- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 経済予測・経済見通し >
- 欧州経済見通し-景気拡大持続でも内憂外患
2018年09月11日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- ユーロ圏の成長は17年に比べて鈍化している。主因は外需にあり、内需の拡大は続いている。ユーロ導入国の同時拡大も続いているが、イタリアの持続力には不安がある。
- 18年のユーロ圏の実質GDPは前年比2.1%、19年は1.8%と1%台半ばと見られる潜在成長率をやや上回る内需主導の成長が期待される。
- インフレ率は、エネルギー・食品の押し上げ効果の緩和で再び2%を割り込むが、コア・インフレ率は1%台半ばに上向くだろう。年間では18年1.7%、19年1.7%と予測する。
- ECBは10月から純資産買入れを半減、年末に停止する。利上げは2019年9月に開始するが、現在ゼロの市場介入金利の引き上げは、20年入り後となるだろう。
- ユ―ロ圏の見通しのリスクとして、市場が警戒するイタリアの連立政権の拡張財政政策は、EUのルールよりも、市場の監視が歯止めを掛ける役割を果たすだろう
- 米国との通商摩擦も引き続きユーロ圏のリスクだ。EUは、協議を通じて、米国との「休戦」継続を狙うが、EUが譲歩できる範囲には限界があり、着地点は不透明だ。直接対立が避けられても、米中の貿易戦争が激化すれば、外需の下押しが強まる恐れがある。
- 英国のEU離脱は200日後に迫っているが、2020年末までの移行期間の有無もEUとの将来の関係も定まっていない。英国の最大の貿易・投資パートナーであるEUとの関係が見通せない状況が長引けば、潜在成長率は1%台半ばから更に下振れるおそれがある。
(2018年09月11日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1832
経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/09/12 | 欧州経済見通し-関税合意後も不確実性が残る状況は続く | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2025/08/26 | 大砲かバターか-国防費の大幅引き上げに動く欧州の現実 | 伊藤 さゆり | 研究員の眼 |
2025/08/04 | 米EU関税合意-実効性・持続性に疑問符 | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/12 | 欧州経済見通し-回復基調だが、関税を巡る不確実性は大きい | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年09月19日
消費者物価(全国25年8月)-コアCPIは9ヵ月ぶりの3%割れ、年末には2%程度まで鈍化する見通し -
2025年09月18日
米FOMC(25年9月)-市場予想通り、政策金利を▲0.25%引き下げ。政策金利見通しを下方修正 -
2025年09月18日
保険適用後の不妊治療をめぐる動向~ARTデータとNDBデータの比較 -
2025年09月18日
不動産投資市場動向(2025年上期)~日本市場の取引額は高水準を維持。グローバル市場は回復基調を辿るも依然低調 -
2025年09月18日
資金循環統計(25年4-6月期)~個人金融資産は2239兆円と過去最高を更新、投信・国債・定期預金への資金流入が目立つ
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【欧州経済見通し-景気拡大持続でも内憂外患】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
欧州経済見通し-景気拡大持続でも内憂外患のレポート Topへ