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- 欧州の新たな危機-ドイツの大規模財政出動だけではコロナ危機は克服できない
2020年03月26日
■要旨
■目次
1――広がり長引くロックダウン(封鎖措置)
2――リーマン超えが見込まれる経済活動への打撃
1|深いマイナス成長が見込まれる20年上半期
2|見込み難いV字型回復
3――コロナ・ショックへの欧州の対応
1|中央銀行の対応
2|各国政府の対応
-与野党対立超えて速やかな動き。財政ルール緩和でも信用力の差は制約となる
3|EUとしての動き-「コロナ債」など既存の枠組みを超えた対応に動けるか
4――おわりに-岐路に立つEUは世界経済の縮図
- 欧州は新型コロナウィルスの急激な感染拡大による新たな危機に直面している。コロナ・ショックは、経済の落ち込み幅だけでなく、生産や雇用の水準の回復に要する時間でも、リーマン・ショックを超えるおそれがある。
- ユーロやEUの持続可能性が危ぶまれる事態を回避する鍵は危機対応での「連帯」と「協調」にある。
- リーマン・ショックやユーロ圏の債務危機で大きな役割を果たしたECBの初動には問題があったが、臨時理事会での追加措置で修正された。ECBは、今回も、流動性の危機が生じないよう、資金供給に万全を尽くす重大な役割を担うが、行動制限による経済活動の委縮や公衆衛生上の危機に果たせる役割は限定される。
- 欧州各国の緊急経済対策の当初の動きは「連帯」や「協調」という面で問題が大きかったが、「協調」を演出するようになってはいる。EUは、コロナ危機対応の財政支出は、財政ルールの適用外とすることを決めたが、信用力の問題からは逃れられない。直面している経済や雇用の危機に十分な対応を講じられないリスクが気掛かりだ。
- EUには、本来、国力の格差を調整する役割が期待されるが、これまでは受け身の立場に留まっている。EUのGDPの0.3%相当と小粒な「コロナ対策投資イニシアチブ」、ESMの活用に留まらず、コロナ危機対応の財源をEU加盟国が共同で調達する「ユーロ圏共通債」あるいは「コロナ債」発行といった展開になれば、EUの結束の象徴となり、復興のペースも速まる。しかし、「戦時下」と表現されるコロナ危機との戦いでも、今のところ、共通債発行を巡る南北間の見解の対立の構図は変わっていないようだ。
- EUは、果たしてコロナ危機に「連帯」と「協調」で対応できるのか。岐路に立つEUは世界経済の縮図でもある。
■目次
1――広がり長引くロックダウン(封鎖措置)
2――リーマン超えが見込まれる経済活動への打撃
1|深いマイナス成長が見込まれる20年上半期
2|見込み難いV字型回復
3――コロナ・ショックへの欧州の対応
1|中央銀行の対応
2|各国政府の対応
-与野党対立超えて速やかな動き。財政ルール緩和でも信用力の差は制約となる
3|EUとしての動き-「コロナ債」など既存の枠組みを超えた対応に動けるか
4――おわりに-岐路に立つEUは世界経済の縮図
(2020年03月26日「基礎研レター」)
03-3512-1832
経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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2024/09/18 | 欧州経済見通し-景況感の回復に乏しく、成長は緩慢 | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
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