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- ひとり暮らしの若者の家電事情-雇用環境改善でひとり暮らしが増加、パソコンやスマホがあるからテレビはいらない?
2018年04月16日
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2|教養娯楽用耐久財や通信機器の保有状況~男性ではパソコン・スマホの普及でテレビ保有率は低下
同様に教養娯楽用耐久財や通信機器の保有状況を見ると、男性ではパソコンが5割弱から9割を超えて大幅に上昇している(図表6a)。2014年ではタブレット端末と単純に足し合わせると120%を超える。また、もともと8割を超えて保有率の高い携帯電話(2009年までの調査項目)も2004年から9割を超え、2014年ではスマートフォン(約8割)と、それ以外の携帯電話(約26%)の保有率を合わせると100%を超える。パソコンやスマートフォンなどの通信端末が広く普及する一方、テレビの保有率は15%程度低下している。
女性でもパソコンの保有率は大幅に上昇し、2014年ではタブレット端末と合わせると約9割である(図表6b)。男性と同様に携帯電話は2004年から9割を超え、2014年ではスマートフォンと、それ以外の携帯電話を合わせると100%を超える。なお、女性ではテレビの保有率は依然として9割を超えて横ばいで推移している。
男女差を見ると、パソコンやタブレット端末は男性で、テレビやスマートフォンは女性で高くなっている(図表6c)。
つまり、男女ともパソコンやスマートフォンなどの通信端末が広く普及する一方、パソコンやタブレット端末の普及がより進んでいる男性ではテレビの保有率が低下している。
同様に教養娯楽用耐久財や通信機器の保有状況を見ると、男性ではパソコンが5割弱から9割を超えて大幅に上昇している(図表6a)。2014年ではタブレット端末と単純に足し合わせると120%を超える。また、もともと8割を超えて保有率の高い携帯電話(2009年までの調査項目)も2004年から9割を超え、2014年ではスマートフォン(約8割)と、それ以外の携帯電話(約26%)の保有率を合わせると100%を超える。パソコンやスマートフォンなどの通信端末が広く普及する一方、テレビの保有率は15%程度低下している。
女性でもパソコンの保有率は大幅に上昇し、2014年ではタブレット端末と合わせると約9割である(図表6b)。男性と同様に携帯電話は2004年から9割を超え、2014年ではスマートフォンと、それ以外の携帯電話を合わせると100%を超える。なお、女性ではテレビの保有率は依然として9割を超えて横ばいで推移している。
男女差を見ると、パソコンやタブレット端末は男性で、テレビやスマートフォンは女性で高くなっている(図表6c)。
つまり、男女ともパソコンやスマートフォンなどの通信端末が広く普及する一方、パソコンやタブレット端末の普及がより進んでいる男性ではテレビの保有率が低下している。
これらの背景には、テレビの視聴を機能的にも内容(コンテンツ)的にもパソコンやスマートフォンなどで代替できること、そして、若者ではテレビ離れとネット志向の強まりが進んでおり、その傾向は特に男性で顕著であることがあげられる。男性ではインターネットの視聴時間がテレビの視聴時間を上回りつつあるが、女性では依然としてテレビの方が圧倒的に長い4。テレビの視聴時間が長い女性では、スマートフォンなどの小さな画面よりも、液晶テレビの大きな画面でテレビを見たいというニーズが強いのかもしれない。
4 久我尚子「若年層の消費実態(5)-どこまで進んだ?デジタル・ネイティブ世代の『テレビ離れ』と『ネット志向』」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レター(2017/2/15)
4 久我尚子「若年層の消費実態(5)-どこまで進んだ?デジタル・ネイティブ世代の『テレビ離れ』と『ネット志向』」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レター(2017/2/15)
4――おわりに~製品の高機能化だけでなく、消費者の暮らし・価値観の変化を読み解くことが鍵
アベノミクスによる雇用環境の改善で、親元を離れ、ひとり暮らしをする若者が増えている。現役世代の経済基盤安定化に向けた政策は今後も続く見込みであり、ひとり暮らしの若者は、さらに増える可能性がある。
また、住まいの変化や情報通信技術の進化により、ひとり暮らしの家電保有状況が変化している。備え付けの小型冷蔵庫の設置が増え、掃除のしやすいフローリング床が増えるなど、住まいの利便性が高まることで、従来は必需品であった冷蔵庫や掃除機の保有率が低下している。さらに、情報通信技術の進化により、機能的にも内容(コンテンツ)的にも通信と放送の融合が進むことで、男性ではテレビの保有率が下がっている。
今後、日本では、高齢層を中心に単身世帯が増える見込みだ。住まいの利便性向上や技術革新は、若者だけではなく、高齢者も含めた消費者全体に関わる変化だ。
昔から日本企業が得意とする従来製品の高機能化は重要な視点ではあるが、消費者の暮らし方の変化によって、必ずしも高機能化を求められない部分も出てくるだろう。逆に、従来からある機能でも、見せ方を工夫することで、現在の暮らしに合う製品に変わる可能性もある5。
消費者の暮らしや価値観の変化を丁寧に読み解くことが、日本の消費市場を生き残る鍵だ。
5 例えば、冷蔵庫について、従来と同様の冷蔵・冷凍機能のままでも単純に大型化することで、大量の作り置きや下ごしらえ食品を保存しやすい作りにし、共働き世帯向けに打ち出すなど
また、住まいの変化や情報通信技術の進化により、ひとり暮らしの家電保有状況が変化している。備え付けの小型冷蔵庫の設置が増え、掃除のしやすいフローリング床が増えるなど、住まいの利便性が高まることで、従来は必需品であった冷蔵庫や掃除機の保有率が低下している。さらに、情報通信技術の進化により、機能的にも内容(コンテンツ)的にも通信と放送の融合が進むことで、男性ではテレビの保有率が下がっている。
今後、日本では、高齢層を中心に単身世帯が増える見込みだ。住まいの利便性向上や技術革新は、若者だけではなく、高齢者も含めた消費者全体に関わる変化だ。
昔から日本企業が得意とする従来製品の高機能化は重要な視点ではあるが、消費者の暮らし方の変化によって、必ずしも高機能化を求められない部分も出てくるだろう。逆に、従来からある機能でも、見せ方を工夫することで、現在の暮らしに合う製品に変わる可能性もある5。
消費者の暮らしや価値観の変化を丁寧に読み解くことが、日本の消費市場を生き残る鍵だ。
5 例えば、冷蔵庫について、従来と同様の冷蔵・冷凍機能のままでも単純に大型化することで、大量の作り置きや下ごしらえ食品を保存しやすい作りにし、共働き世帯向けに打ち出すなど
(2018年04月16日「基礎研レター」)
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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