽微

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:4-6月期は前年同期比▲8.0%の急減速

9月9日、ロシア連邦統計局は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。

【実質GDP成長率(未季節調整系列)】
2020年4-6月期の前年同期比伸び率は▲8.0%、予想1(同▲8.5%)から上振れ、前期(同+1.6%)から急減した(図表1・2)

(図表1)ロシアの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ロシアの実質GDP成長率(供給項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:金融危機時よりは軽微

今回の結果は、8月11日に公表されていた予備推計値(前年同期比▲8.5%)から上方修正された形となった。

同時に公表された産業分類別の伸び率を見ると(図表3)、4-6月期は多くの産業で大幅マイナスとなった。プラスを維持したのは、「第一次産業」「金融」「政府サービス」のみであり、他方、「飲食・居住サービス」は前年同期比▲56.9%、「自家利用2」が同▲46.0%、「その他サービス」が同▲28.6%、「文化・芸術サービス」が▲28.0%とサービス産業を中心に激しい落ち込みとなった。

3月下旬以降の厳しい封じ込め政策(非労働日の設定)により多くの産業が活動停止を余儀なくされており、なかでもモスクワ市では対面サービス産業がほぼ6月いっぱいまで営業ができなかったことから、こうした産業が大きく落ち込んだと見られる。
(図表3)ロシアの実質GDP成長率(産業別)
 
2 自家利用の財・サービス。便宜的に第三次産業(その他)に含めた。
季節調整系列では4-6月期は前期比▲3.2%(前期は同▲0.9%)であった(図表4)。また、需要別の4-6月期のデータは現時点で公表されていないが、行動制限を伴う措置が講じられたことから内需・外需ともに幅広い項目で落ち込んだものと見られる。ただし、世界金融危機時の落ち込み(09年1-3月期▲9.2%、4-6月期▲11.2%、10-12月期▲8.6%)よりは減速幅が軽微で、世界的に見ても経済の落ち込みが相対的に小さかったと言える(図表5)。
(図表4)ロシアの実質GDPの動向(需要項目別)/(図表5)各国政府のロックダウンと成長率
ロシアの4-6月期の成長は急減速したものの、足もとでは封じ込め政策が緩和されており、経済活動も回復傾向にある。ただし、月次データでは、消費活動と比較して生産活動の戻りが鈍く、世界的な原油需要の低下とそれに伴う減産で回復力が弱くなっていると見られる(図表6)。
(図表6)ロシアの小売売上高・鉱工業生産 ロシアの場合は、上半期の減速は相対的に小さかったが、世界的な需要低迷が長期化すれば、下半期以降も回復力が弱い状況が続く可能性がある。また、エネルギー供給で結びつきの深い欧州諸国と、ベラルーシの大統領選やロシア反体制派指導者の毒殺未遂疑惑などで対立を深めている。欧州とロシアの経済的な関係にも影響を及ぼすような措置が講じられるようであれば、経済回復を阻害する要因となるため注意が必要と言えるだろう。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、国際経済

(2020年09月10日「経済・金融フラッシュ」)

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