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- 消費者物価(全国20年5月)-コアCPIの下落は長期化する見込み
2020年06月19日
1.コアCPI上昇率は2ヵ月連続のマイナス
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(4月:前年比▲9.6%→5月:同▲16.4%)、灯油(4月:前年比▲9.1%→5月:同▲16.5%)の下落幅が大きく拡大したことから、エネルギー価格の下落率は4月の前年比▲4.7%から同▲6.7%へと拡大した。
![消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/64751_ext_15_2.jpg?v=1592530939)
食料(生鮮食品を除く)は前年比1.4%(4月:同1.3%)となり、引き続きコアCPI全体を明確に上回る伸びとなっている。人件費、物流費の上昇に消費税率引き上げの影響が加わり3%台の伸びを続けてきた一般外食が、外出自粛、休業要請の影響で売上が大きく落ち込んだことを反映し、前年比2.8%(4月:同2.9%)と伸びが鈍化したが、内食需要の高まりから、菓子類(4月:前年比2.9%→5月:同3.0%)、調理食品(4月:前年比0.5%→5月:同1.0%)の伸びが高まった。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.71%(4月:▲0.54%)、食料(生鮮食品を除く)が0.22%(4月:0.18%)、その他が▲0.04%(4月:▲0.18%)であった(当研究所試算による消費税、教育無償化の影響を除くベース)。
2.食料品を中心に上昇品目数が増加
3.コアCPIの下落は長期化する見込み
コアCPI上昇率は2ヵ月連続のマイナスとなったが、基調的な物価動向を示すコアコアCPIの上昇率はプラス圏で踏みとどまっている。自粛要請、緊急事態宣言発令を受けた需要の急激な落ち込みによる物価への影響は現時点では限定的と考えられる。
足もとの物価下落はエネルギー価格の急低下によるところが大きいが、原油価格の持ち直しを受けて6月以降はエネルギー価格の下落幅が縮小することが見込まれる。一方、緊急事態宣言の解除を受けて個人消費は持ち直しているものの、外食、旅行などのサービスを中心としてそのペースは緩やかなものにとどまっている公算が大きい。このため、需給面からの物価押し下げ圧力は当面強い状態が続くだろう。また、企業業績の悪化を受けた賃金の下落は長期にわたりサービス価格の下押し圧力となる可能性が高い。コアCPI上昇率は20年度末までマイナス圏で推移することが予想される。
なお、新型コロナウィルス感染拡大を受けた自粛要請、緊急事態宣言の発令により需要がほぼ消失してしまった分野では、一部の品目で価格データの取得が困難となっている可能性がある。
総務省統計局は5/22に、消費者物価指数に関するQ&Aで、『店舗の臨時休業や商品の在庫不足などにより、価格データが得られなかった場合、月々の価格変動が小さく、市場における出回りが途切れないと考えられる品目などについては、前月の価格を用いて計算します。生鮮食品や一部の衣料品など、季節的な価格変動がある品目などについては、当該価格データを外して、品目の指数を計算します。』と説明している。
足もとの消費者物価指数は、一部の品目で価格データが取得できないことにより、一定の上方バイアスが生じている可能性があることには注意が必要だ。
足もとの物価下落はエネルギー価格の急低下によるところが大きいが、原油価格の持ち直しを受けて6月以降はエネルギー価格の下落幅が縮小することが見込まれる。一方、緊急事態宣言の解除を受けて個人消費は持ち直しているものの、外食、旅行などのサービスを中心としてそのペースは緩やかなものにとどまっている公算が大きい。このため、需給面からの物価押し下げ圧力は当面強い状態が続くだろう。また、企業業績の悪化を受けた賃金の下落は長期にわたりサービス価格の下押し圧力となる可能性が高い。コアCPI上昇率は20年度末までマイナス圏で推移することが予想される。
なお、新型コロナウィルス感染拡大を受けた自粛要請、緊急事態宣言の発令により需要がほぼ消失してしまった分野では、一部の品目で価格データの取得が困難となっている可能性がある。
総務省統計局は5/22に、消費者物価指数に関するQ&Aで、『店舗の臨時休業や商品の在庫不足などにより、価格データが得られなかった場合、月々の価格変動が小さく、市場における出回りが途切れないと考えられる品目などについては、前月の価格を用いて計算します。生鮮食品や一部の衣料品など、季節的な価格変動がある品目などについては、当該価格データを外して、品目の指数を計算します。』と説明している。
足もとの消費者物価指数は、一部の品目で価格データが取得できないことにより、一定の上方バイアスが生じている可能性があることには注意が必要だ。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年06月19日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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