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- 動き出した欧州グリーンディール-新しさと既視感。日本も無関係ではない-
2020年02月14日
■要旨
- 欧州グリーンディールは、19年12月に本格的に始動したEUの新体制の最優先課題だ。
- 「2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロ」を拘束力のある目標とし、「資源効率的で競争力のある公正で繁栄した社会に変えることを目指す新たな成長戦略」である。
- 欧州グリーンディールは様々な要因に後押しされている。EU市民の間でも気候変動への危機意識は高まっており、EU懐疑主義への対抗策ともなる。雇用維持と国際競争力向上につながる成長戦略としての期待もある。米中の二大国がリードするデジタル化では「守り」の戦略をとらざるを得ないEUが、グリーン化で「攻め」、世界をリードしようという野心もある。
- EUの過去の2回の成長戦略が不発に終わったため、欧州グリーンディールに既視感があり、目標が達成できるのか疑問がわいてくる。成長や雇用への悪影響よりも懸念すべきは格差の一層の拡大だが、政策手法の見直しとEU、さらに地球環境への危機意識から、予想以上の成果を上げるのかもしれない。民間資金の「呼び水」として期待されるEU予算の中期枠組みの議論を試金石として注目したい。
- 「ブリュッセル効果」と言われる規制当局としてのEUの影響力を発揮して、世界を動かすことも「欧州グリーンディール」の一環だ。日本も無関係ではいられない。
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