2018年08月08日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(8月号)~輸出は10%前後で堅調な拡大が継続

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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シンガポールの18年6月の輸出額(石油と再輸出除く)は前年同月比3.8%増(前月:同20.3%増)と大きく鈍化した。輸出は主力の電子製品が低調に推移しているものの、石油化学製品を中心に増加傾向を維持している。なお、総輸出額は前年同月比11.0%増(前月:同14.6%増)、総輸入額が同15.7%増(前月:同14.1%増)となり、それぞれ低下した。結果として、貿易収支は34.9億ドルの黒字と、前月から6.0億ドル減少した(図表11)。

輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同5.5%減(前月:同4.0%減)と5カ月連続で低迷した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、PC(同32.3%増)と通信機器(同5.7%増)がプラスに転じたものの、主力のIC(同17.5%減)とPC部品(同25.0%減)、ダイオード・トランジスタ(同3.4%減)が前月に続いてマイナスとなった。また電子製品と同じく全体の約3割を占める化学は同18.9%増(前月:同24.9%増)と低下しつつも高水準を維持した。化学製品の内訳を見ると、医薬品が同22.3%増(前月:同37.7%増)、石油化学製品が同18.4%増(前月:同19.6%増)と、それぞれ好調だった。
(図表11)シンガポール貿易収支/(図表12)シンガポール輸出の伸び率(品目別)
フィリピンの18年6月の輸出額は前年同月比0.1%減と、前月(同1.8%減)に続いて減少した。輸出は主力の電子製品こそ増加傾向を維持しているものの、全体では昨年後半から伸び悩み、足元では6ヵ月連続マイナス圏で推移している。一方、輸入額は前年同月比24.2%増(前月:同12.6%増)と一段と上昇して3ヵ月連続の二桁増となった結果、貿易収支は33.5億ドルの赤字となり、前月から3.4億ドル赤字が縮小した(図表13)。こうした貿易赤字の拡大傾向は同国の通貨ペソに減価圧力がかかる一因となっている。

輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の約5割を占める電子製品は同13.5%増(前月:同4.9%増)と再び上昇した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、計測制御機器(同0.3%増)が低調だったものの、主力の半導体デバイス(同9.2%増)と電子データ処理機(同12.2%増)が大きく上昇した。その他9品目は総じて増加した品目が多かった。ココナッツオイル(同15.7%増)や金属部品(同14.8%増)や電子機械・部品(同5.9%増)、その他製造品(同0.8%増)、機械・輸送用機器(同0.1%増)が増加した一方、その他鉱物製品(同56.6%減)や化学(同34.3%減)、イグニッション・ワイヤーセット(同23.7%減)、バナナ(同2.4%減)が減少した。
(図表13)フィリピンの貿易収支/(図表14)フィリピン 輸出の伸び率(品目別)
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

(2018年08月08日「経済・金融フラッシュ」)

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