2012年03月29日

高齢化課題の全貌と対策~日本学術会議提言が示す高齢化課題一覧の有効活用に向けて~

生活研究部 上席研究員・ジェロントロジー推進室兼任 前田 展弘

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■見出し

1――はじめに~本格的な超高齢社会の到来に向けて
2――日本学術会議提言が示す「高齢化課題一覧」の全容と解説~185の研究・政策的課題
3――高齢化課題一覧の有効活用を通じた高齢化課題解決の対策視点
4――さいごに

■introduction

国立社会保障・人口問題研究所が作成する「日本の将来推計人口」が、前回発表の2006年12月推計から約5年ぶりに更新された(2012年1月発表)。少子高齢化、人口減少に向かう大きなトレンドは変わらないが、改めて日本が本格的な超高齢社会にこれから突入していくことを浮き彫りにした。65歳以上の人口割合に着目すると、2010年時点の23.0%から、2013年には25.1~2%で4人に1人を上回り、その後2035年に33.4%で3人に1人を上回り、50年後の2060年には39.9%、すなわち2.5人に1人が高齢者となる見込みである(中位推計ベース)。このままの出生率の状況が続けば、否が応にも日本の未来は超々高齢社会になるわけであり、そのことを前提にした社会全体の創り直しを急ぐ必要がある。
その未来社会創りに向けては、ジェロントロジー(高齢社会について総合的に研究する学問分野)を核とした「社会システム全体の変革」と「長寿時代に相応しい個人の生き方の変革」が必要であることを以前述べた 。それぞれの課題を明確にし、解決に向かうことが国民の生活、社会全体の発展に寄与するわけであるが、高齢化・長寿化に伴う課題は広範な領域で数多く提起されているため全体像及びその詳細が把握できない、という声をよく聞く。確かに「高齢化課題とは何か」と聞かれて、その全容を理解し説明できる者は意外と少ないように想像する。
そこで本稿では、筆者も制作に参加・協力した日本学術会議提言 に収められた「高齢化・長寿化に関連する課題一覧/長寿社会に資する学術のロードマップ」(以下、高齢化課題一覧と称する)をもとに、高齢化課題の全容を明らかにするとともに、高齢化課題一覧の有効活用の視点を含めた高齢化課題解決に向けた取組視点について私見を述べることとする。

(2012年03月29日「ジェロントロジーレポート」)

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生活研究部   上席研究員・ジェロントロジー推進室兼任

前田 展弘 (まえだ のぶひろ)

研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究学)、超高齢社会・市場、高齢者就労問題、ライフデザイン、高齢者のQOL/well-being

経歴
  • 2004年   :ニッセイ基礎研究所入社

    2009年度~ :東京大学高齢社会総合研究機構 客員研究員

    2022年度~ :東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員

    2021年度~ :慶応義塾大学ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター 訪問研究員

    2023年度  :早稲田大学Life Redesign College(人生100年時代の大学)講師

    内閣官房「一億総活躍社会(意見交換会)」招聘(2015年度)

    厚生労働省「生涯現役地域づくり普及促進事業有識者委員会」委員長(2024年度)

    財務省財務総合政策研究所「高齢社会における選択と集中に関する研究会」委員(2013年度)、「企業の投資戦略に関する研究会」招聘(2016年度)

    東京都「東京のグランドデザイン検討委員会」招聘(2015年度)

    神奈川県「かながわ人生100歳時代ネットワーク/生涯現役マルチライフ推進プロジェクト」代表(2017-19年度)

    生協総研「2050研究会(2050年未来社会構想)」委員(2013-14、16-18年度)

    全労済協会「2025年の生活保障と日本社会の構想研究会」委員(2014-15年度)

    一般社団法人未来社会共創センター 理事(全体事業統括担当、2020年度~)

    一般社団法人定年後研究所 理事(2018-19年度)

    【資格】 高齢社会エキスパート(総合)※特別認定者、MBA 他

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