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- 今なぜ働き方改革が進んでいるのだろうか?-データで見る働き方改革の理由-
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- 日本政府は人口や労働力人口が継続して減少している中で、長時間労働・残業などの悪しき慣習が日本経済の足を引っ張って生産性低下の原因になっていると考え、最近、働き方改革に積極的な動きを見せている。
- 日本政府が働き方改革を進めている理由としては、(1)日本の人口、特に労働力人口が継続して減少していること、(2)日本の長時間労働がなかなか改善されていないこと、(3)政府が奨励しているダイバーシティー(多様性)マネジメントや生産性向上が働き方改革と直接的に繋がっていることが挙げられる。
- 働き方改革が生産性向上や経済成長だけを優先にすると、労働者の生活の質はより悪化する恐れが高い。そこで、働き方改革がマクロ的な数値を引き上げることを優先にするより、労働者の健康や生活の満足度を優先的に考慮して実施されることを望むところである。それこそが働き方改革による弊害を最小化し、より住みやすい社会の構築に繋がる「真の働き方改革」であるだろう。
■目次
1――はじめに
2――働き方改革が急速に進んでいる三つの理由
(1)人口及び労働力人口の減少
(2)長時間労働の慣習を改善する必要性
(3) ダイバーシティー(多様性)マネジメントの推進と生産性向上
3――おわりに
1――はじめに
さらに、安倍首相は働き方改革を「最大のチャレンジ」と位置づけ、今年の8月3日に発足した第3次安倍再改造内閣に「働き方改革担当相」を新設し、そのもとに「働き方改革実現会議」を開き、年度内をめどに実行計画をまとめて行く方針を固めた。8月26日には2017年度に働き方改革を推進するために、特別会計を含めて877億円(厚生労働省の概算要求額)を計上しており、最近では来年度から、退社から次の出社までに一定の休息時間を保障する「インターバル規制」の導入に取り組む中小企業に対して助成金を支給する方針を固めた。
企業の対応も手早い。トヨタ自動車は今年の6月にほぼすべての総合職社員を対象に週1日、2時間だけ出社すれば、それ以外は自宅等社外で働ける在宅勤務を導入することを発表した。また多くの企業で時間外勤務ゼロ運動や積立休暇制度、リフレッシュ休暇等の措置など長時間労働を減らすための措置が実施されている。
今なぜ働き方改革が急速に進んでいるのだろうか。本稿ではその理由を明確にしたい1。
1 本稿では、金明中(2016)「曲がり角の韓国経済第11回 労働者を優先した働き方改革を」東洋経済日報2016年9月2日を一部引用している。
(2016年09月15日「基礎研レター」)
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生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
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