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政治的不安定が続く韓国の社会政策に対する考察-社会保障や労働市場関連政策を中心に-
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
- 韓国の政治体制は日本と異なり、国民が直接選挙で大統領を選ぶ大統領制を採用しており、任期は5年で再選(重任)を禁じている。
- 再選が認められておらず、政策の実施時期が短いことに加えて、各政党の政策思想は「保守」と「進歩」にはっきり分かれており、政治的対立が続いている。
- さらなる問題は、政権が変わる度に、実施しようとする中心政策が大きく変わっていることである。つまり、軍事政権や保守系政権は企業を中心とする経済政策に重みを置くことに比べて、進歩系政権は労働者や社会保障政策を重視する傾向が強い。
- しかしながら、最近は、企業を中心とするビジネスフレンドリー政策を実施しても、経済成長率が期待したほど上がらず、一方、労働者を中心とする社会保障政策を強化しても、格差問題が大きく改善されていない。その理由としては、韓国経済が内需よりも輸出に強く依存しており、外部要因の影響を受けやすいこと、クラウドワーカーなど既存の制度では解決できない新しい貧困や格差が生まれていること、政権が頻繁に変わっており、制度の継続性が乏しくなったことなどが考えられる。
- 本稿では、軍事独裁政権である朴正熙政権から最近の文在寅政権に至るまで、政策思想が異なる各政権が、どのような社会保障政策や労働市場政策を実施してきたのかを見てみた。
■目次
・政治思想により変わる政策、制度の長期的・効率的実施が難しい
・軍事独裁政権、朴正熙政権時代の社会政策
・クーデターで政権を奪取した、全斗煥・盧泰愚軍事政権時代の社会政策
・文民政権、金泳三政権時代の社会政策
・進歩系の金大中政権時代は「生産的福祉」
・進歩系の盧武鉉政権時代は「参与福祉」
・保守系の李明博政権はビジネスフレンドリー政策を実施
・保守系の朴槿恵政権、政策の効果現れず弾劾に
・進歩系の文在寅政権、所得主導成長論に基づいた労働政策や社会保障政策を実施
・今後の韓国の政権交代や政策運営に注目したい
(2020年08月06日「基礎研レポート」)
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生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
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