2017年12月04日

超高齢社会の人の“移動”を支援する機器開発の動き-モーターショーに見るパーソナルモビリティやコンセプトモデル-

社会研究部 准主任研究員   青山 正治

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■要旨

「第45回東京モーターショー2017」が10月27日(金)~11月5日(日)の10日間、東京ビッグサイトで開催された。本稿では、東京モーターショーの主催者テーマ展示「TOKYO CONNECTED LAB 2017」というエリアに出展した複数企業の展示の中から最新機器やコンセプト機器の一部を紹介し、超高齢社会における「人の移動」支援について考察する。(機器の紹介は本文を参照されたい。)

<最新機器やコンセプト機器について>
本文では4種類の移動支援機器(コンセプトモデル3種を含む)と最後に介護ロボット(ロボット介護機器)の移動支援(屋外型)の歩行支援機器の一例を紹介している。

最初の機器(図表-1)はWHILL(ウィル)株式会社が今夏に発売した最新モデル「WHILL Model C」というパーソナルモビリティである。開発コンセプトは「暮らしを楽しくする新しい“クルマ”」とする活動範囲の広い電動車いすである。

2~4番目の機器は、ホンダ(本田技研工業株式会社)が提案する「近未来のモビリティ」のコンセプトモデル(開発の方向性や概念を示すモデルで発売は未定)である。

2番目(図表-2)は「Honda チェアモビ Concept」という一人乗りの移動支援機器である。開発コンセプトは「歩く感覚に近い乗りもの」でり、その特長はシート高が調節でき、やや高めにすると歩く人と一緒に自然な感覚で移動でき、屋外の歩道の走行(時速6km)や屋内での活用が想定されている。
 
3番目(図表-3)は「Honda ふれモビ Concept」という、人と人の“ふれあい”を開発コンセプトにしたモビリティである。最大の特長は二人乗りが可能なコンパクトな電動車いすである。サイズ的には一人乗り電動車いすとほぼ同じであり、介助者がシート後部に立ち乗りすることが想定されている。
 
4番目(図表-4、5)は「Honda 家モビ Concept」である。このコンセプトモデルは、住宅の1階の角がそのまま自動運転のEV(電気自動車)になるというコンセプトモデルである。一般の住宅の駐車場スペースをそのまま移動する部屋として家屋に組込んだという発想がとてもユニークなコンセプトモデルである。

以上は介護ロボット等を調査・研究する筆者が興味を覚えた多数の展示内容からのごく一部の紹介である。

5番目(図表-6)は、既に実用化されている介護ロボット(ロボット介護機器)の中の一例で、自立歩行を支援する「ロボットアシストウォーカーRT.1」(RT.ワークス株式会社)である。同機は自立の高齢者の日常生活における自立歩行を支援する介護ロボットであり、屋外で高齢者などの自立歩行や買い物等を支援する機器である。自立歩行が可能ながら足腰の筋力低下によりふらついたり、転倒リスクのある高齢者等の外出支援や買い物の荷物の運搬(10kg)にも役立つ。このような屋外の歩行支援機器の、状況に応じた適切な活用によって外出や買い物を支援し、「フレイル(虚弱)」の時期の転倒を防ぎ、外出や地域の介護予防の体操の集いなどへの参加を可能とできよう。(なお、後継のコンパクト型の「RT.2」も実用化されている。)

<考察>
勿論、多様な状態像の高齢者の残存能力を維持・増進する上で適した福祉用具、例えば杖や歩行器、歩行車、シルバーカー、各種車いすの選択もある。また、それら福祉用具の活用以前にも様々なエビデンスに裏打ちされた介護予防の体操やストレッチも数多く考案されている。

しかし、全ての高齢者にとって中長期的な加齢の進行に伴う心身の機能低下は基本的に不可避である。その心身の変化に応じて最適な福祉用具や介護ロボット等を上手に活用することは、単に低下した移動能力を補うだけでなく、様々な移動手段を得てその移動目的の実現、例えば友人たちとの茶話会に参加したり、孫や家族とピクニックに出かけることによる楽しみや生きがいを得ることを可能にできるのではないだろうか(図表-7)。

今回、1章で紹介した最新のパーソナルモビリティや複数のコンセプトモデル、さらに移動(歩行を含む)支援用の介護ロボット(ロボット介護機器)などは、超高齢社会における様々な移動手段をユーザーに提供し、その活用によって自身の活動を維持・拡大しQOL向上の大きな可能性を有していると筆者は感じている。高齢化の進行は、多様で新たな歩行支援や移動手段の提供を既に必要としている。

■目次

1――東京モーターショーに出展されたパーソナルモビリティやコンセプト機器
  1|「WHILL Model C」(WHILL株式会社)
  2|「Honda チェアモビ Concept 」(コンセプトモデル)
  3|「Honda ふれモビ Concept 」(コンセプトモデル)
  4|「Honda 家モビ Concept 」(コンセプトモデル)
2――登場する様々な自立歩行や移動を支援する機器群
  1|自立歩行を支援する機器のー例(「RT.1」(RT.ワークス株式会社))
  2|様々な福祉用具や機器を活用して歩行や移動を支援しQOLの向上を
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社会研究部   准主任研究員

青山 正治 (あおやま まさはる)

研究・専門分野
少子高齢社会・社会保障

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