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- 「名古屋オフィス市場」の現況と見通し(2020年)
2020年04月03日
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2-3. 空室率と募集賃料のエリア別動向
三鬼商事によれば、2019年末時点で最も賃貸可能面積が大きいエリアは、「名駅地区(35.9%)」で、次いで「栄地区(27.7%)」、「伏見地区(26.6%)」、「丸の内地区(9.7%)」の順となっている(図表11)。
賃貸可能面積は、「鹿島伏見ビル」が竣工した「伏見地区」(前年比+0.3万坪)で増加したが、再開発および建て替えに伴うビルの取り壊し等が進んだため、「栄地区」(▲1.8万坪)や「名駅地区」(▲0.4万坪)では減少した(図表12)。
賃貸面積は、「伏見地区」(前年比+0.3万坪)で増加したが、「栄地区」(▲1.3万坪)や「名駅地区」(▲0.1万坪)では減少した。この結果、空室面積は、「丸の内地区」を除く全てのエリアで減少し、計▲0.8万坪減少した。
三鬼商事によれば、2019年末時点で最も賃貸可能面積が大きいエリアは、「名駅地区(35.9%)」で、次いで「栄地区(27.7%)」、「伏見地区(26.6%)」、「丸の内地区(9.7%)」の順となっている(図表11)。
賃貸可能面積は、「鹿島伏見ビル」が竣工した「伏見地区」(前年比+0.3万坪)で増加したが、再開発および建て替えに伴うビルの取り壊し等が進んだため、「栄地区」(▲1.8万坪)や「名駅地区」(▲0.4万坪)では減少した(図表12)。
賃貸面積は、「伏見地区」(前年比+0.3万坪)で増加したが、「栄地区」(▲1.3万坪)や「名駅地区」(▲0.1万坪)では減少した。この結果、空室面積は、「丸の内地区」を除く全てのエリアで減少し、計▲0.8万坪減少した。
3. 名古屋オフィス市場の見通し
3-1. オフィスワーカー数の見通し
愛知県の就業者数は増加基調で推移している。2018年以降400万人を超え、2019年第4四半期の就業者は413.3万人に達した(図表14)。このような就業者数の増加がオフィス需要を下支えしている。
また、住民基本台帳人口移動報告によると、2019年の名古屋市の転入超過数は+3,415人と、9年連続で転入超過となり、高水準の人口流入が続いている(図表15)。
中部圏社会経済研究所「中部圏経済白書2018」によれば、リニア中央新幹線の名古屋駅開業に伴う経済効果は、愛知県で2兆2,738億円(全国で14兆8,204億円)と推計されている。名駅周辺と栄地区では、リニア開業を見据えた再開発事業も進展しており、就業者数の増加要因になりそうだ。
以上の状況を鑑みると、今後5年間で名古屋市のオフィスワーカー数が大幅に減少する懸念は小さく、引き続き底堅いオフィス需要が見込まれる。
愛知県の就業者数は増加基調で推移している。2018年以降400万人を超え、2019年第4四半期の就業者は413.3万人に達した(図表14)。このような就業者数の増加がオフィス需要を下支えしている。
また、住民基本台帳人口移動報告によると、2019年の名古屋市の転入超過数は+3,415人と、9年連続で転入超過となり、高水準の人口流入が続いている(図表15)。
中部圏社会経済研究所「中部圏経済白書2018」によれば、リニア中央新幹線の名古屋駅開業に伴う経済効果は、愛知県で2兆2,738億円(全国で14兆8,204億円)と推計されている。名駅周辺と栄地区では、リニア開業を見据えた再開発事業も進展しており、就業者数の増加要因になりそうだ。
以上の状況を鑑みると、今後5年間で名古屋市のオフィスワーカー数が大幅に減少する懸念は小さく、引き続き底堅いオフィス需要が見込まれる。
3-2. オフィスビルの新規供給見通し
名古屋では、2015 年に「大名古屋ビルヂング」と「JP タワー名古屋」、2016 年に「シンフォニー豊田ビル」、2017年に「JR ゲートタワー」、「グローバルゲート」と、名駅周辺で大規模ビルの竣工が相次いだ。そのため、総ストックに占める過去5年間の新規供給面積は7.1%と、東京都心5区に次いで高い水準であった。過去10年間でみても新規供給面積の割合は10.5%となり、こちらも東京都心5区に次いで高い(図表16)。
ただし、2019年の新規供給面積は5,100坪となり、前年の約6割の水準に留まった。大規模ビルの竣工は「鹿島伏見ビル」のみであった(図表17)。
今後の大規模ビルの竣工は、2020年の「名古屋三交ビル」、「名駅一丁目計画」、2021年の「名古屋三井ビルディング北館」、「(仮)ノリタケの森プロジェクト」、2022年の「(仮)東桜1丁目計画」「(仮)名古屋ビル東館」等が予定されている。ただし、2022年までの新規供給面積は、年平均8千坪程度と、過去10年間の平均(年間1.3万坪)を下回る見通しである。
名古屋では、2015 年に「大名古屋ビルヂング」と「JP タワー名古屋」、2016 年に「シンフォニー豊田ビル」、2017年に「JR ゲートタワー」、「グローバルゲート」と、名駅周辺で大規模ビルの竣工が相次いだ。そのため、総ストックに占める過去5年間の新規供給面積は7.1%と、東京都心5区に次いで高い水準であった。過去10年間でみても新規供給面積の割合は10.5%となり、こちらも東京都心5区に次いで高い(図表16)。
