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米国債のフラット化の原因に対する仮説-タームスプレッドとユーロ建て米国債利回りに関する分析

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
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- 最近、米国債のフラット化について議論されている。過去に米国債のイールドカーブが逆イールドになると景気後退が生じており、今回のFRBの利上げが逆イールドをもたらし、米国の景気を冷やす可能性について懸念されているためである。
- また、投資家から見ると、フラット化によって米国債とヘッジコストの差が縮小するため、ヘッジ付き米国債の利回りが低下してしまう。
- 本稿では、ユーロ建て米国債とドイツ国債の利回りの差分とタームスプレッドの関係の観点から、米国債のフラット化に関する分析を行った。
- ヘッジコスト(米ドルの資金調達コスト)の上昇/低下とタームスプレッドの低下/上昇に連動性が見られる。この理由として、ヘッジコストが上昇すると投資家が利回りを高めるためにデュレーションを長期化させることや、米国外の銀行が資金調達を多様化させるために担保として米国債を求めることが原因が考えられる。
- 米国債利回りとドイツ国債利回りの連動性が高いことが一般的に言われているが、両者の連動性が弱まり、相対的に米国債利回りが上昇/低下する方向とタームスプレッドの動く方向が逆向きになる傾向も見られる。しかも、この逆方向の動きが生じた時期と、FRBとECBの金融政策の方向性が異なる時期とがほぼ一致する。
- ECBが2018年にも金融緩和政策を解除すると言われているが、本稿の分析から、ECBとFRBの金融政策の方向性が一致し、ユーロの短期金利が上昇すると、米国債のイールドカーブのフラット化方向に対する圧力が弱まり、フラット化に関する議論は終焉するものと考えられる。
■目次
1――フラット化する米国債のイールドカーブ
2――ユーロ建て米国債利回りとタームスプレッドの関係
1|ヘッジコストとタームプレミアムの関係
2|米国債とドイツ国債の利回りの差分とタームプレミアムの関係
3――まとめ
(2017年12月26日「基礎研レポート」)

03-3512-1848
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
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