2020年06月30日

雇用関連統計20年5月-休業者数が高止まり

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.失業率は前月から0.3ポイント悪化の2.9%

総務省が6月30日に公表した労働力調査によると、20年5月の完全失業率は前月から0.3ポイント上昇の2.9%となった(QUICK集計・事前予想:2.8%、当社予想は2.9%)。

労働力人口が前月から21万人増加する中、就業者数が4万人の増加にとどまったため、失業者数は前月から19万人増加の197万人(いずれも季節調整値)となった。4月に非労働力化していた人の一部が労働市場に戻ってきたことが就業者の増加とともに失業者の増加にもつながった。

就業者数は前年差▲76万人の減少(4月は同▲80万人)となったが、産業別には、新型コロナウィルス感染拡大に伴う外出自粛、休業要請の影響を強く受けた宿泊・飲食サービス(前年差▲38万人)、生活関連サービス・娯楽業(同▲29万人)、卸売・小売業(同▲29万人)の減少が目立つ。
完全失業率と就業者の推移/産業別・就業者数の推移
雇用形態別雇用者数 雇用者数(役員を除く)は前年に比べ▲61万人の減少となった。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差▲1万人減(4月:同63万人増)、非正規の職員・従業員数は前年差▲61万人減(4月:同▲97万人減)となった。すでに大幅な減少となっていた非正規に加え、正規の職員・従業員も減少に転じた。

 

2.休業者数が高止まり

緊急事態宣言が発令された20年4月に急増した休業者数は、緊急事態宣言が解除された5月には423万人、前年差274万人増となった(4月は597万人、前年差420万人増)。4月からは減少したものの、引き続き高水準となっている。なお、労働力調査では、毎月の末日に終わる1週間(12月は20日から26日までの1週間)の就業状態を調査しているため、5月の労働力調査は緊急事態宣言解除(5/25)直後の就業状態が反映されている。

産業別には、新型コロナウィルス感染拡大に伴う外出自粛、休業要請を受けて、4月に休業率(休業者/就業者)が急上昇した3業種のうち、飲食業(4月:29.6%→5月:20.5%)、娯楽業(20年4月:39.7%→5月:26.3%)は休業率が若干低下したが、宿泊業(4月:31.3%→5月:37.1%)は休業率がさらに上昇した(数値はいずれも原数値)。
就業者増減の内訳/主な産業別休業率
労働力調査のフローデータ1を用いて、4月、5月の休業者の動きを確認すると、4月は従業者から休業者へのフロー(ネット)が314万人の大幅増加となったが、5月には休業者から従業者へのフロー(ネット)が162万人となり、4月に休業を余儀なくされていた人の約半数が仕事を再開したことが読み取れる。
休業者を中心としたフロー(20年4、5月) 一方、休業者から失業者へのフロー(ネット)は4月には2万人増加にとどまっていたが、5月は6万人の増加となった。雇用調整助成金の活用などによって4月は休業者が急増する一方、失業者の増加は限定的にとどまっていたが、緊急事態宣言が延長された5月には、雇用の維持を諦めた企業が増えたと考えられる。

休業者は4月からは減少したが、平常時と比べると高水準にとどまっている。休業者は就業者としてカウントされるが、休業者のかなりの部分は今後失業者として顕在化する可能性が高い。雇用調整助成金の拡充や中小・小規模事業者等に対する支援金(持続化給付金)などが、倒産、失業をある程度抑制する効果はあるものの、経済活動の落ち込みがあまりに大きいため、今後失業率が大幅に上昇することは避けられないだろう。現時点では、失業率は20年末頃に4%程度まで上昇すると予想している。
 
1 労働力調査のフローデータは、ストックデータの2分の1の調査世帯を集計対象としていること、総数に転出者、転入者を含むことなどから、ストックの増減とフローの値は一致しない

3.有効求人倍率は1倍割れも視野に入る

厚生労働省が6月30日に公表した一般職業紹介状況によると、20年5月の有効求人倍率は前月から▲0.12ポイント低下の1.20倍(QUICK集計・事前予想:1.22倍、当社予想は1.18倍)となった。有効求人数が前月比▲8.6%(4月:同▲8.5%)の大幅減少となる一方、有効求職者数が前月比0.7%(4月:同▲3.4%)の増加となった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.03ポイント上昇の1.88倍となった。新規求人数(前月比7.0%)、新規求職申込件数(前月比4.8%)ともに増加したが、新規求人数の増加幅が上回った。
有効求人倍率(季節調整値)の推移 新規求人数は3ヵ月ぶりに増加したが、4月に同▲22.9%と急減少した後であることを割り引いてみる必要がある。新規求人数の前年比は▲32.1%(4月:同▲31.9%)となっており、基調としては減少傾向が続いていると考えられる。

有効求人数には前月から繰越された求人が含まれるため、新規求人に遅れて動く傾向がある。有効求人数は先行きも大きく減少する可能性が高い。

企業の求人意欲が大きく低下する一方、失業者の増加に伴い求職者数の増加が見込まれるため、有効求人倍率は労働市場の需給バランスが一致していることを意味する1倍を割り込む可能性もあるだろう。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年06月30日「経済・金融フラッシュ」)

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