- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- 「大阪・名古屋オフィス市場」の現況と見通し~新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえて見通しを改定
「大阪・名古屋オフィス市場」の現況と見通し~新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえて見通しを改定
金融研究部 主任研究員 吉田 資
このレポートの関連カテゴリ
1. はじめに
1 吉田資「「大阪オフィス市場」の現況と見通し(2020年)」(ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2020年3月23日)、
「「名古屋オフィス市場」の現況と見通し(2020年)」(ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート、2020年4月3日)
2. オフィス市場の現況
三幸エステートによると、大阪市の空室率(全体)は2014年以降、低下傾向で推移しており、2020年5月時点で2.6%となった。大阪のオフィス市場では、まとまった空室を確保することが困難な状況が続いている。空室率を規模別にみると、全ての規模1で低下傾向が継続している。特に、大規模ビルの空室率は、2016年以降急速に改善が進んでおり、1.4%まで低下した(図表-1)。募集賃料は、需給の逼迫を受けて、上昇傾向で推移しており、2020年5月時点で11,500円/月・坪となった(図表-2)。現状、空室率と募集賃料に新型コロナウィルス感染拡大の影響はみられないが、拡張移転や増床の計画を一旦見直すテナントが増えている模様だ。
1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
3. 新型コロナウィルスの感染拡大がオフィス需要に及ぼす影響
したがって、これまでオフィス需要を支えてきたオフィスワーカー数は減少に向かう可能性が高いと考えられる。
1) オフィス環境改善の取り組み
2016年より始まった「働き方改革」に多くの企業が積極的に取り組んでいる。デロイトトーマツ「働き方改革の実態調査」によれば、「働き方改革を推進中」もしくは「実施した」を回答した企業の割合は、約9割に達した。「働き方改革」の一環でオフィス環境の整備に取り組む企業は多い。従業員満足度の向上、人材採用時の優位性確保などを目的に、リフレッシュルームなどの共用部や充実した打ち合わせスペースを備えるオフィスへの移転を検討する企業は増えていた。
財務省財務総合政策研究所「法人企業景気予測調査」によれば、企業の景況感が前期と比較して「上昇」と回答した割合から「下降」の割合を引いた「企業の景況判断BSI」(2020年第1四半期時点)は、大阪府で▲19.4、愛知県で▲19.9となり、景況感が急速に悪化している(図表-9)。
前回の世界金融危機時には、景況感が大きく後退した後に企業業績が低迷し、オフィス市況も悪化に向かった。足元では、新型コロナ感染拡大を受けて企業の事業環境が悪化しており、先行き不透明感が強まっている。今後、売上が伸び悩み、収益が厳しくなることが予想される中、お金をかけてまでオフィス環境を改善しようとする動きはひとまず鈍化する可能性が高い。
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1861
ソーシャルメディア
新着記事
-
2021年01月25日
新型コロナ ワクチンのただ乗り-ワクチン忌避をいかに減らすか? -
2021年01月25日
バイデン政権が発足-安定政権も、新型コロナ対策と追加経済対策が喫緊の課題となる中で厳しい船出 -
2021年01月22日
バイデン新政権発足、円相場への影響は?~マーケット・カルテ2月号 -
2021年01月22日
ECB政策理事会-政策変更なし、経済見通しも想定内 -
2021年01月22日
未婚化と雇用 ~コロナ禍で求められる雇用の確保~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2021年01月21日
News Release
-
2020年10月15日
News Release
-
2020年07月09日
News Release
【「大阪・名古屋オフィス市場」の現況と見通し~新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえて見通しを改定】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「大阪・名古屋オフィス市場」の現況と見通し~新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえて見通しを改定のレポート Topへ