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新型コロナが及ぼす医療制度改革への影響-高齢者負担増は審議ストップ、地域医療構想は見直し不可避

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
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新型インフルエンザ対策等特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が解除されるなど、新型コロナウイルスの感染拡大は一応の収束を見たが、昨年末までに想定されていた医療制度改革は仕切り直しを余儀なくされている。
例えば、昨年末に取りまとめられた全世代型社会保障検討会議(議長:安倍晋三首相)の中間報告では、高齢者医療費の自己負担を引き上げる方向性を明記しており、今夏にも詳細について結論を出す予定だった。さらに、医療行政に関する都道府県の権限強化を図る「医療行政の都道府県化」に関しても法改正が秋以降に意識されていた。
しかし、コロナ禍の影響で議論がストップし、全世代型社会保障検討会議の最終報告が今年の年末にずれ込むなど、スケジュールの変更を迫られた。さらに、病床削減や在宅医療の充実などを図る「地域医療構想」についても内容やスケジュールの見直しが避けられない情勢だ。
本稿ではコロナ禍を受けて、昨年末までに想定されていた医療制度改革論議のうち、(1)高齢者医療費の自己負担引き上げ、(2)地域医療構想、(3)医療行政の都道府県化――の3つについて影響を考えるとともに、今後どう推移するのか検討を試みる。
■目次
1――新型コロナが及ぼす医療制度改革への影響
2――医療制度改革が主な影響
1|高齢者医療費の自己負担引き上げ
2|地域医療構想
3|医療行政の都道府県化
3――今後の見通し
1|高齢者医療費の自己負担引き上げは政局の影響を受ける?
2|地域医療構想の見直しは不可避か
3|コロナ禍で見えて来た医療行政の都道府県化に関する論点
4――おわりに
(2020年06月23日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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