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高齢者の移動手段の確保にいくら必要か?

金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 高岡 和佳子
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1――はじめに

自動車の運転に不安を感じる高齢者は、電車やバスなどの公共交通を利用することになる。しかし、上述の閣僚会議の3日後には、JR北海道が「当社単独では維持することが困難な線区について」を公表している。殊に人口減少が著しい地方においては、公共交通の維持すら困難なのである。その結果、一部の大都市圏を除き75歳以上の高齢者の運転免許保有率は高い(図表1)。
そこで、当レポートでは、高齢者の移動を確保するために、必要な資金の推計を試みる。推計に当たり、人口が少ない為まとまった移動需要がない地域を中心に、導入が進むデマンド型交通の実態を確認し、その結果を推計に活用する。
1 一定の違反行為に伴う、認知機能検査の結果、「認知症のおそれがある」と判断された場合、臨時高齢者講習を受ける必要もある。
2――デマンド型交通
(1)増えるデマンド型交通導入自治体
各都道府県、市町村のHPなど公表情報を元に調査した結果、現時点でデマンド型交通2を導入している自治体はこの7年で3倍以上に増え、少なくとも428自治体に及ぶ(図表2)。これは、全体の約25%の自治体が、デマンド型交通を導入していることを意味する。当然ながら、まとまった移動需要が存在する都市部においては、導入自治体は少ない。しかし、導入自治体の割合が最も高い都道府県は、栃木県、次いで滋賀県となっている。つまり、過疎化の進む地域ほど導入する自治体が多いわけではない(図表3)。
2 定時運行との併用も含むが、観光者向け等今回のテーマとの関連性の低いデマンド型交通は除く。
人口密度を基準に、全自治体を10グループに分け、グループ別にデマンド型交通の導入割合を確認すると、人口密度が高い地域だけでなく、低い地域においても導入割合が低いことがわかる(図表4)。
(2017年05月29日「基礎研レポート」)

03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
高岡 和佳子のレポート
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