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- 英中銀の金融政策とBrexit-利上げバイアスを維持した背景-
2018年05月18日
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■要旨
- 英国の中央銀行・イングランド銀行(BOE)は5月金融政策委員会(MPC)で利上げを見送ったが、利上げバイアスは維持した。
- 利上げ見送りは、1~3月期の実質GDP、インフレ率がともに予想を下回ったことへの対応だ。MPCの政策判断の叩き台となる「インフレ報告」でも、実質GDP、インフレ見通しを下方修正した。しかし、1.5%と推計される潜在成長率を上回る成長が続くことで、21年初には過剰需要に転じるという見通しに基づく利上げバイアスは維持した。
- 5月の会合後に公表された労働統計やBOEの企業サーベイの内容は、スラックの縮小と賃金上昇圧力の高まりというBOEのシナリオに概ね適合する内容だった。EU離脱を前にEU市民の就業者が減少に転じたことも、労働力不足、賃上げ圧力となっている。
- 金融・ビジネスサービスでは、単一市場からの離脱に対応したEU圏内への一部機能の移管に伴うヒトの流出が予想されるが、今年3月のEUとの合意通り20年末まで現状を維持する「移行期間」となれば、19年3月にかけて流出が加速するような事態は避けることができるだろう。
- 6月のEU首脳会議でアイルランドの国境管理問題で合意が成立し「移行期間」が確保できるかどうかは、見通しを大きく変える可能性がある。「移行期間」の確保が見極められれば、早めの利上げという判断に傾きやすくなる。
(2018年05月18日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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