- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 社会保障制度 >
- 医療保険制度 >
- インフルエンザの流行はほぼ収束~いま高熱が続いたら、新型コロナウイルスか?
インフルエンザの流行はほぼ収束~いま高熱が続いたら、新型コロナウイルスか?
保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1――新型コロナウイルス流行の影でインフルエンザの流行はピークを過ぎた
2019~2020年シーズンは、前稿1でも紹介したとおり、インフルエンザが流行しはじめるタイミング2が、2019年第37週(2019年9月9日~15日)と、この10年間でもっとも早かった。その後、第52週をピークとして、2020年第1週以降は減少傾向にあり、第10週(3月9日~15日)には1.29まで下がった。定点あたりの報告数が1.0を流行の目安とされていることから、流行は過ぎつつあると言える。今シーズンのインフルエンザが低く抑えられた理由として、新型コロナウイルス感染予防としての手洗い・うがいが奏功したという話もあるが、流行が収まりはじめたのが12月から1月上旬の早期の段階であることを踏まえると、暖冬の影響や予防接種の影響3等の影響が考えられるだろう4。もっとも1月後半以降は、日本でも新型コロナウイルスの流行が話題となり、手洗い・うがい、マスク着用、体調悪い時に外出をしない等の対策によってさらに減っている可能性はある。
9月以降の、インフルエンザによる入院患者の定点あたり報告数5累計は、第11週までに12,923人(昨年同時期には19,285人)と重症者も少ない。
都道府県別にみると、定点あたりの報告数が5.0以上は、岩手県(5.64)、2.5以上は、石川県(2.90)、青森県(2.72)、大阪府(2.53)、京都府(2.50)であり、地域によっては、まだ流行が続いている。
1 村松容子「今年はインフルエンザの流行が早い可能性」ニッセイ基礎研究所 基礎研レター(2019年10月25日)
2 国立感染症研究所では、流行状況を判断するために、全国約5000の医療機関で、1週間に受診した1医療機関当たりの患者数を調査している。1.0が流行の目安となっている。
3 2016/17年シーズン以降でもっともワクチン製造量が多かった。また、国立感染症研究所によると、シーズン前に予想された4つのインフルエンザの型のうち、現在のところ感染者の9割を占めるA/H1pdmのワクチンが効果的だったと分析されている。
4 新型コロナウイルスが全国紙で最初に取り上げられたのは1月9日で、日本で最初に感染が確認されたのが1月16日である。この頃から、例年と比べて手洗い・うがいを徹底していた人は少ないと思われる。
5 インフルエンザ入院サーベイランスでは、全国500定点医療機関からの報告数で動向を把握している。
2――新型コロナウイルスの検査は?
インフルエンザが収束しつつあることから、健康な成人が、37.5℃を超えるような高熱が続いた場合は、新型コロナウイルスを疑ってしまう。しかし、ピークが過ぎたとはいえ、インフルエンザの感染者数は、この1週間で4万人もいると推計されている。まだしばらく、インフルエンザとの見極めが難しそうだ。
6 3月11日、日本医師会は、十分な検査体制を持たない医療機関においては、医師への新型コロナウイルス感染リスクが高まるため、たとえば、インフルエンザにおいては検査ではなく臨床診断によって治療薬を処方することを検討するよう呼びかけたことから、インフルエンザの検査は行わない場合もある。
(2020年03月24日「基礎研レター」)
03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/29 | 生活習慣病リスクを高める飲酒の現状と改善に向けた対策~男女の飲酒習慣の違いに着目して | 村松 容子 | 基礎研レター |
| 2025/10/17 | 日本における「老衰死」増加の背景 | 村松 容子 | 研究員の眼 |
| 2025/09/18 | 保険適用後の不妊治療をめぐる動向~ARTデータとNDBデータの比較 | 村松 容子 | 基礎研レポート |
| 2025/07/22 | 保険ショップの利用実態とその変化~利用目的とチャネル選択にみる役割の変化 | 村松 容子 | 保険・年金フォーカス |
新着記事
-
2025年11月04日
今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】 -
2025年10月31日
交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋 -
2025年10月31日
ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定 -
2025年10月31日
2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ -
2025年10月31日
保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【インフルエンザの流行はほぼ収束~いま高熱が続いたら、新型コロナウイルスか?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
インフルエンザの流行はほぼ収束~いま高熱が続いたら、新型コロナウイルスか?のレポート Topへ










