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高まる介護ロボット導入による「効果的な活用」への注目度-多くの関係者が詰め掛けた「介護ロボットフォーラム2016」-

青山 正治
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2017年3月1日に、東京の有明で厚生労働省の「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業」の一環として公益財団法人テクノエイド協会の主催による「介護ロボットフォーラム2016」が開催された。今回は約700人の関係者が参加し盛況であった。今年のフォーラムの主な内容は3つあり、一つ目が「最新介護ロボットの展示及び説明、相談会」、二つ目は「介護ロボットシンポジウム」の開催である。さらに、三つ目が「介護ロボット導入好事例の表彰及び最優秀賞の決定」であり、この「導入好事例の表彰」は今回が初の取組であった。これら3つの内容の概況に触れる。
一つ目の介護ロボットの展示では24機種が展示・説明され、その介護ロボット等は図表-1のとおりである。展示機器の「分類」に着目すると、「見守り支援」が8機種で最も多く、次いで「移動・移乗支援」が6機種、「コミュニケーション」が4機種と続いている。
二つ目のシンポジウムでは、介護ロボットの展示会場の奥手で、主催のテクノエイド協会や介護ロボット開発・導入に向けた事業を推進する経済産業省及び厚生労働省の担当者から政策動向についてのプレゼンテーションが行なわれた。会場では準備された座席数では足りず、座席の後方は多数の立ち見の来場者に囲まれるような状況であった。続いて介護ロボットの導入事例報告の2機関と介護ロボットを活用した介護技術開発モデル事業を実施する4機関から報告が行なわれた。
三つ目の表彰事業は今回が第1回目であり、2016年の10月から11月の約1ヶ月間の募集期間に応募があった全95件から、テクノエイド協会によって書類審査と現地調査が行なわれ、特に優れた事例として優秀賞(3部門8件)、好事例賞(4部門11件)が選ばれ、受賞式が行なわれた。
さて、今回の機器展示会を含めて最近の介護ロボット等の展示会場では、数多くの介護関係者が熱心にメーカーの担当者に使い方や使用効果等について質問したり、機器を試用するシーンが多数見られるようになっている。過去から様々な介護ロボット等の展示会等を取材していると、今から2~3年前の展示会場では、各展示メーカーの担当者に質問する人の数も少なく、機器のデモンストレーションをやや遠巻きに見学する人々が多数であったように記憶している。
しかし、最近では介護関係者の、これら機器についての関心が急速に高まってきているように感じられる。その背景には、厚生労働省が実施した「介護ロボット等導入支援特別事業(2015年度の補正予算)」が影響しているのではないだろうか。同事業はやや遅れ気味に遂行されているが、結果的には、このような介護ロボットの「効果的な活用」に関する様々な好事例の情報発信とほぼ同時期となったことで、今回のフォーラムのように参加人数を押し上げる一要因になっていることが推察される。現在、積極的な機器導入と活用を検討する介護サービス事業所には、同フォーラムの「ガイドブック」にある好事例等の各取組内容は様々な点で参考となる情報を多く含んでいよう。
今回、初めて好事例などの表彰が実施されたが、同表彰制度などによる介護現場における介護ロボットの導入・活用への具体的な取組事例の情報発信が継続され、福祉用具や介護ロボットの導入が拡大して効果的な活用が促進されることを大いに期待したい。
■目次
1――「介護ロボットフォーラム 2016」の開催状況
1|最新介護ロボットの展示及び説明、相談会
2|介護ロボットシンポジウム
3|介護ロボット導入好事例の表彰及び最優秀賞の決定
2――今後、多数の「効果的な活用」に関する好事例の情報発信に期待
(2017年03月30日「基礎研レター」)
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