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「福岡オフィス市場」の現況と見通し(2020年)~新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえた市場見通し
金融研究部 主任研究員 吉田 資
1. はじめに
2. 福岡オフィス市場の現況
三幸エステートによると、福岡市の空室率(2020年6月末)は低下傾向で推移しており、2.4%となった(図表-1)。福岡市では、2010年以降、オフィスの新規供給量は、年間10,000坪を上回ることはなく、低水準に留まっている。一方、事務所の新規開設や拡張移転が活発であり、需給は逼迫している。しかし、空室率を規模1別にみると、移転集約等を受け皿となる「大規模ビル」は1.2%(前年比▲0.1%)と低水準での推移が続いている一方、「小型ビル」は8.0%(前年比+1.6%)、「中型ビル」は3.9%(前年比+0.5%)と上昇しており、規模間で格差がみられる。
募集賃料は、需給の逼迫を受けて、2020年6月末時点で13,500円/月・坪(前年比+17.4%)と大幅に上昇した(図表-2)。
1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
三鬼商事によると、福岡ビジネス地区では、総ストックを表す賃貸可能面積は、新規供給量が限定的であったことに加え、「福岡ビル」をはじめとして、再開発および建て替えに伴うビルの取り壊し(滅失)が進んだことで、69.8 万坪(2018 年末)から69.4万坪(2019 年末)へと減少した。
テナントによる賃貸面積は、2010年以降、9年連続で増加していたが、昨年は68.4万坪(2018 年末)から68.0 万坪(2019 年末)へと減少した(図表-3)。この結果、2019年末の福岡ビジネス地区の空室面積は1.4万坪となり、ファンドバブル期のボトムである5.1万坪(2009年末)の1/3以下の水準まで減少している。
三鬼商事によると、2019年末時点で最も賃貸可能面積が大きいエリアは、「博多駅前地区(23.1%)」で、次いで「天神地区(22.7%)」、「博多駅東・駅南地区(16.1%)」、「祇園・呉服町地区(15.9%)」、「薬院・渡辺通地区(12.1%)」、「赤坂・大名地区(10.1%)」の順となっている(図表-5)。
賃貸可能面積は、「祇園・呉服町地区」(前年比+1.6千坪)や「赤坂・大名地区」(+1.4千坪)、「博多駅前地区」(+1.1千坪)で増加したが、「福岡ビル」の建て替え等に伴い「天神地区」(▲7.5千坪)では大幅に減少し、エリア合計で▲3.4千坪減少した。
一方、賃貸面積は、「天神地区」(前年比▲6.4千坪)と「赤坂・大名地区」(▲0.1千坪)で減少し、合計▲3.7千坪の減少となった。結果、空室面積は、合計+0.3千坪増加した(図表-6)。
3. 新型コロナウィルスの感染拡大がオフィス需要に及ぼす影響
2 企業の景況感が前期と比較して「上昇」と回答した割合から「下降」の割合を引いた値
(2020年08月19日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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