コラム
2019年07月12日

エンタメ狂の独り言-ウォルト・ディズニーと「不吉な13」の逸話

生活研究部 研究員 廣瀨 涼

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1.はじめに

あなたは、本場アメリカのディズニーランドに行ったことあるだろうか?そこには夢や喜び、冒険と、あなたが幼少期を思い出すような幸せな時間が待っている。あなたが大人であろうが、子供であろうが、世界で最も幸せが溢れているテーマパークと感じるだろう。そこでは、誰にとっての「何か」が待っているから。

本場のアメリカのディズニーランドがウォルト・ディズニー自身によって作られ、開園したのは1955年の7月17日のことである。彼は当時オレンジ畑であったカリフォルニア州のアナハイムという地に自身の夢の国を建築した。今日のコラムは、そんなウォルト・ディズニーとディズニーランドの住所・・にまつわる、興味深い逸話をお聞かせしよう。知っていればあなたもハナタカさん?!!

2.不吉な13という数字

当時、そこはオレンジ畑に覆われた、何もない土地であったため、住所が与えられていなかった。ウォルトがその地を購入した際に、カリフォルニア州は、ウォルトに好きな住所を与えること約束し、ウォルトは「ハーバー・ブールバード1313(1313 Harbor Boulevard)」という住所を選んだ1。1313と聞いて、とても奇妙な数字だと思った方は、欧米に対する知見のある方でしょう。日本においては「4」という字が避けられる傾向があるが、欧米を中心に「13」という数字が不吉な数字として避けられる傾向がある。なぜだろうか。諸説あるがその中でも有名なものを2つ取り上げてみよう。

(1) キリストの最後の晩餐が13人であったため
キリストの最後の晩餐は、彼と12人の使途合わせて13人が着席し、食事をしたということから、キリスト教徒は13と言う数字に対してあまりいい印象を持たないようである2
 
(2) テンプル騎士団
フランス王フィリップ4世が、テンプル騎士団を拷問し、大量虐殺した。その命令が下り、騎士団が捕虜になった日が1307年10月13日の金曜日であり、これが有名な迷信の一つである「13日の金曜日」の起源であると、されている3
 
1 Disney Parks Blog “Infographic: Lucky 13 at Disney Parks” https://disneyparks.disney.go.com/blog/2013/12/infographic-lucky-13-at-disney-parks/
2 Cecil Adams (1992) "Why is the number 13 considered unlucky?". The Straight Dope
3 David Emery “Why Is Friday the 13th Considered Unlucky?”  https://www.liveabout.com/why-is-friday-the-13th-considered-unlucky-3298238

3.「13恐怖症(TRISKAIDEKAPHOBIA)」

13に対する恐れは、一種の恐怖症として認知されている。1910年にアメリカの精神科医イサドール・コリアットによって「トリスカイデカフォビア(TRISKAIDEKAPHOBIA)」と命名された4。トリスカイデカフォビアに悩まされる人々は、とにかく13と言う数字を避けようとする5。そのような背景から、北米を中心に、ホテルやビルでは13階が存在しなかったり、飛行機の座席番号に13がなかったりする。
 
4 ギリシャ語でtris「3」kai「&」deka「10」phobia「恐怖症」からなる。
5 Etymonline.com.

4.ウォルト・ディズニーの「幸運の13」

13日の金曜日というと、日本人の我々でも迷信を信じて、不吉なものを避けようとする。アメリカでは、13日の金曜日に、黒猫が横切るのは不吉の証だったり、鏡を割らないようにしたり、はしごの下を潜らないようにするという、誰もが知る言い伝えがある。では、なぜウォルト・ディズニーは、そんな人々が嫌がる「13」と言う数字を住所にしたのだろうか。ディズニーに関する歴史家たちによれば、理由は二つあったという6

(1) 迷信をあざ笑うため
彼は、迷信深い男ではなかったため、自ら「13」という数字を二つ並べて、不吉な迷信を打ち破ろうとした。多くの人は彼の決断に難を示したらしいが、それら意見を一蹴し、彼は、「迷信は迷信である」と、自らの手で証明しようとしたのである。またそれは、同時に、彼自身の、「絶対にディズニーランドが成功する」という自信の表れだったのだろう。

(2) ミッキーマウス
13番目のアルファベット。A,B, C...そう「M」である。Mというアルファベットを二つ並べると、あなたは、どのディズニーキャラクターが思い浮かぶだろう。そう、「全ては、一匹のネズミから始まった」。ウォルトの最も有名な言葉である。
 
そして現在、ディズニーランドは世界で最も優れたテーマパークとして評価されている。彼は、迷信を打ち破り、その手でディズニーランドを成功の道へ導いたのである。ちなみに、彼の私生活でいうと、1925年7月13日に結婚するなど、ウォルトは「13」という数字を幸運なものと考えていたのかもしれない。
 
6 Walt's Disneyland Rediscovering the Park Walt Envisioned “1313 S. Harbor Boulevard” https://waltsdisneyland.wordpress.com/2017/05/26/1313-harbor-boulevard/
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生活研究部   研究員

廣瀨 涼 (ひろせ りょう)

研究・専門分野
消費文化、マーケティング、ブランド論、サブカルチャー、テーマパーク、ノスタルジア

経歴
  • 【経歴】
    2019年 大学院博士課程を経て、
          ニッセイ基礎研究所入社

    【加入団体等】
    ・経済社会学会
    ・コンテンツ文化史学会
    ・余暇ツーリズム学会
    ・コンテンツ教育学会
    ・総合観光学会

(2019年07月12日「研究員の眼」)

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