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2016年05月18日
2|生命保険等の中にも投資・貯蓄商品がある
(1)投資・貯蓄商品
グラフ1やグラフ2で生命保険等に分類されている商品の中にも、投資・貯蓄商品がある。例えば、一時払いの生保商品の多くは、投資・貯蓄を目的とする商品である。2013年の生命保険等の保険料114億ポンド中45億ポンド(39.8%)が一時払い保険料であった。
投資を目的とする一時払い生保商品の代表的なものはインベストメントボンドである。期間制限のない商品で、期間中に死亡があった場合には、その時点の預かり金残高の101%(または100%)が死亡給付金として支払われる。死亡保障性の薄い運用受託型商品である。
英国保険協会(ABI)によれば、2013年末現在、全生命保険契約3,760万件中の720万件(19.2%)がインベストボント等の投資・貯蓄性生保商品であるという。ただし金融危機後、投資・貯蓄性生保商品の販売は不振に陥っている。2014年の投資・貯蓄商品販売件数は12万1,000件であった。
(2)保障商品
生命保険等のうち、投資・貯蓄商品を除いた部分が、死亡保障を提供する定期保険・終身保険、就業不能時の生活費を補償する所得補償保険等の保障(プロテクション)商品である。
保障商品は平準払いで販売されていることが多い。2013年の、定期保険、終身保険、所得補償保険からの収入保険料合計額は67億ポンドで、2013年の全体保険料1,202億ポンドの5.6%を占めるにすぎない。
ただし件数に目を向けると様相は異なる。これら3商品の2013年末契約数合計は2,903万件であり、投資・貯蓄性生保商品の720万件や個人年金の1,158万件と比べても遜色のない規模となる。
英国においては、定期保険等の保障商品はコモディティ(日用品)と考えられており、保険金額が小さな小口で購入されることが多く、件数の割には保険料が少ない。
(1)投資・貯蓄商品
グラフ1やグラフ2で生命保険等に分類されている商品の中にも、投資・貯蓄商品がある。例えば、一時払いの生保商品の多くは、投資・貯蓄を目的とする商品である。2013年の生命保険等の保険料114億ポンド中45億ポンド(39.8%)が一時払い保険料であった。
投資を目的とする一時払い生保商品の代表的なものはインベストメントボンドである。期間制限のない商品で、期間中に死亡があった場合には、その時点の預かり金残高の101%(または100%)が死亡給付金として支払われる。死亡保障性の薄い運用受託型商品である。
英国保険協会(ABI)によれば、2013年末現在、全生命保険契約3,760万件中の720万件(19.2%)がインベストボント等の投資・貯蓄性生保商品であるという。ただし金融危機後、投資・貯蓄性生保商品の販売は不振に陥っている。2014年の投資・貯蓄商品販売件数は12万1,000件であった。
(2)保障商品
生命保険等のうち、投資・貯蓄商品を除いた部分が、死亡保障を提供する定期保険・終身保険、就業不能時の生活費を補償する所得補償保険等の保障(プロテクション)商品である。
保障商品は平準払いで販売されていることが多い。2013年の、定期保険、終身保険、所得補償保険からの収入保険料合計額は67億ポンドで、2013年の全体保険料1,202億ポンドの5.6%を占めるにすぎない。
ただし件数に目を向けると様相は異なる。これら3商品の2013年末契約数合計は2,903万件であり、投資・貯蓄性生保商品の720万件や個人年金の1,158万件と比べても遜色のない規模となる。
英国においては、定期保険等の保障商品はコモディティ(日用品)と考えられており、保険金額が小さな小口で購入されることが多く、件数の割には保険料が少ない。
なお英国ではモーゲージ(不動産担保の住宅ローンなど)の借入れ時に、その返済を確実なものにするため生命保険への加入を求められるものがある。わが国の団体信用生命保険的な位置づけのものである。
1970年代以降、これに応じ、養老保険(契約期間内に死亡があった場合には死亡保険金を、死亡がなく満期を迎えた場合には死亡保険金と同額の満期保険金を支払う生命保険で、保障性と投資・貯蓄性をあわせ持っている)をモーゲージとセットする販売方法は、保障商品販売の代表的な手法と考えられていた。
しかし、確定していない保険契約への配当金までを計算に入れて返済計画を立て販売する手法が苦情を招くこともあり、今日では、モーゲージとセットする保険商品は、養老保険ではなく、いわゆる掛け捨て保険である定期保険が用いられるようになっている。
1970年代以降、これに応じ、養老保険(契約期間内に死亡があった場合には死亡保険金を、死亡がなく満期を迎えた場合には死亡保険金と同額の満期保険金を支払う生命保険で、保障性と投資・貯蓄性をあわせ持っている)をモーゲージとセットする販売方法は、保障商品販売の代表的な手法と考えられていた。
しかし、確定していない保険契約への配当金までを計算に入れて返済計画を立て販売する手法が苦情を招くこともあり、今日では、モーゲージとセットする保険商品は、養老保険ではなく、いわゆる掛け捨て保険である定期保険が用いられるようになっている。
3|生命保険商品の加入率は低下傾向
表2は、英国の家計が各保険種類に支払っている支出額と各保険種類の世帯加入率である。
表中に「住宅ローンと関連づけられた養老保険」として記載されているものは、前述の、モーゲージとセット販売された養老保険を指している。
英国では、生命保険の世帯加入率は24.9%、個人年金の加入率は8.7%と低く、自動車保険(75.4%)、家財保険(76.4%)に大きく水をあけられている。生命保険・個人年金の加入率が90%近いわが国の状況とは異なって、英国では、限られた顧客層に大きめの投資・貯蓄商品を販売するといった事業が行われていると考えればよさそうである。
英国の生命保険加入率を時系列で見ると、金融危機後、低下傾向にあり、懸念される。
表2は、英国の家計が各保険種類に支払っている支出額と各保険種類の世帯加入率である。
表中に「住宅ローンと関連づけられた養老保険」として記載されているものは、前述の、モーゲージとセット販売された養老保険を指している。
英国では、生命保険の世帯加入率は24.9%、個人年金の加入率は8.7%と低く、自動車保険(75.4%)、家財保険(76.4%)に大きく水をあけられている。生命保険・個人年金の加入率が90%近いわが国の状況とは異なって、英国では、限られた顧客層に大きめの投資・貯蓄商品を販売するといった事業が行われていると考えればよさそうである。
英国の生命保険加入率を時系列で見ると、金融危機後、低下傾向にあり、懸念される。
以上、見てきたように、英国の生保市場では、投資性・貯蓄性の高い商品が主力商品となっており、保障商品の提供を重視するわが国の生保市場とはかなり様相が異なっている。
英国では、生保会社は保障の提供者ではなく、長期的な投資を提供するアセットマネージャーとして認識されている。英国の生保会社は、引き受けるリスクの発生度合いから利益を得るのではなく、投資で鞘を取ることにより利益を得るビジネスを行っている。
英国では、生保会社は保障の提供者ではなく、長期的な投資を提供するアセットマネージャーとして認識されている。英国の生保会社は、引き受けるリスクの発生度合いから利益を得るのではなく、投資で鞘を取ることにより利益を得るビジネスを行っている。
松岡 博司
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