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コラム
2020年05月18日
サービスロボットやICTの新たな利活用分野-防疫対策でのICTやロボット技術活用の可能性-
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はじめに
近年、一般家庭にも掃除ロボットが普及し、街中でも様々なサービスロボットの実証試験の場面に遭遇する機会が増えていた。しかし、年明け早々、新型コロナウィルスのパンデミックが世界各国の社会・経済活動を停止させる事態を招来した。国内では、このウィルスの防疫体制を強化する上でICTを活用した遠隔診療やテレワークが実施されている。また、サービスロボットによる自動搬送や遠隔操作ロボットの活用等が、感染防止に寄与する可能性がある。これらの点を簡略に検討する。
今後、中長期でAIやICTを活用した賢いサービスロボットが各方面で社会実装され、少子高齢社会で有効に利活用され、様々な社会的課題が改善・解決されることを、筆者は大いに期待している。その一つの背景として、2014年に政府が表明した「ロボット革命」のアクションプラン「ロボット新戦略」(2015年2月)が発表された。そして介護・医療分野に加え、インフラ・災害対応・建設分野、さらに農林水産業・食品産業分野等のロボット実用化が5か年計画で推進された。その成果となる各分野のロボットが多数登場し、国内の各方面で実証試験が実施されていた。
用途別サービスロボットの現状と課題
身近なホーム用では、冒頭の掃除ロボットの他に拭き掃除用の機種も登場している。オフィスワーク用ではオフィスビルの自走式清掃ロボットや夜間の警備ロボット、小型の自動搬送ロボット、多言語対応の受付や案内ロボット等々が開発され、実証試験や事業化への取組が進展している。このほか、手術用ロボットや介護支援用のロボット、運輸・倉庫用のAGV(無人搬送車)等の様々なロボットが登場している。しかし、これらサービスロボットが順次、各用途分野で社会実装され、円滑に利活用が開始されているかといえば、筆者は全体的に少し遅れ気味だと感じている。私見だが、遅れの内容から推察すると共通課題が何点かあると思われ、課題と併せて改善策の一例(カッコ内)を示す。それらは、(1)人の活動する環境での安全性確保(十分な実証試験の実施)、(2)導入初期の高コスト改善(ビジネスモデル等の工夫)、(3)各種規制緩和や法律の見直し(短時間化)である。また、今回はこれらの課題に加えてパンデミックによる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期の影響も利活用の更なる遅れに繋がるものと思われる。それは、東京五輪は様々なロボットやハイテクのショーケースとする計画であったからだ。社会にとって有益な新しいモノ・コトを迅速に社会実装するには、今以上に多様な知見の活用や産官学民のワンチーム化が必要である。
防疫対策に向けたICT・ロボット技術の利活用の可能性
2020年3~4月の新型コロナウィルスのパンデミックを経て、欧米主要国等では5月上中旬より続々と段階的な経済活動再開に動いている。しかし、既に経済活動を再開した国々の一部では再感染も発生しており、第2波感染拡大への十分な警戒が必要である。そして、その時々の実効再生産数等々の状況に応じた迅速な再制限実施など、十分な事前検討と対応策の策定が必須である。
言うまでもなく、多岐にわたる防疫対策の最優先課題は、安全で効果の高い医薬品開発やワクチン開発であり、既に世界各国で激しい開発競争が展開されている。次いで国内の重要課題は、医療従事者等の感染防止用の様々な防具(医療用のマスク、ゴーグル、フェースシールド、防護服、医療用手袋など)等々の更なる増産と備蓄である。この増産の点では緊急時には異業種を含めた国内増産体制の構築も重要である。感染防止用具の十分な供給の重要性は、介護施設等においても同様である。
また、機器の面では、既にTV報道に消毒薬散布用ロボットが登場しているが、非接触や距離の確保といった課題解決にはICTを活用したコミュニケーション機器の活用、遠隔診療のための各種TV電話システム、遠隔操作の各種ロボットやテレプレゼンスロボット等の活用が役立つ機会が多数あるようだ。今後の緊急事態宣言の緩和や解除の段階でも第2波、3波感染の予防のため、通常の社会活動の代替や補完といった様々なシーンでもICTやロボット技術活用の可能性は高いと考える。また、感染者を安全に隔離する設備や搬送装置などで、自動化技術を駆使した一連のシステム機器開発は、今後の新型のウィルスや高病原性鳥インフルエンザ等の防疫のためにも有益であると思われる。
言うまでもなく、多岐にわたる防疫対策の最優先課題は、安全で効果の高い医薬品開発やワクチン開発であり、既に世界各国で激しい開発競争が展開されている。次いで国内の重要課題は、医療従事者等の感染防止用の様々な防具(医療用のマスク、ゴーグル、フェースシールド、防護服、医療用手袋など)等々の更なる増産と備蓄である。この増産の点では緊急時には異業種を含めた国内増産体制の構築も重要である。感染防止用具の十分な供給の重要性は、介護施設等においても同様である。
また、機器の面では、既にTV報道に消毒薬散布用ロボットが登場しているが、非接触や距離の確保といった課題解決にはICTを活用したコミュニケーション機器の活用、遠隔診療のための各種TV電話システム、遠隔操作の各種ロボットやテレプレゼンスロボット等の活用が役立つ機会が多数あるようだ。今後の緊急事態宣言の緩和や解除の段階でも第2波、3波感染の予防のため、通常の社会活動の代替や補完といった様々なシーンでもICTやロボット技術活用の可能性は高いと考える。また、感染者を安全に隔離する設備や搬送装置などで、自動化技術を駆使した一連のシステム機器開発は、今後の新型のウィルスや高病原性鳥インフルエンザ等の防疫のためにも有益であると思われる。
(参考文献)
<政府及び行政の公表資料>
・日本経済再生本部「ロボット新戦略 Japan‘s Robot Strategy - ビジョン・戦略・アクションプラン - 」(2015年2月10日)
<ニッセイ基礎研レポート(Web版)>
・「『再興戦略改訂』に組み込まれた『ロボット革命』の実現 - 「社会的な課題解決」へ向けた「5カ年計画」策定に注目 -」(2014年9月30日)
・「本格化するサービス分野でのロボット開発 - 先行する介護ロボット開発動向からの示唆 -」(2014年12月26日) その他
(注)執筆は5月15日時点
<政府及び行政の公表資料>
・日本経済再生本部「ロボット新戦略 Japan‘s Robot Strategy - ビジョン・戦略・アクションプラン - 」(2015年2月10日)
<ニッセイ基礎研レポート(Web版)>
・「『再興戦略改訂』に組み込まれた『ロボット革命』の実現 - 「社会的な課題解決」へ向けた「5カ年計画」策定に注目 -」(2014年9月30日)
・「本格化するサービス分野でのロボット開発 - 先行する介護ロボット開発動向からの示唆 -」(2014年12月26日) その他
(注)執筆は5月15日時点
(2020年05月18日「研究員の眼」)
青山 正治
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