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2020年07月09日
5|自分や家族の収入減少に対する不安別~非常に不安層で「生活費の補填」、非不安層で「外食」
収束後2の自分や家族の収入減少に対する不安度別に見ても、全体と同様、いずれも首位は「生活費の補填」で、2位は「貯蓄」である(図表7)。
収束後の自分や家族の収入減少に対する不安度による違いを見ると、不安が強いほど「生活費の補填」の割合が高く、「非常に不安」では全体を上回る。一方、不安が弱いほど「外食」の割合が高く、「全く不安ではない」で全体を上回る。なお、不安が強いほど個人年収や世帯年収は低い傾向がある。
つまり、個人年収や世帯年収が低く、自分や家族の収入減少に対する不安が強いほど「生活費の補填」に、年収が高く、収入減少に対する不安が弱いほど「外食」などの必需性の低い選択的消費に充てる傾向がある。
一方で、「該当しない」では「辞退した・するつもり」が全体を上回る。サンプル数は少ないが、当該層は全て20~30歳代であり、未婚者が多い。
収束後2の自分や家族の収入減少に対する不安度別に見ても、全体と同様、いずれも首位は「生活費の補填」で、2位は「貯蓄」である(図表7)。
収束後の自分や家族の収入減少に対する不安度による違いを見ると、不安が強いほど「生活費の補填」の割合が高く、「非常に不安」では全体を上回る。一方、不安が弱いほど「外食」の割合が高く、「全く不安ではない」で全体を上回る。なお、不安が強いほど個人年収や世帯年収は低い傾向がある。
つまり、個人年収や世帯年収が低く、自分や家族の収入減少に対する不安が強いほど「生活費の補填」に、年収が高く、収入減少に対する不安が弱いほど「外食」などの必需性の低い選択的消費に充てる傾向がある。
一方で、「該当しない」では「辞退した・するつもり」が全体を上回る。サンプル数は少ないが、当該層は全て20~30歳代であり、未婚者が多い。
2 調査では「ワクチンや特効薬などが開発され、季節性インフルエンザと同様に予防や治療ができるようになった時」と定義。
3――特別定額給付金の使い道が「寄付」や「辞退した・するつもり」選択者の属性~シニアと若者
1|「寄付」~60歳代が約半数、子育てが終わり経済的にも比較的余裕のあるシニア層が多い
特別定額給付金の使い道として、全体で1.5%を占める「寄付」選択者のプロフィールを見ると、年代別には60歳代が最も多く、48.4%を占める(図表8)。次いで、50歳代(29.0%)、30歳代(9.7%)と続き、子どもの教育費などがかさむ40歳代を除くと、高年齢ほど多い傾向がある。
職業は「専業主婦・主夫」や「正社員・正職員」が、ライフステージは「孫誕生」や「末子独立」が、世帯年収は「400~600万円未満」が多い傾向がある。
つまり、子育てが終わり、経済的にも比較的余裕のあるシニア層が多く、新型コロナの感染拡大による経済的な悪影響をさほど受けておらず、家計支援の必要性が低いために「寄付」をする様子がうかがえる。
特別定額給付金の使い道として、全体で1.5%を占める「寄付」選択者のプロフィールを見ると、年代別には60歳代が最も多く、48.4%を占める(図表8)。次いで、50歳代(29.0%)、30歳代(9.7%)と続き、子どもの教育費などがかさむ40歳代を除くと、高年齢ほど多い傾向がある。
職業は「専業主婦・主夫」や「正社員・正職員」が、ライフステージは「孫誕生」や「末子独立」が、世帯年収は「400~600万円未満」が多い傾向がある。
つまり、子育てが終わり、経済的にも比較的余裕のあるシニア層が多く、新型コロナの感染拡大による経済的な悪影響をさほど受けておらず、家計支援の必要性が低いために「寄付」をする様子がうかがえる。
2|「辞退した・するつもり」~20歳代が44%、大学生などの若者が多い
特別定額給付金の使い道として、全体で2.1%を占める「辞退した・するつもり」選択者のプロフィールを見ると、年代別には20歳代が最も多く、44.2%を占める(図表9)。次いで、30歳代(20.9%)、40歳代(16.3%)と続き、「寄付」とは対象的に若い年代ほど多い傾向がある。
職業は学生を含む「無職」や「正社員・正職員」が、ライフステージは「未婚(独身)」が、世帯年収は「200万円未満」が多い傾向がある。
つまり、大学生などの若者が多く、保護者が経済的な悪影響をさほど受けておらず、学費や生活費の支援の必要性が低いために「辞退」しているという可能性もあるだろう。
特別定額給付金の使い道として、全体で2.1%を占める「辞退した・するつもり」選択者のプロフィールを見ると、年代別には20歳代が最も多く、44.2%を占める(図表9)。次いで、30歳代(20.9%)、40歳代(16.3%)と続き、「寄付」とは対象的に若い年代ほど多い傾向がある。
職業は学生を含む「無職」や「正社員・正職員」が、ライフステージは「未婚(独身)」が、世帯年収は「200万円未満」が多い傾向がある。
つまり、大学生などの若者が多く、保護者が経済的な悪影響をさほど受けておらず、学費や生活費の支援の必要性が低いために「辞退」しているという可能性もあるだろう。
4――おわりに~給付金の使い道から見える生活防衛意識の高さ、継続調査での消費者動向を把握予定
「特別定額給付金」の使い道は、性年代、ライフステージ、世帯年収などの属性の違いによらず、首位は「生活費の補填」であり、「貯蓄」も上位に上がる。また、子育て世帯では「子どもの教育」も多い傾向がある。つまり、食費や教育費をはじめとした必需性の高い消費に充て、残りは「貯蓄」にといった使い方が全体的な傾向であり、生活防衛意識の高さがうかがえる。
なお、高年収層やシニア世帯などの新型コロナの感染拡大による経済的な悪影響をさほど受けていない層では「外食」や「国内旅行」、機器の買い替えといった必需性の低い選択的消費にも比較的積極的な様子もある。
7月に入り、東京都の感染者数は100人を超える日が続き、感染拡大の第二波到来の懸念が強まっている。特別定額給付金を「外食」などの選択的消費に使う予定の消費者でも、ひとまず「貯蓄」にとどめる傾向が強まるだろう。
今回の「特別定額給付金」の使い道からは、消費者の生活防衛意識の高さが見てとれた。本稿で用いた「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」は継続して実施する予定であり、今後も消費者の動向がどのように変わるのかを見ていきたい。
なお、高年収層やシニア世帯などの新型コロナの感染拡大による経済的な悪影響をさほど受けていない層では「外食」や「国内旅行」、機器の買い替えといった必需性の低い選択的消費にも比較的積極的な様子もある。
7月に入り、東京都の感染者数は100人を超える日が続き、感染拡大の第二波到来の懸念が強まっている。特別定額給付金を「外食」などの選択的消費に使う予定の消費者でも、ひとまず「貯蓄」にとどめる傾向が強まるだろう。
今回の「特別定額給付金」の使い道からは、消費者の生活防衛意識の高さが見てとれた。本稿で用いた「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」は継続して実施する予定であり、今後も消費者の動向がどのように変わるのかを見ていきたい。
03-3512-1878
(2020年07月09日「基礎研レポート」)
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