- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- 新型コロナで住宅市場は更に減速、ホテル・商業は厳しさを増す-不動産クォータリー・レビュー2020年第2四半期
2020年08月13日
1. 経済動向と住宅市場
未だ終息の見えないコロナ禍によって厳しい経済ショックに見舞われるなか、各種経済対策が打ち出されてはいるが、幅広い分野での需要急減の影響は、不動産市場においても顕在化しはじめている。
8/17に公表予定の2020年4-6月期の実質GDPは前期比▲8.1%(前期比年率▲28.8%)と3四半期連続のマイナス成長になったと推計される1。緊急事態宣言の発令に伴う外出自粛や店舗休業の影響で、民間消費や住宅投資が大幅減少となったほか、企業収益の悪化から設備投資が落ち込み、外需もマイナス寄与となる見通しである。7-9月期はプラス成長を見込むが、7月に入り新型コロナウイルスのPCR検査での陽性者数が再増加していることもあり、経済活動の正常化が遅れている。
経済産業省によると、4-6月期の鉱工業生産指数は前期比▲16.7%とリーマン・ショック後の2009年1-3月期(前期比▲20.5%)以来の大幅減産となった(図表-1)。7月以降は回復に向かい最悪期は脱したものの、直近のピークである20年1月よりも1割以上低い水準にとどまり、フル稼動には遠い状態が継続する見通しである。
ニッセイ基礎研究所は、6月に経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は2020年度▲5.4%、2021年度3.6%を予想する(図表-2)2。外出自粛やソーシャルディスタンスの確保が外食・旅行・娯楽などの支出を抑制することや、倒産や失業者の急増などによりV字回復のための経済基盤が損なわれつつあることから、経済活動が元の水準に戻るまでにはかなりの時間を要する見通しである。
8/17に公表予定の2020年4-6月期の実質GDPは前期比▲8.1%(前期比年率▲28.8%)と3四半期連続のマイナス成長になったと推計される1。緊急事態宣言の発令に伴う外出自粛や店舗休業の影響で、民間消費や住宅投資が大幅減少となったほか、企業収益の悪化から設備投資が落ち込み、外需もマイナス寄与となる見通しである。7-9月期はプラス成長を見込むが、7月に入り新型コロナウイルスのPCR検査での陽性者数が再増加していることもあり、経済活動の正常化が遅れている。
経済産業省によると、4-6月期の鉱工業生産指数は前期比▲16.7%とリーマン・ショック後の2009年1-3月期(前期比▲20.5%)以来の大幅減産となった(図表-1)。7月以降は回復に向かい最悪期は脱したものの、直近のピークである20年1月よりも1割以上低い水準にとどまり、フル稼動には遠い状態が継続する見通しである。
ニッセイ基礎研究所は、6月に経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は2020年度▲5.4%、2021年度3.6%を予想する(図表-2)2。外出自粛やソーシャルディスタンスの確保が外食・旅行・娯楽などの支出を抑制することや、倒産や失業者の急増などによりV字回復のための経済基盤が損なわれつつあることから、経済活動が元の水準に戻るまでにはかなりの時間を要する見通しである。
2. 地価動向
3. 不動産サブセクターの動向
三幸エステート公表の「オフィスレント・インデックス」によると、2020年第2四半期の東京都心部Aクラスビル賃料(月坪)は38,871円(前期比+0.3%)となった。Aクラスビルの空室率が7期連続で1%を下回り引き締まった需給環境のなか、賃料は4万円を目前にしての天井感が続いている(図表-10)。
ニッセイ基礎研究所は、東京都心部A クラスビルの賃料見通しを5月に改定した5。Aクラスビルの成約賃料は、空室率の上昇に伴い2020 年末に3.7 万円台、2024年末に3.6万円台へ下落すると予測する。2019 年末の水準と比較して▲14%下落するものの、2017年の賃料水準(34,599 円)と同水準に留まる見通しである。
ニッセイ基礎研究所は、東京都心部A クラスビルの賃料見通しを5月に改定した5。Aクラスビルの成約賃料は、空室率の上昇に伴い2020 年末に3.7 万円台、2024年末に3.6万円台へ下落すると予測する。2019 年末の水準と比較して▲14%下落するものの、2017年の賃料水準(34,599 円)と同水準に留まる見通しである。
(2020年08月13日「不動産投資レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1853
経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
渡邊 布味子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/09/11 | 不動産投資市場動向(2024年上半期)~外資の取得額が減少するも、全体では高水準を維持 | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
2024/09/06 | 東京オフィス市場は賃料の底打ちが明確に。物流市場は空室率高止まり-不動産クォータリー・レビュー2024年第2四半期 | 渡邊 布味子 | 基礎研マンスリー |
2024/08/09 | 東京オフィス市場は賃料の底打ちが明確に。物流市場は空室率高止まり-不動産クォータリー・レビュー2024年第2四半期 | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
2024/07/29 | 首都圏中古マンション市場動向(2024年6月)~成約価格上昇と成約件数増加が継続。東京では新規成約率の改善と在庫戸数の減少が目立つ | 渡邊 布味子 | 基礎研レター |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年09月18日
日銀短観(9月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは1ポイント低下の12と予想、価格転嫁の勢いに注目 -
2024年09月18日
欧州経済見通し-景況感の回復に乏しく、成長は緩慢 -
2024年09月18日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その8)-リサージュ曲線・バラ曲線- -
2024年09月18日
貿易統計24年8月-円高、原油安で先行きの貿易赤字は縮小へ -
2024年09月18日
TikTokによる児童の個人情報違法収集事件-米国連邦政府による提訴
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【新型コロナで住宅市場は更に減速、ホテル・商業は厳しさを増す-不動産クォータリー・レビュー2020年第2四半期】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
新型コロナで住宅市場は更に減速、ホテル・商業は厳しさを増す-不動産クォータリー・レビュー2020年第2四半期のレポート Topへ