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インバウンド消費の動向(2024年10-12月期)-2024年の消費額は8.1兆円、訪日客数は3,687万人で過去最高

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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3――訪日外国人旅行消費額~コロナ禍前の2倍、円安効果で消費額が2倍を超える国が多数
一般客31人当たりの消費額を見ると、2019年10-12月期では17万434円であったが、2023年同期には22万66円(2019年同期比+4万9,632円、増加率+29.1%)、2024年同期には23万7,002円(同+6万6,568円、増加率+30.2%)へと増加傾向にある。なお、2024年10-12月期の訪日客の平均宿泊日数は8.7日で、2019年同期(8.7日)や2023年同期(8.5日)と同様であるため、1人・1泊当たりの消費額が増えていることが分かる。
1人・1泊当たりの消費額を見ると、2019年10-12月期は2万51円であったが、2023年同期には2万5,295円(2019年同期+5,244円、増加率+26.2%)、2024年同期には2万7,241円(同+7,190円、増加率+28.4%)へと増加傾向にあり、現在では2019年同期と比べて約1.4倍に膨らんでいる。
一方、2023年10-12月期では、首位は台湾(14.1%、2019年同期比+4.1%)で、僅差で中国(13.8%、同▲18.3%pt)が続き、その割合は2019年同期と比較して半分以下に減少している。これらに次いで韓国(12.4%、同+7.8%pt)、米国(11.2%、同+4.0%pt)、香港(8.6%、同+0.7%pt)が続いており、中国の比率の低下により他の上位国の比率が伸びていた。
さらに、最新の2024年10-12月期では、中国(18.9%、同▲13.2%pt)が再び最多となり、次いで台湾(12.9%、同+2.8%pt)、米国(11.6%、同+4.4%pt)、韓国(11.4%、同+6.8%pt)、香港(7.0%、同▲0.9%pt)と続いている。
また、消費額の上位国を中心に、2019年10-12月期に対する2024年同期の増減率を見ると、韓国(+378.1%)は約5倍、米国(+205.2%)は約3倍、台湾(143.0%)や豪州(+132.9%)は1.5倍近くに大幅に増加している。いずれも消費額の増減率が外客数の増減率をはるかに上回っており、各国で訪日客1人当たりの消費が増加していることが分かる。なお、中国からの訪日は回復途上にあるものの、2024年10-12月期の消費額は2019年同期を約1割上回っている(+12.3%)。
なお、各国籍・地域の訪日外客数と消費額の割合の関係を見ると、訪日外客数が多い国籍・地域ほど消費額が多い傾向が見受けられるが、宿泊日数や購買意欲の違いなどが影響しているようだ。宿泊日数に関しては、近隣のアジア諸国と比べて欧米からの旅行客は長い傾向がある。例えば、韓国は2024年10-12月期の訪日外客数は首位(全体の2.5%)であるものの、平均宿泊日数(全目的で4.0日、観光・レジャー目的で3.5日)は全体(同8.7日、同6.7日)と比較して半分程度と短いため、消費額は4位(全体の11.4%)にとどまっている。一方、米国からの訪日外客数は4位(全体の7.7%)であるが、平均宿泊日数(同11.1日、同10.7日)が比較的長いため、消費額の割合(11.6%)がやや高くなる傾向がある。
一方、2024年7-9月期では首位は同じく英国(40万9,784円、2019年同期+8万2,557円、増減率+25.2%)が最多で、豪州(39万9,809円、同+11万6,024円、同+40.9%)、スペイン(37万6,785円、同+12万4,159円、同+49.1%)、ドイツ(36万8,337円、同+14万799円、同+61.9%)、フランス(35万6,916円、同+9万9,251円、同+38.5%)、米国(35万2,272円、同+15万3,544円、同+77.3%)が35万円を超えており、2019年同期と比較して1.5倍前後大幅に増えている(図表略)。
3 訪日外客からクルーズ客の人数(法務省の船舶観光上陸許可数に基づき観光庁推計)を除いたもの
(2025年02月06日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/22 | 家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年2月)-物価高の中で模索される生活防衛と暮らしの充足 | 久我 尚子 | 基礎研レポート |
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2025/04/08 | 2025年の消費動向-節約一服、コスパ消費から推し活・こだわり消費の広がり | 久我 尚子 | 基礎研マンスリー |
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