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- 2017~2019年度経済見通し(17年11月)
2017年11月16日
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設備投資は企業収益の改善を背景に底堅く推移している。日銀短観2017年9月調査では、2017年度の設備投資計画(含むソフトウェア、除く土地投資額)が前年度比8.1%(全規模・全産業)となり、前年同時期の前年度比4.6%(2016年9月調査の2016年度計画)を上回っている。2017年度入り後のGDP統計の設備投資は低い伸びにとどまっているが、年度後半には増加ペースが加速し、2017年度全体では2016年度の伸びを上回る公算が大きい。
ただし、足もとの設備投資の回復は、あくまでも企業収益の大幅な増加に伴う潤沢なキャッシュフローを主因としたもので、企業の設備投資スタンスが必ずしも積極化している訳ではない。企業の設備投資意欲を反映する「設備投資/キャッシュフロー比率」は低水準の推移が続いているが、企業収益が大幅に増加する中で設備投資の伸びが限定的にとどまっていることから、ここにきてさらに水準を切り下げている。
ただし、足もとの設備投資の回復は、あくまでも企業収益の大幅な増加に伴う潤沢なキャッシュフローを主因としたもので、企業の設備投資スタンスが必ずしも積極化している訳ではない。企業の設備投資意欲を反映する「設備投資/キャッシュフロー比率」は低水準の推移が続いているが、企業収益が大幅に増加する中で設備投資の伸びが限定的にとどまっていることから、ここにきてさらに水準を切り下げている。
設備投資は先行きも堅調に推移することが予想される。ただし、個人消費を中心とした国内需要は当面力強さに欠ける状況が続く可能性が高く、期待成長率の上昇によって企業の投資意欲が高まるまでには時間を要するだろう。また、好調が続く企業収益だが、2018年度には人件費上昇に伴うコスト増などから増益率が鈍化することが見込まれる。
設備投資は2016年度の前年比2.5%から、2017年度には同3.0%へと高まるが、企業収益の伸び率鈍化に伴い2018年度が同2.8%、2019年度が同1.5%と徐々に減速すると予想する。
設備投資は2016年度の前年比2.5%から、2017年度には同3.0%へと高まるが、企業収益の伸び率鈍化に伴い2018年度が同2.8%、2019年度が同1.5%と徐々に減速すると予想する。
公的固定資本形成は、2016年度第2次補正予算の執行本格化から2017年4-6月期に前期比5.8%の高い伸びとなったが、7-9月期にはその効果が剥落したことから同▲2.5%と減少に転じた。

輸出は海外経済の回復を背景に堅調な推移が続くことが予想されるが、ITサイクルの改善ペースが鈍化することなどに伴い、3%台後半の世界経済の成長率と整合的な伸びに収束していくことが見込まれる。財貨・サービスの輸出は2016年度の前年比3.2%から2017年度には同5.2%へと加速するが、2018年度が同3.7%、2019年度が同3.3%と伸びが低下すると予想する。
一方、財貨・サービスの輸入は2016年度の前年比▲1.3%の減少から、国内需要の持ち直しを反映し、2017年度に前年比2.5%と増加に転じた後、2018年度が同2.7%、2019年度が同2.5%と底堅い推移が続くだろう。この結果、2016年度に前年比0.8%の大幅なプラスとなった外需寄与度は、2017年度が同0.4%、2018年度が同0.2%、2019年度が同0.1%とプラス幅が徐々に縮小することが予想される。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、2017年1月に前年比0.1%と1年1ヵ月ぶりの上昇となった後、9月には同0.7%まで伸びを高めた。物価上昇のほとんどはエネルギー価格の上昇によるものだが、ゼロ%程度で推移していた「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の上昇率も2017年9月には前年比0.2%と小幅ながらプラスとなり、基調的な物価にも改善の兆しがみられる。
先行きについては、エネルギー価格の前年比上昇率はいったん頭打ちとなるものの、足もとの原油価格上昇を受けて、2018年半ば以降は再び伸びを高める可能性が高い。また、景気回復に伴う需給バランスの改善が先行きの物価の押し上げ要因となることが見込まれる。当研究所が推計する需給ギャップは、消費税率引き上げ後の2014年度前半には▲2%近く(GDP比)までマイナス幅が拡大したが、2016年1-3月期以降、潜在成長率を上回るプラス成長を続けたことから、2017年4-6月期にプラスに転じた後、7-9月期にはプラス幅が0.4%まで拡大した。景気は今後も堅調に推移するため、需給ギャップは当面プラス圏で推移する可能性が高い。
また、2017年度の企業業績の改善、物価上昇を受けて賃金上昇率が高まることから、低迷が続いているサービス価格にも徐々に上昇圧力がかかるだろう。コアCPIは2017年度末にかけていったん伸び率が頭打ちとなるものの、その後は再び伸びを高め、2018年後半には1%台に達することが予想される。
ただし、企業の価格改定に直結する個人消費の回復が緩やかにとどまり、経済成長率を下回る状態が続くこと、賃金上昇率がベースアップでゼロ%台にとどまる中ではサービス価格の上昇圧力も限られることなどから、2019年度中に日本銀行が物価安定の目標としている2%に達することは難しいだろう。
コアCPI上昇率は2016年度の前年比▲0.2%の後、2017年度が同0.7%、2018年度が同1.0%、2019年度が同1.7%(1.2%)と予想する(括弧内は消費税率引き上げの影響を除くベース)。
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、2017年1月に前年比0.1%と1年1ヵ月ぶりの上昇となった後、9月には同0.7%まで伸びを高めた。物価上昇のほとんどはエネルギー価格の上昇によるものだが、ゼロ%程度で推移していた「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の上昇率も2017年9月には前年比0.2%と小幅ながらプラスとなり、基調的な物価にも改善の兆しがみられる。
先行きについては、エネルギー価格の前年比上昇率はいったん頭打ちとなるものの、足もとの原油価格上昇を受けて、2018年半ば以降は再び伸びを高める可能性が高い。また、景気回復に伴う需給バランスの改善が先行きの物価の押し上げ要因となることが見込まれる。当研究所が推計する需給ギャップは、消費税率引き上げ後の2014年度前半には▲2%近く(GDP比)までマイナス幅が拡大したが、2016年1-3月期以降、潜在成長率を上回るプラス成長を続けたことから、2017年4-6月期にプラスに転じた後、7-9月期にはプラス幅が0.4%まで拡大した。景気は今後も堅調に推移するため、需給ギャップは当面プラス圏で推移する可能性が高い。
また、2017年度の企業業績の改善、物価上昇を受けて賃金上昇率が高まることから、低迷が続いているサービス価格にも徐々に上昇圧力がかかるだろう。コアCPIは2017年度末にかけていったん伸び率が頭打ちとなるものの、その後は再び伸びを高め、2018年後半には1%台に達することが予想される。
ただし、企業の価格改定に直結する個人消費の回復が緩やかにとどまり、経済成長率を下回る状態が続くこと、賃金上昇率がベースアップでゼロ%台にとどまる中ではサービス価格の上昇圧力も限られることなどから、2019年度中に日本銀行が物価安定の目標としている2%に達することは難しいだろう。
コアCPI上昇率は2016年度の前年比▲0.2%の後、2017年度が同0.7%、2018年度が同1.0%、2019年度が同1.7%(1.2%)と予想する(括弧内は消費税率引き上げの影響を除くベース)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年11月16日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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