2019年03月11日

欧州経済見通し-リスク・シナリオはドイツ主導の景気後退

経済研究部 主席研究員   伊藤 さゆり

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■要旨
  1. ユーロ圏では、18年秋から19年初にかけて景気が急減速し、足もとも低調に推移している。国別にはドイツとイタリア、産業別には製造業がブレーキを掛けている。
     
  2. ユーロ圏経済の急減速は、外部環境の悪化という外圧とユーロ圏固有の特殊要因の相乗効果が働いた結果だ。外圧となったのは米中摩擦、中国経済の減速、半導体市場の循環、米国の財政政策を巡る懸念、世界的な株安などだ。これらにユーロ圏固有の特殊要因として、新たな乗用車の排出ガス試験制度(WLTP)導入、フランスの「黄色いベスト」運動の広がり、政権交代したイタリアの信用リスクへの警戒感の高まりなどが加わった。
     
  3. ユーロ圏経済に急ブレーキをかけた要因のうち幾つかは、政策対応の進展もあり、すでに影響が緩和しているか、先行きの緩和が見込まれる。
     
  4. しかし、半導体市場の底入れにはまだ時間を要する見通しであり、その他の域外のリスクも解消した訳ではない。ユーロ圏内の特殊要因が景気拡大の妨げとなる可能性も常にある。英国のEUを巡る不透明感もユーロ圏の重荷だ。
     
  5. メイン・シナリオでは、緩和的な金融環境、財政のやや拡張的なスタンスと自動安定化効果、圏内の雇用所得環境の改善が支えとなり、景気後退を回避すると見ている。2019年の実質GDPは前年比1.0%、インフレ率は1.3%と予測する。
     
  6. 見通しは外部環境次第の面があり、不確実性が高い。リスク・シナリオは、製造業と域外輸出依存度が突出して高いドイツ主導の景気後退だ。ECBの追加緩和には限界がある。リスク・シナリオでは、結果としてドイツ発の協調的財政政策が実現し、長年にわたりユーロ圏の構造問題とされてきたドイツの過剰貯蓄体質が改まるかもしれない。
ユーロ圏経済見通し
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経済研究部   主席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

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