ただし、2019年の新規供給面積は5,100坪となり、前年の約6割の水準に留まった。大規模ビルの竣工は「鹿島伏見ビル」のみであった(図表17)。
今後の大規模ビルの竣工は、2020年の「名古屋三交ビル」、「名駅一丁目計画」、2021年の「名古屋三井ビルディング北館」、「(仮)ノリタケの森プロジェクト」、2022年の「(仮)東桜1丁目計画」「(仮)名古屋ビル東館」等が予定されている。ただし、2022年までの新規供給面積は、年平均8千坪程度と、過去10年間の平均(年間1.3万坪)を下回る見通しである。
3-3. 賃料見通し
前述の新規供給見通しや経済予測4、オフィスワーカー数の見通しを前提に、2024年までの名古屋のオフィス賃料を予測した(図表18)。なお、予測は、過去10年平均と同程度の経済成長を前提にしており、新型肺炎(コロナウィルス)の感染拡大が日本経済に及ぼす影響は考慮していない。感染拡大に伴う大幅な経済減速などを想定した賃料予測は、後日別稿で報告したい。
名古屋の空室率は、新規供給が限定的なことから、低い水準を維持すると見込む。また、名古屋のオフィス賃料は、良好な需給環境を背景に、概ね横ばいで推移すると予想する。2019年の賃料を100とした場合、98から99の水準で推移する見通しである。
2027年のリニア中央新幹線開業を見据えて、「名駅地区」と「栄地区」では、それぞれのエリア特性を踏まえたまちづくりが進展している。それに伴い大規模オフィスビルの開発も複数計画されていることから、中長期の需給バランスについて注視する必要がありそうだ。
前述の新規供給見通しや経済予測4、オフィスワーカー数の見通しを前提に、2024年までの名古屋のオフィス賃料を予測した(図表18)。なお、予測は、過去10年平均と同程度の経済成長を前提にしており、新型肺炎(コロナウィルス)の感染拡大が日本経済に及ぼす影響は考慮していない。感染拡大に伴う大幅な経済減速などを想定した賃料予測は、後日別稿で報告したい。
名古屋の空室率は、新規供給が限定的なことから、低い水準を維持すると見込む。また、名古屋のオフィス賃料は、良好な需給環境を背景に、概ね横ばいで推移すると予想する。2019年の賃料を100とした場合、98から99の水準で推移する見通しである。
2027年のリニア中央新幹線開業を見据えて、「名駅地区」と「栄地区」では、それぞれのエリア特性を踏まえたまちづくりが進展している。それに伴い大規模オフィスビルの開発も複数計画されていることから、中長期の需給バランスについて注視する必要がありそうだ。
4 経済見通しは、ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2019~2029 年度)」(2019.10.15)などを基に設定。
4. おわりに
愛知県は41年連続で工業製品出荷額が全国トップであり、名古屋市の人口動態は、自動車産業をはじめとする製造業の景況感に影響を受ける特徴がみられる。名古屋市の転入超過数と日銀短観の業況判断DI(自動車)には強い相関関係が認められる(図表19)。2020年第1四半期の業況判断DIは▲6となり、14四半期ぶりにマイナスに転じた。自動車産業は、米中貿易摩擦や中国景気減速の長期化によりマイナスの影響を受けてきたが5、新型肺炎(コロナウイルス)感染拡大の影響で、今後、生産活動の一段の停滞が予想される。
自動車関連の事業環境の悪化が長期化する場合、これまでオフィス需要を支えてきた人口流入やオフィスワーカー数が減少し、オフィス需要も弱含むだろう。
また、新型肺炎の感染防止のため、在宅勤務を実施する企業が、名古屋でも増加している。パーソル総合研究所「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によれば、「テレワークが命令・推奨されている」と回答した割合は、名古屋圏では17.4%を占めた。名古屋のオフィス市場を取り巻く環境は、急激に変化しており、今後の動向を注視する必要がある。
自動車関連の事業環境の悪化が長期化する場合、これまでオフィス需要を支えてきた人口流入やオフィスワーカー数が減少し、オフィス需要も弱含むだろう。
また、新型肺炎の感染防止のため、在宅勤務を実施する企業が、名古屋でも増加している。パーソル総合研究所「新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によれば、「テレワークが命令・推奨されている」と回答した割合は、名古屋圏では17.4%を占めた。名古屋のオフィス市場を取り巻く環境は、急激に変化しており、今後の動向を注視する必要がある。
5 2019年の自動車生産台数(大手8社の合計)は、前年比▲6%の137万台。
(ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
(2020年04月03日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
経歴
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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