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- 【11月米個人所得・消費支出】個人所得は前月比+0.5%、消費支出は+0.4%と個人所得は市場予想を上回る一方、消費は一致
2019年12月23日
1.結果の概要:個人所得は市場予想を上回る一方、個人消費は市場予想に一致
12月20日、米商務省の経済分析局(BEA)は11月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.5%(前月改定値:+0.1%)となり、横這いから上方修正された前月を上回ったほか、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.3%も上回った(図表1)。個人消費支出は前月比+0.4%(前月:+0.3%)と、こちらは前月を上回った一方、市場予想(+0.4%)に一致した。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出(前月比)は+0.3%(前月:+0.1%)と、前月を上回ったほか、市場予想(+0.2%)も上回った(図表5)。貯蓄率1は7.9%(前月:7.8%)と、前月から+0.1%ポイント上昇した。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.2%)と前月、市場予想(+0.2%)に一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.1%(前月:+0.1%)と、こちらも前月、市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。前年同月比では、総合指数が+1.5%(前月改定値:+1.4%)と+1.3%から上方修正された前月、市場予想(+1.4%)を上回った。コア指数は+1.6%(前月改定値:+1.7%)と、こちらは+1.6%から上方修正された前月は下回ったものの、市場予想(+1.5%)は上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.2%)と前月、市場予想(+0.2%)に一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.1%(前月:+0.1%)と、こちらも前月、市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。前年同月比では、総合指数が+1.5%(前月改定値:+1.4%)と+1.3%から上方修正された前月、市場予想(+1.4%)を上回った。コア指数は+1.6%(前月改定値:+1.7%)と、こちらは+1.6%から上方修正された前月は下回ったものの、市場予想(+1.5%)は上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:個人消費は19年7月以来の伸びに加速、堅調な消費の持続を確認
個人消費支出は、9月に前月比+0.2%まで伸びが鈍化していたものの、10月の+0.3%に次ぎ、11月が+0.4%と19年7月(+0.5%)以来の伸びに加速したことで、10月以降も個人消費の堅調な伸びが持続していることを確認した(図表1)。
また、11月は所得の伸びが堅調となったこともあって、貯蓄率は前月から上昇しており、個人消費は所得対比でみて未だ余力を残していると言える。
米国では感謝祭(11月28日)翌日からの年末商戦が佳境を迎えている。感謝祭翌日のブラックフライデーのオンライン販売額は74億ドルと前年比で2割を超える増加となったほか、史上最高の売上となったようだ。年末商戦における消費の基調は非常に強いため、12月の消費も堅調な伸びとなろう。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、物価目標の2%を下回っているものの、総合指数はエネルギー価格の物価押下げ幅が縮小したこともあって前月から伸びが加速した。しかしながら、物価の基調を示すコア指数は前月から低下したほか、19年8月の+1.8%から頭打ちとなっており、足元で物価上昇圧力は高まっていない。
また、11月は所得の伸びが堅調となったこともあって、貯蓄率は前月から上昇しており、個人消費は所得対比でみて未だ余力を残していると言える。
米国では感謝祭(11月28日)翌日からの年末商戦が佳境を迎えている。感謝祭翌日のブラックフライデーのオンライン販売額は74億ドルと前年比で2割を超える増加となったほか、史上最高の売上となったようだ。年末商戦における消費の基調は非常に強いため、12月の消費も堅調な伸びとなろう。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、物価目標の2%を下回っているものの、総合指数はエネルギー価格の物価押下げ幅が縮小したこともあって前月から伸びが加速した。しかしながら、物価の基調を示すコア指数は前月から低下したほか、19年8月の+1.8%から頭打ちとなっており、足元で物価上昇圧力は高まっていない。
3.所得動向:利息・配当、自営業者所得が大幅に増加
個人所得の内訳をみると、賃金・給与が前月比+0.4%(前月:+0.5%)と堅調な伸びとなったものの、前月から伸びが鈍化する一方、利息・配当収入は+0.8%(前月:▲0.7%)と大幅なマイナスとなった前月の反動もあって、高い伸びとなった(図表2)。また、自営業者所得も+1.9%(前月:▲1.1%)とこちらも前月から大幅なプラスに転じた。これは、農家に対する補助金が増加したことに伴い、農家の所得が前月比+78.9%(前月:▲42.6%)と前月から大幅なプラスに転じたことが大きい。
一方、個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、11月が+0.5%(前月:横這い)と前月から伸びが加速した(図表3)。さらに、価格変動の影響を除いた実質ベースも+0.4%(前月:▲0.2%)と、こちらも19年4月(▲0.5%)以来のマイナスとなった前月からプラスに転じた。
一方、個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、11月が+0.5%(前月:横這い)と前月から伸びが加速した(図表3)。さらに、価格変動の影響を除いた実質ベースも+0.4%(前月:▲0.2%)と、こちらも19年4月(▲0.5%)以来のマイナスとなった前月からプラスに転じた。
4.消費動向:自動車関連の増加に伴い、耐久財が大幅に増加
11月の名目個人消費(前月比)は、財消費が+0.5%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速したほか、サービス消費は+0.4%(前月:+0.4%)と前月並みの堅調な伸びを維持した(図表4)。
財消費では、耐久財が+1.0%(前月:▲0.9%)と前月からプラスに転じた一方、非耐久財は+0.2%(前月:+0.7%)とこちらは前月から伸びが鈍化した。
耐久財では、娯楽財・スポーツカーが+0.3%(前月:+0.4%)と前月から小幅ながら伸びが鈍化した一方、家具・家電が+0.1%(前月:横這い)と小幅ながら伸びが加速したほか、自動車・自動車部品が+2.6%(前月:▲2.7%)と大幅なマイナスとなった前月の反動もあって大幅なプラスに転じ、耐久財消費全体を押上げた。
非耐久財では、食料・飲料が+0.3%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速した。しかしながら、ガソリン・エネルギーが+1.5%(前月:+4.2%)と前月から伸びが鈍化したほか、衣料・靴が▲0.3%(前月:+0.2%)とマイナスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+0.4%(前月:+0.6%)と、前月から伸びが鈍化したものの、娯楽が+0.9%(前月:+0.9%)と好調を維持したほか、金融サービスが+0.3%(前月:+0.1%)と前月から伸びが加速した。
財消費では、耐久財が+1.0%(前月:▲0.9%)と前月からプラスに転じた一方、非耐久財は+0.2%(前月:+0.7%)とこちらは前月から伸びが鈍化した。
耐久財では、娯楽財・スポーツカーが+0.3%(前月:+0.4%)と前月から小幅ながら伸びが鈍化した一方、家具・家電が+0.1%(前月:横這い)と小幅ながら伸びが加速したほか、自動車・自動車部品が+2.6%(前月:▲2.7%)と大幅なマイナスとなった前月の反動もあって大幅なプラスに転じ、耐久財消費全体を押上げた。
非耐久財では、食料・飲料が+0.3%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速した。しかしながら、ガソリン・エネルギーが+1.5%(前月:+4.2%)と前月から伸びが鈍化したほか、衣料・靴が▲0.3%(前月:+0.2%)とマイナスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+0.4%(前月:+0.6%)と、前月から伸びが鈍化したものの、娯楽が+0.9%(前月:+0.9%)と好調を維持したほか、金融サービスが+0.3%(前月:+0.1%)と前月から伸びが加速した。
5.価格指数:エネルギー価格は前年同月比で物価押下げ幅が縮小
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(2019年12月23日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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