2017年03月16日

【3月米FOMC】予想通り0.25%の利上げを実施。17年の政策金利見通しは据え置き

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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4.会見の主なポイント(要旨)

記者会見の主な内容は以下の通り。
  • 政策金利変更の理由
    • 金融政策目標の達成に向けた堅調な経済の進展があったこと。利上げ時期が遅れることで、将来急激な利上げを余儀なくされる結果、金融市場を混乱させたり、経済をリセッションに陥らせるリスクを回避すること。
    • (12月と3月の間で10-12月期GDPは伸びが鈍化し、1-3月期も更なる鈍化が見込まれる中で利上げをした理由についての質問に対して)GDP成長率はとても変動する指標である。均して2%程度あれば自分達の予想通りであり、今後数年間はそのような成長を見込んでいる。
    • 今回の利上げ決定に際しては、足元の経済動向や見通しに基づいており、トランプ大統領による財政政策変更の影響は考慮していない。
 
  • 今後の金融政策
    • FOMC参加者の経済、政策金利見通しは前回会合(12月)からほとんど変更はない。
    • 自然利子率が低く、政策金利との差が僅かであるため、今後も緩やかな政策金利の引き上げが適当である。
    • 緩やかな政策金利の引き上げは、会合毎に政策金利を引上げた2004年とはニュアンスが異なる。
    • 長期自然利子率は、過去数10年の水準を下回る見込み。
    • トランプ大統領による財政政策変更の影響を議論するのは、より影響が明らかになってからである。
    • (償還した債券の)再投資方針について議論したが、結論は得られていない。引き続き今後の会合で議論していく。
    • (政策金利の引き上げが、かなり進行して(well underway)から再投資方針を見直すとしていることに対して、「かなり進行」の意味は、との質問に対して)具体的な水準ではなく、経済の軌道に自信が持て、経済のダウンサイドを過度に心配しなくて良いと思える状況と考えている。
    • バランスシート政策は、ゼロ金利制約下で経済が非常に弱い状況で実施する金融政策手段であり、通常使用する金融政策手段とは考えていない。
 
  • その他
    • 今回物価目標で「対称的」という表現を加えたが、これは足元の物価水準が目標(2%)に近づいてきたことを受けたもの。2%は目標であって上限ではない。一時的に2%を超えることはありえる。

5.FOMC参加者の見通し

FOMC参加者(FRBメンバーと地区連銀総裁の17名 )の経済見通しは(図表1)の通り。前回(12月14日)公表されたものと比較すると、18年の成長率、長期の失業率が小幅上方修正(失業率は低下)された一方、物価見通しの変更は無く小幅な修正に留まった。
(図表1)FOMC参加者の経済見通し(3月会合)
(図表2)政策金利見通し(年末時点) 政策金利の見通し(中央値)も19年が2.875%から3.0%に上方修正された以外は前回から据え置きとなった(図表2)。

もっとも、FOMC参加者17名の内、17年に年3回の利上げ予想をした人数は、前回の6名から今回は9名に増加しており、FOMC参加者の間で年3回利上げの確信度が高まっているとみられる。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2017年03月16日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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