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- 介護ロボットの導入・活用への着実な取組-東京都の「次世代介護機器の活用支援事業」への取組
継続される介護ロボットの開発・活用促進への取組
その中で東京都の「次世代介護機器の活用支援事業」の一環で7月下旬に(公益財団法人)東京都福祉保健財団が主催する普及啓発セミナーで、同事業の活用支援への充実した取組内容等が公表された。このため本稿では、そのセミナー概要を記した後、筆者の感想や考察を簡略に記す。
東京都の「次世代介護機器の活用支援事業」の概要
2019年7月下旬に都内2カ所でこの「普及啓発セミナー」が介護関係者等向けに実施された。当初、基調講演として同事業のアドバイザー(講師)から「次世代介護機器の効果的な導入へのアプローチ」として、介護ロボットの導入から活用への段階毎の要点が分かり易く解説された。また、介護ロボット導入検討の情報収集に役立つ複数のWebサイトの情報源や、セミナーを主催する財団に複数の介護ロボットの常設展示場があり、見学や機器の体験、相談が出来ることがセミナー参加者に紹介された。
次いで以前よりモデル事業に参加してきた特養の施設長の講演に続き、事業参加の介護施設の管理職や施設長などが参加し「次世代介護機器導入における組織全体の合意形成」と題するシンポジウムが行われた。その内容は介護ロボットを操作する職員の心理的な負担感を低減したり、やる気を引出す具体的な方法など、実践的な経験に裏付けられた様々なマネジメント情報であった。
また、会場に展示された次世代介護機器(介護ロボット)の各事業者から、各機器の手短な解説やビデオ動画での説明もあり、セミナー終了後に多数の参加者が各社の機器を取り囲んだ。
1 東京都福祉保健局高齢社会対策部計画課「次世代介護機器の活用支援事業 平成31年度事業説明会」(平成31年3月20日)資料1を参照
印象に残ったシンポジウム登壇者のコメント
それは、登壇した各施設の介護現場の施設長らが、強い確信を持って話されているのに対して、参加の介護関係者が頷きながら話に聞き入り、一言も聞き逃さないようにノートを取る姿である。各登壇者は以前より東京都のモデル事業等に参加し、介護現場への介護ロボットの導入・活用に真摯に取組んでこられているが、その経験の重みがみんなをその行動に促したにちがいないのである。そこで、その取組み内容をホームページ内の資料から見てみよう。
着実な取組
その一つは「次世代介護機器導入前セミナーのお知らせ」のプログラム内容にある、企業のビジネス研修等でも用いられる「課題の見える化」である。新しい機器導入というと、取りあえず介護現場に機器を設置して使ってみるという取組みが少なくないと推測される。しかし「導入前セミナー」で介護ロボットを導入する介護現場の課題を「課題の見える化」の手法でしっかりと把握し、その介護ロボットが有効かどうかを事前検討することができる。
二つ目は、「次世代介護機器の活用支援事業」の説明会資料2(2019年3月20日付け)にある前述の「アドバンスト施設」(機器の導入・活用の模範施設)への期待として挙げられている9つの視点である。それらは、(1)利用者に対するケアの質の向上、(2)アドバンストセミナーや公開見学会への協力姿勢等、(3)次世代介護機器に関する情報収集行動、(4)チームづくり、(5)多職種の連携、(6)検討の場の設定、(7)法人も巻き込んだ検討、(8)課題の共通認識、(9)導入機器の分野、である。なお、(9)は、「アドバンスト施設」に「見守り」及び「移乗介助」分野の次世代介護機器でなく、事例の少ない「移動支援」、「排泄支援」、「入浴支援」分野の機器の導入・活用を勧めるものである。
さて、前述のとおり、シンポジウムの登壇者の確信に満ちたコメントの背景には、この「アドバンスト施設」への期待にある(1)や(4)~(8)のような日常の介護現場でも重視される目標と次世代介護機器の導入・活用を融合させる取組が着実に進行しつつあると推察する。
今後の事業推進により「アドバンスト施設」がさらに増え、進化して将来的に介護施設における「次世代介護」の実現を期待したい。
2 出所は前頁の脚注1の資料に同じ。「アドバンスト施設に期待すること(9項目)」(P12)についてはP13~P16に解説が記載されている。
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青山 正治
研究・専門分野
(2019年09月11日「研究員の眼」)
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