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- 2017・2018年度経済見通し(17年5月)
2017年05月19日
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2017年1-3月期の設備投資は前期比0.2%とほぼ横ばいにとどまったが、2016年10-12月期に同1.9%の高い伸びとなった後であることを踏まえれば、持ち直しの動きは継続していると考えられる。

2017年度当初計画は前年度比1.7%となり、当初計画としては2012年度以来の増額計画となった。また、2017年3月調査から新たに調査が開始された研究開発投資額は2016年度の前年度比2.5%に続き、2017年度当初計画も同1.1%となった。
海外経済の回復や円高の一巡に伴う企業収益の改善を受けて、先行きの設備投資は回復の動きがより明確となる可能性が高い。ただし、個人消費を中心とした国内需要は当面力強さに欠ける状況が続く可能性が高く、期待成長率の上昇によって企業の投資意欲が高まるまでには時間を要する。このため、当面は設備投資が企業収益の伸びを下回る状態が続くだろう。
設備投資は2016年度の前年比2.3%から、2017年度には同3.5%へと加速するが、2018年度には同2.9%と伸びが頭打ちになると予想する。

ただし、安倍政権発足後は毎年、年度途中に補正予算が編成される一方、当初予算は抑制気味(2017年度当初予算の公共事業関係費は前年比+0.0%)となっており、補正予算がなければ年度末にかけて公共事業が落ち込んでしまう構造になっている。2017年度以降も年度途中に補正予算の編成が必要となるだろう。
輸出はここにきて回復基調を強めているが、3四半期連続で年率10%前後の高い伸びとなっており、この勢いがこの先も続くことは考えにくい。ITサイクルの改善ペースが鈍化することなどに伴い、先行きの輸出は3%台の世界経済の成長率と整合的な伸びに収束していくことが見込まれる。財貨・サービスの輸出は2016年度の前年比3.1%から2017年度には同5.8%へと加速するが、2018年度は同2.8%と伸びが低下すると予想する。
一方、財貨・サービスの輸入は2016年度には前年比▲1.4%の減少となったが、国内需要の回復に伴い2017年度に同2.2%と増加に転じた後、2018年度は同2.3%と徐々に伸びを高めていくだろう。この結果、外需寄与度は2016年度の前年比0.8%に続き、2017年度も同0.6%と大幅なプラスとなるが、2018年度には同0.1%と成長率に対してほぼニュートラルになると予想される。
一方、財貨・サービスの輸入は2016年度には前年比▲1.4%の減少となったが、国内需要の回復に伴い2017年度に同2.2%と増加に転じた後、2018年度は同2.3%と徐々に伸びを高めていくだろう。この結果、外需寄与度は2016年度の前年比0.8%に続き、2017年度も同0.6%と大幅なプラスとなるが、2018年度には同0.1%と成長率に対してほぼニュートラルになると予想される。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、原油価格上昇に伴うガソリン、灯油価格の大幅上昇などから2017年1月に前年比0.1%と13ヵ月ぶりの上昇となった後、2、3月は同0.2%となった。電気代、ガス代は下落が続いているが、原油価格の動きが遅れて反映されることにより、2017年度入り後に上昇に転じた後、夏場にかけて伸びを高めるだろう。
また、既往の円高による物価下押し圧力は残っているものの、足もとのドル円レートはすでに前年よりも円安水準となっており、夏頃からは円安が物価の押し上げ要因となることが見込まれる。日本銀行が基調的な物価変動を把握するために重視している「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の上昇率が2017年3月に3年8か月ぶりのマイナスに転じるなど、物価の基調は依然として弱いが、エネルギー価格の上昇、円高による下押し圧力の一巡などからコアCPI上昇率は2017年後半にはゼロ%台後半まで高まる可能性が高い。
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、原油価格上昇に伴うガソリン、灯油価格の大幅上昇などから2017年1月に前年比0.1%と13ヵ月ぶりの上昇となった後、2、3月は同0.2%となった。電気代、ガス代は下落が続いているが、原油価格の動きが遅れて反映されることにより、2017年度入り後に上昇に転じた後、夏場にかけて伸びを高めるだろう。
また、既往の円高による物価下押し圧力は残っているものの、足もとのドル円レートはすでに前年よりも円安水準となっており、夏頃からは円安が物価の押し上げ要因となることが見込まれる。日本銀行が基調的な物価変動を把握するために重視している「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の上昇率が2017年3月に3年8か月ぶりのマイナスに転じるなど、物価の基調は依然として弱いが、エネルギー価格の上昇、円高による下押し圧力の一巡などからコアCPI上昇率は2017年後半にはゼロ%台後半まで高まる可能性が高い。
当研究所が推計する需給ギャップは、消費税率引き上げ後の2014年度前半には▲2%程度(GDP比)までマイナス幅が拡大したが、2016年1-3月期から5四半期連続で潜在成長率を上回る成長を記録したことから、2017年1-3月期には▲0.2%まで縮小した。先行きも潜在成長率を若干上回る成長が続くことが予想されるため、需給ギャップは2017年度中にはプラスに転じる公算が大きい。
エネルギー価格の前年比上昇率は2017年夏頃をピークに徐々に鈍化するが、景気回復に伴う需給バランスの改善や人件費上昇をサービス価格に転嫁する動きが拡がることなどが上昇圧力となり、2018年度には1%台まで伸びを高めるだろう。
コアCPI上昇率は2016年度の前年比▲0.2%の後、2017年度が同0.7%、2018年度が同1.0%と予想する。上昇率は徐々に高まるが、2018年度中に日本銀行が物価安定の目標としている2%に達することは難しいだろう。
エネルギー価格の前年比上昇率は2017年夏頃をピークに徐々に鈍化するが、景気回復に伴う需給バランスの改善や人件費上昇をサービス価格に転嫁する動きが拡がることなどが上昇圧力となり、2018年度には1%台まで伸びを高めるだろう。
コアCPI上昇率は2016年度の前年比▲0.2%の後、2017年度が同0.7%、2018年度が同1.0%と予想する。上昇率は徐々に高まるが、2018年度中に日本銀行が物価安定の目標としている2%に達することは難しいだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年05月19日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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