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日本におけるキャッシュレス化の進展状況について-日本のキャッシュレス化について考える(1)
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
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2016年の日本におけるキャッシュレス決済比率は23.6%
日本のキャッシュレス化の進展状況について海外のデータと比較してみよう。図表2は、2015年の民間消費におけるカード決済(クレジットカードとデビットカード)の割合を示したものである。図表2における国々をサンプルとした場合、平均的に約40%である。日本におけるカード決済の割合は17%程度であり、世界的に見ると日本はまだ「キャッシュレス化」が進んでいない状況にあるといえる。日本銀行の調査1では、日本における電子マネー決済の占める割合が世界と比較して高いことが指摘されているが、電子マネーを加えたキャッシュレス決済比率と比較しても、図表2のカード決済の平均値よりも低い。
1「BIS 決済統計からみた日本のリテール・大口資金決済システムの特徴 」( 決済システムレポート別冊シリーズ, 日本銀行決済機構局, 2017年2月)
先進国におけるキャッシュレス化はカード決済が中心
2 ”World Payments Report 2017,” Capgemini and BNP Paribas, 2017
3 当該レポートにおける「非現金決済」には、小切手等の決済手段も含まれる。
キャッシュレス決済比率の目標設定における留意点
例えば、モバイル端末を使用した個人間(P2P)の電子決済に関するサービスが新興国を中心に普及しているが、日本国内においても当該サービスを提供している企業がある4。また、2016年の資金決済法の改正では、仮想通貨に関する法律が整備されたが、仮想通貨の技術を用いた決済サービスについても今後発展していく可能性が考えられる。しかし、このような決済手段は日本政府により定義された「キャッシュレス決済比率」には含まれない。
モバイル端末を用いた決済サービスについては、カード決済や電子マネーの機能を端末に搭載するような決済サービスが消費者に普及することで「キャッシュレス決済比率」が上昇していくようなシナリオも考えられるが、先に例示した「キャッシュレス決済比率」の定義に含まれないような決済手段が普及した場合は、今後「キャッシュレス決済比率」の定義の中に含むべきか議論されることになると思われる。
4 銀行以外の業者がP2Pの電子決済サービスを提供する場合、日本では資金決済法における資金移動業に相当すると考えられる。銀行等以外の業者であっても、100万円に相当する額以下の為替取引であれば業として営むことができる。このとき、10万円以上の送金・受け取りを行う場合や、送金を継続的または反復して行う場合は本人確認を要する。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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03-3512-1848
(2017年12月18日「研究員の眼」)
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