2019年05月14日

ベーシック 米国生保業界の概要(4)米国生保の負債構造-米国生命保険協会のファクトブック掲載データから-

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■要旨
  • 米国生保協会が発行する『ライフ・インシュアランス・ファクトブック』を主な情報源として「米国生保協会が消費者に伝えたいと描く自画像」を見ていくシリーズの第4回。今回は「米国生保会社の負債構造」。
     
  • 生保会社の負債の最大の項目は、保険契約者への義務を裏付けるために各生保会社が保有している「保険契約準備金(責任準備金等)(77%)」。また「その他の準備金(13%)」の中にも、預託型契約と呼ばれる保険的な要素のない商品の顧客(受益者)への義務を裏付けるための準備金がある。さらに「その他の準備金(13%)」の中には、運用している資産の価格変動等に伴う損失発生に備えるAVR(資産評価準備金)とIMR(金利維持準備金)がある。
    このように米国生保会社の負債のほとんどは、「保険契約者」等の顧客への義務の履行を果たすために設けられたものである。
     
  • 保険契約準備金の中では、年金契約の準備金が66%の構成比を有し、生命保険の28%、医療保険の5%を大きく上回っている。米国生保の年金事業への傾斜がうかがえる数値となっている。
     
  • 米国生保会社の健全性の尺度であるRBC(リスクベースドキャピタル)比率は、生保会社が負っている各種のリスクの総額と自己資本額を算出し、自己資本額がリスク総額の何%にあたるかを計算して得られる比率である。
    米国生保のRBC比率の平均値はここ数年、400%台を維持している。また生保会社のほとんど(95%)のRBC比率が、行政介入のしきい値である100%の2倍、200%を超えている。
    このように米国生保業界の健全性は近年、良好な状態が続いている。

■目次

はじめに
1―― 米国生保業界の負債の概略
2―― 保険契約準備金(責任準備金等)
3――その他の準備金
  1|預託型契約(DEPOSIT-TYPE CONTRACTS)の準備金
  2|資産変動準備金
  3|その他の負債
4――自己資本比率とRBC比率
さいごに
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松岡 博司

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