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中国経済の見通し-新型肺炎で1-3月期の成長率は急減速も、その後はV字回復となり、20年は5.6%と予想
三尾 幸吉郎
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- 19年の中国経済の成長率は実質で前年比6.1%増と、前年の同6.7%増を0.6ポイント下回り、2年連続の減速となった。また、10-12月期の成長率は実質で前年比6.0%増と前四半期から横ばいで、6四半期ぶりに減速に歯止めが掛かった(左下図)。但し、足元では新型肺炎(COVID-19)の感染拡大が経済活動のさまざまな面に暗い影を落としている。
- 需要項目別に見ると、個人消費の代表的な指標である小売売上高は19年通期で前年比8.0%増の約41兆元で18年の同9.0%増を1.0ポイント下回り、投資の代表的な指標である固定資産投資は前年比5.4%増の約55兆元で18年の同5.9%増を0.5ポイント下回った。また、輸出(ドルベース)は前年比0.5%増の約2.5兆ドルで18年の同9.9%増から伸びが鈍化した。そして、足元では新型肺炎の感染拡大が個人消費を抑制し、輸出の足かせとなる恐れが生じた。
- 新型肺炎の影響に関しては、初期段階での封じ込めには失敗したものの、その後は湖北省を都市封鎖するなどの強硬策に転じ、ここもと新たに感染が確認された人数を、治療を終えて退院した人数が上回り、現存感染者数は減少し始めている。これを背景に、中国政府は農民工などのUターンを急いでいる。そして、湖北省以外では3月にも、湖北省でも4月には正常化する道筋が見えてきた。但し、農民工などのUターンで再び現存感染者数が増加する恐れは残る。
- 以上のような状況を踏まえると、20年1-3月期の成長率は前年比3.6%前後へ急減速すると見られる。しかし、新型肺炎の現存感染者数が減少傾向を維持したまま、農民工などが無事に職場復帰すれば、製造業では生産の遅れを取り戻そうとする力が働き、ペントアップ需要が顕在化する上、中国政府による景気対策も期待できるため、景気はV字回復するだろう(右下表)。但し、新型肺炎の先行きは予断を許さないため、状況変化に応じた機動的な見直しが必要。
(2020年02月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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