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- 2019年の欧州のリスク-外的リスクに弱く、政策対応力に不安
2018年11月21日
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■要旨
- ユーロ圏の景気拡大ペースは鈍っているが、このまま景気後退局面入りするとは見られていない。ECBは予定通り、12月末で国債等の純買い入れを停止するだろう。
- 牽引役を果たしてきたドイツでは輸出、製造業の勢いが鈍り、7~9月期はマイナス成長となったが、設備投資や建設投資は好調、建設業やサービス業も堅調を保っている。
- ユーロ圏全体でも、雇用・所得環境の改善は続いており、個人消費は、原油と食品の物価の押し上げ圧力の緩和とともに持ち直すと見られる。製造業、サービス業ともに稼働率は長期平均で見て高い水準を保っており、設備投資の拡大も続くと期待される。
- しかし、見通しの不確実性は高まっている。ユーロ圏は、開放度が高く、未解決の構造問題を抱え、政策対応力に限界があることから外的な下振れリスクの影響を受けやすい。
- 外的な下振れリスクのうち、通商摩擦の影響を受けやすいのはドイツだ。米中貿易戦争の間接的影響ばかりでなく、自動車と自動車部品への追加関税のリスクも消えていない。
- 金融市場の緊張の高まりの影響を受けやすいのは、過剰な債務、銀行システムの脆弱性、競争力が低い国々であり、その代表格がイタリアだ。暫定予算案を巡るイタリア政府とEUの対立は、EUにとっても反EU機運を高める副作用を伴う。
- 2019年はEUにとって大きな転換点となる年だ。英国がEUを離脱、欧州議会の構成、EU機関のトップの顔ぶれも変わる。独仏の指導力の低下が危機対応力の低下につながるリスクも懸念される。
(2018年11月21日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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