2020年02月20日

【1月米住宅着工、許可件数】 着工件数は156.7万件と前月(162.6万件)を下回る一方、市場予想(142.8万件)は上回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

文字サイズ

1.結果の概要:着工件数、許可件数ともに市場予想を上回る結果

 2月19日、米国センサス局は1月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は156.7万件(前月改定値:162.6万件)と160.8万件から上方修正された前月値を下回った一方、市場予想の142.8万件(Bloomberg集計の中央値)は上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は155.1万件(前月改定値:142.0万件)と、こちらは141.6万件から上方修正された前月、市場予想の145.0万件を上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工件数は好調であった前月からは減少も高水準を維持

住宅着工件数の伸びは、前月比▲3.6%(前月:+17.7%)と2桁の増加となった前月の反動もあって、4ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表3)。内訳をみると、集合住宅が+0.7%(前月:+25.4%)とプラスを維持した一方、戸建てが▲5.9%(前月:+14.1%)と4ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表4)。

前年同月比では+21.4%(前月:+42.4%)と8ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+4.6%(前月:+31.8%)となったほか、集合住宅は+71.4%(前月:+68.6%)と13年3月(+73.1%)以来の伸びとなった。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が+2.6%ポイント(前月:+2.0%ポイント)、西部が+0.3%ポイント(前月:+5.2%ポイント)とプラスを維持したものの、中西部が▲3.9%ポイント(前月:+5.1%ポイント)、南部が▲2.7%ポイント(前月:+5.4%ポイント)とマイナスとなるなど、地域によってまちまちの結果となった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
一方、先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+9.2%(前月:▲3.7%)と前月からプラスに転じた(図表5)。戸建てが+6.4%(前月:+0.8%)と9ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅も+14.6%(前月:▲11.0%)とプラスに転じた(図表6)。

前年同月比は+17.9%(前月:+6.0%)と7ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+20.2%(前月:+12.2%)と6ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅も+13.9%(前月:▲3.9%)と前月からプラスに転じた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、2月が74(前月:75)と前月から▲1ポイント低下した(図表7)。これで2ヵ月連続の低下となったが、17年12月以来の高水準は維持している。

指数の内訳は販売現況が80(前月:81)、販売見込みが79(前月:80)、客足が57(前月:58)といずれも前月から▲1ポイント低下した。

NAHBのチーフエコノミストは、住宅需要が高まる中、建設労働者の不足や用地不足が手頃な住宅の生産を妨げているとしており、依然として労働力不足が供給制約となっている状況を示した。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2020年02月20日「経済・金融フラッシュ」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【【1月米住宅着工、許可件数】 着工件数は156.7万件と前月(162.6万件)を下回る一方、市場予想(142.8万件)は上回る】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

【1月米住宅着工、許可件数】 着工件数は156.7万件と前月(162.6万件)を下回る一方、市場予想(142.8万件)は上回るのレポート Topへ