2020年07月31日

欧州に忍び寄るコロナ第2波- 過去の危機の教訓は生かせるか?

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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■要旨
 
  1. 欧州でも、感染拡大の「第2波」の兆候が見え始めるようになった。回復までに時間が掛かる場合には、政策で失業や企業の破綻を抑え続けることは次第に難しくなる。
     
  2. ユーロ圏では、コロナ前の2つの危機では、固定資本投資の水準が大きく低下し、失業率も危機前の水準に届くまでに長い時間を要した。
     
  3. 今後は、政策の見直しによる失業の急増を抑えつつ、新規雇用が見込まれる成長分野への労働力のシフト、投資を成長分野に向かわせることが今後の課題となる。
     
  4. 銀行は、コロナ危機への初期対応で経済の支え手として機能したが、今後は、与信費用を吸収し、経済を支える役割を果たせるかが問われる。
     
  5. コロナ危機の影響と政策対応力のミスマッチが、コロナ前からの圏内格差を増幅するおそれもある。
     
  6. EUのコロナ危機対応は、過去の2つの危機への対応に比べて、より速やかで、積極的だ。危機の性質の違いばかりでなく、過去の危機対応による規制・制度改革の蓄積があったこと、失敗が教訓となり、危機意識が働いたことがある。
     
  7. 復興基金は、コロナ危機を、欧州グリーンディールで掲げるグリーン化、デジタル化による経済・社会構造の転換への契機に変えるためのものだ。その成功の面でも、成長資金の供給役が期待される金融システムの安定の面でも、鍵を握るのは底上げだ。
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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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