2020年08月06日

ウィズコロナ・アフターコロナの働き方へ期待すること

基礎研REPORT(冊子版)8月号[vol.281]

生活研究部 主任研究員   久我 尚子

働き方改革 消費者行動 などの記事に関心のあるあなたへ

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1―新型コロナで進む在宅勤務シフト

ビフォーコロナと大きく変わったことの1つに「働き方」がある。

緊急事態宣言の発令による外出自粛を受けて、企業等ではテレワークによる在宅勤務へと大きく舵が切られた。

既に緊急事態宣言は解除され、経済活動は再開されたが、ウイルスとの戦いは続いている。また、そもそもテレワークをはじめとした柔軟な就労環境の整備は「働き方改革」で進められてきた流れだ。

緊急事態下では、突発的な対応となった企業も多いだろうが、今後、自社にとってのデジタル(テレワークで在宅勤務)とリアル(オフィスへ出社)の最適なバランスを模索しながら、在宅勤務を併用する働き方が定着していくと見られる。

2―在宅勤務の増加で成果主義へ

在宅勤務が増え、オフィスへの出社が減れば、勤務管理や評価制度の仕組みを見直す必要が生じる。従来、日本企業で見られてきた時間管理を土台とした形から、欧米の成果主義型へと移行していくことが考えられる。

在宅勤務環境が整えられ、成果主義型へと移行すると、働く時間や場所の制約が弱まり、働き方は多様化する。

つまり、成果を出せば、あるいは、あらかじめ決められたタスクをこなすのであれば、9時から17時までオフィスで働くといった一律の形ではなく、都合の良い時間に都合の良い場所で働くことが認められやすくなるだろう。

3―多様な人材の活躍が期待

働き方が多様化すれば、労働市場で多様な人材が活躍できるのではないかと期待している。例えば、出産・育児などを理由に退職していた女性があげられる。

近年、「女性の活躍推進政策」として仕事と家庭の両立環境の整備が進められたことで、М字カーブの底上げが進んでいる。しかし、依然としてM字のへこみは存在しており、出産後に退職する女性も少なくない。

一方で、女性で働いていないが就業希望のある割合をМ字カーブに足しこむと、実は、М字のへこみはおおむね解消する。[図表1]
[図表1]女性の労働力率と就業希望率(2019年)
働いていない理由は「出産・育児のため」(30.3%)や「適当な仕事がありそうにない」(27.7%)が多い。なお、「適当な仕事がありそうにない」理由について詳しく見ると、このうち4割は「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」というものだ。

緊急事態宣言下で、多くのオフィスワーカーが在宅勤務を主とする働き方となった。このような働き方であれば、仕事を辞めなくても続けられると感じた女性もいるのではないか。また、介護との両立でも同様のことが考えられる。

4―働き方が変われば価値観も変容

働き方が変われば、働き手の価値観も変わる。そうなれば、長時間働けるほうが評価されやすいといった慣習も薄まり、男性の育休取得などにも影響を及ぼすのではないか。

新入社員の男性の育休取得意向は2017年で約8割を示す[図表2]。一方で、男性の育休取得率は国家公務員でも2割にとどまる。調査対象層が異なるとはいえ、意向と実態には乖離があるようだ。

この背景には、組織にも個人にも、依然として「家事育児は女性が主としてやるもの」といった旧来型の価値観が根強く残っていることがあるのだろう。

新型コロナの感染拡大によって、雇用環境は甚大な負の影響を受けている。一方で、予期せずして、価値観が様変わりするような状況が訪れたことで、遅々として進まなかった変革が進むという正の側面もあるのではないか。
[図表2]新入社員男性の育休取得意向と男性の育休取得率
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生活研究部   主任研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、保険・金融マーケティング

(2020年08月06日「基礎研REPORT(冊子版)」)

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