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「目指したい健康」はどんな状態?~アンケートによる「健康」の要素

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
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グループ別構成比は、属性によって異なる(図表3)。たとえば20代男性の50.7%がグループIに属している。対象者全体では35.9%であったことから、20代男性はグループIに多いと言える。一方、グループVIには8.7%しか属していない。しかし、対象者全体では3.5%であったことから、相対的にグループVIにも20代男性が多いと言える。
以下、同様に、対象者の性別、年代別、病歴と健康診断結果、今後の健康との付き合い方についての特徴をグループ別にまとめる。
グループIには、20~50代の男性が多い。投薬や通院、入院、手術などの病歴が少ないほか、健康診断の結果でも思わしくない項目がないことから、身体面での健康状態が良い人が多いと思われる。健康との付き合い方では、「なりゆきにまかせたい」「わからない」等の回答が多い。
グループIIには、50~60代の比較的年齢層の高い男女が多い。投薬や通院、入院、手術の病歴があるほか、健康診断では結果が思わしくない項目が多数ある。今回のグループの中では最も身体面での健康状態が悪い可能性がある。健康との付き合い方は「現状の状態を維持したい」と回答している。
グループIIIには、40~60代の中高年女性が多い。投薬や通院、入院経験はあるが手術は少ないほか、健康診断においては、いくつか思わしくない項目がある。健康との付き合い方としては「現在より増強したい」と回答している人が多い。
グループIVには、20~40代の女性が多い。BMI(または体重)のみ思わしくないと回答している。ただし、投薬や通院、入院、手術といった病歴は少ないことから比較的、身体面での健康状態は良いものと推測できる。健康との付き合い方では「現在より増強したい」と考えている。
グループVには、40代女性が多い。腹囲と視力・聴力が思わしくないと回答している。グループⅣと同じく投薬や通院、入院、手術といった病歴は少なく、健康との付き合い方では「現在より増強したい」と考えている。
グループVIには、20代と40代の男性、および20代の女性が多い。投薬や通院、入院、手術の経験がなく、健康診断の結果も良い。グループIと同様に健康との付き合い方では「なりゆきにまかせたい」「わからない」の回答する人に多くなっている。
図表2のグループ別“目指したい健康”とあわせてみると、若年、身体面での健康状態が良い人が多く含まれるグループⅠやグループⅥでは、“目指したい健康”を、それぞれ「病気でない」や「毎日が楽しく喜びにあふれている」と他グループと比べて狭い概念で捉えていた。ただしグループIが身体面を重視する傾向があるのに比べると、グループVIは心理面を重視する傾向があった。いずれも健康との付き合い方では「なりゆきにまかせたい」「わからない」と回答しており、日常生活において健康について考えることが少ないことがうかがえる。
今回のグループの中では年齢が高く、最も身体面での健康状態が悪い可能性があるグループIIは、“目指したい健康”として「幸せを感じる」「家庭円満である」など心理面を重視する傾向があった。健康との付き合いでは「現在の状態を維持したい」と、グループIII~Vと比べると消極的だった。
女性の40代以降に多く、やや身体面での健康状態が悪い可能性があるグループIIIは、“目指したい健康”としてすべての項目で対象者全体を上回った。健康との付き合いでは「現在より増強したい」と回答する人が多く、健康に対する期待が大きいように思われる。
グループIVは、若い女性が多いことや、病歴が多くはないこと、他の健康診断項目で思わしくない項目があるわけではないことから、比較的健康状態は良いものと考えられる。このグループも、健康との付き合い方では「現在より増強したい」と回答している。
3――まとめと考察
一方、冒頭に紹介した健康づくりのための政策や取組みにおける「健康」は、こういった幅広い概念の中で、それぞれの目的に応じて絞り込んだ意味で使われているようだ。
今後もこういった「健康」に関する取組みは活発に行われると思われる。その際、その取組みがどういった「健康」を目指しているのか、それが人々の思う“目指したい健康”とどうつながるのかが明確になると、より参加しやすいものとなるだろう。
(2016年01月28日「基礎研レター」)

03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
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