2020年06月04日

新型コロナを機に米国も有給病気休暇の付与を義務化か―感染拡大で俄かに脚光

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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■要旨

米国には連邦レベルの労働法に病気休暇をはじめとする有給休暇についての規定がない。このため、従業員に有給休暇を付与するかは基本的に各企業の判断に任されている。もっとも、州や地方政府レベルでは有給病気休暇の付与を義務付けている地域もあり、有給病気休暇を付与されている労働者の割合(以下、付与率)は業種や地域などによる格差が大きくなっている。とくに、所得水準の低い飲食・宿泊業などで付与率が低くなっており、病気に罹患した場合の生活保障の観点からも問題を抱えている。

一方、これまでの実証研究によって、有給病気休暇は休職中に収入を確保できるセーフティーネットとしての機能だけでなく、従業員が罹患したまま職場に行くことを減らすことで、感染症の感染抑制にも効果があることが示されている。

米国内で新型コロナの感染者数や死亡者数の急激な増加、感染対策として外出制限や外食禁止などの感染対策が強化される中で、自身の感染や感染家族の介護に加え、感染者との濃厚接触による隔離などで休職者数が増加している。このような中、生活保障、感染対策として有給病気休暇が俄かに注目されている。

米議会は、有給病気休暇の導入が遅れている中小企業をターゲットに、新型コロナに関連し休職した従業員に対して、有給病気休暇付与の義務付けを盛り込んだ「家族第一コロナウイルス対策法」(FFCRA)を3月18日に超党派の圧倒的な支持で成立させた。

本稿では、米国の有給病気休暇付与の状況を概観した後、新型コロナ関連に限定されているとは言え、連邦レベルで初めて有給病気休暇の付与を義務付けるFFCRAについて解説した。米国における今後の有給休暇付与義務の拡大を期待したい。

■目次

1――はじめに
2――有給病気休暇の現状と課題
  1|有給病気休暇とは
  2|民間企業の属性などによる有給病気休暇付与率の格差
  3|有給病気休暇付与の義務化が有給病気休暇取得を後押し、感染症予防に効果
3――新型コロナと有給病気休暇
  1|新型コロナの感染者・死亡者数、休職者数が大幅に増加
   2|新型コロナ対策として期待されるFFCRA
4――FFCRAを契機に有給休暇付与義務の拡大を
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

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