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- こどもたちの瞳に映る“介護の未来”シーン-厚生労働省の「こども霞が関見学デー」に見るこどもたち-
1.「こども霞が関見学デー」全体の開催概要と厚生労働省の見学デーの概要
今回、筆者は自身の調査・研究テーマの一つである介護ロボットについて、厚生労働省の見学デーを参観する機会を得た。当日は、日頃の庁舎内の様子とは異なり、多数の親子チームが建物内を闊歩する姿が多数あり、何か新鮮な印象を覚えた。
今年度、同省が掲げた見学デーのキャッチフレーズは、「夏だ!試して、遊んで、学べる2日間」であった。そして合計28の様々なプログラムが展開され、同省全体の参加者数は3,600人と公表されている。それらのプログラムでは、補助犬の仕事を学んだり、薬についての化学実験を体験したり、人の命を救う最先端の医療機器に触れたりと多彩であった。その中の一つが介護ロボットの展示・体験コーナーである(図表-1)。
2.介護ロボットの展示・体験コーナーの様子
筆者は毎年、福祉用具や介護ロボット、サービスロボット等の複数の展示会を見学し取材するが、今回、こどもたち(親子)を対象とする展示・体験会に参加したのは初めてであった。そこで筆者が印象深く感じたのは、こどもたちが出展企業の担当者によるサポートや説明を受けながら、何の気後れもなく積極的に様々な介護ロボットの操作体験にチャレンジする姿であった。その中には見たこともない介護ロボットの操作がとても楽しいと回りの人々に話す小学生も居た。この他にも得点が表示されるゲーム形式の腕のストレッチ用の機器に熱中していたり、新しい電動車いすを狭い空間で器用に操作するこどもたちが多数居て、筆者は少々驚きもした。勿論、スタンプラリーのシール集めも、操作体験の一つのモチベーションになっていたのも確かのようだった。
3.将来への期待
様々な社会的課題の中で、少子高齢化に直結した課題解決は容易でない。なぜならば、少子化にしても高齢化の課題改善や解決にしても、その取組みは一朝一夕で効果が得られる性格の課題でなく、長い時間や経済的コストをかけた最適な対策立案とその迅速な実行や各種法制の見直し・新設などが必要だからである。さらに、既に人口減少が始まる中で、少子化に慣性力が働き始めるとそれを復元するにはより強力な政策が必要となる。
2030年代は超高齢社会のピーク時期である2040年が近づく一方で、Society 5.0といったスマート社会の構築が着々と進行していよう。そして、AIやIoT、ロボットなどの様々な機器やシステムの活用と人との協働が進み、製造業分野と共に各種サービス分野で機械システムと人との適合性のよい効率化が進展することこそが、この課題解決の最重要ポイントである。
と同時に、その時期には「健康寿命の延伸」への様々な保健、医療・介護の政策が奏功し、「エイジレス社会」構築が一層進展し、年齢などによる様々な制約に縛られることなく、自身の持てる能力を発揮できる社会が構築されていることが期待される。
言うまでもなくその主たる担い手は、現在の小学生・中学生・高校生などの新世代である。彼らが力を発揮できる環境を長期的視点から整備し、構築していくことは産学官の重要な社会的責務であり、この見学デーは予想以上に重要な役割を担っていると感じた。
青山 正治
研究・専門分野
(2018年08月30日「研究員の眼」)
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