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- 貿易統計15年2月~輸出の回復基調、貿易赤字の縮小傾向は継続
■見出し
・貿易赤字の縮小が続く
・輸出は回復基調を維持
・貿易赤字はいったん解消へ
■要旨
財務省が3月18日に公表した貿易統計によると、15年2月の貿易収支は▲4,246億円の赤字となったが、赤字幅は市場予想(QUICK集計:▲10,150億円、当社予想は▲5,973億円)を大きく下回った。輸出は前年比2.4%(1月:同17.0%)と前月から伸びが大きく鈍化したが、原油価格の下落を主因として輸入が前年比▲3.6%(1月:同▲9.0%)と2ヵ月連続で減少したため、貿易収支は前年に比べ3,815億円の改善となった。
季節調整済の貿易収支は▲6,388億円の赤字となり、1月の▲4,123億円から赤字幅が拡大した。輸出入ともに前月比で減少したが、輸出の減少幅(前月比▲7.0%)が輸入の減少幅(前月比▲3.4%)を上回った。季節調整済の貿易赤字は3ヵ月ぶりに拡大したが、春節の時期のズレの影響で、輸出が1月に上振れ、2月に下振れしたことが大きい。基調としては貿易収支の改善傾向が続いている。
2月の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前月比▲5.0%(1月:同4.7%)、EU向けが前月比▲3.9%(1月:同3.5%)、アジア向けが前月比▲18.3%(1月:同12.7%)、全体では前月比▲6.1%(1月:同4.3%)となった。
2月はいずれの地域向けも減少したが、1月に高い伸びとなった反動による部分も大きい。特にアジア向けについては、昨年は1月末に始まった春節が今年は2月下旬だったため、1月の輸出が大きく押し上げられる一方、2月はその反動で大きく落ち込んだ。中国向けの輸出数量は1月の前年比12.3%から2月に同▲22.7%と急速に落ち込んだ。
1、2月の輸出数量指数(季節調整値)の平均を10-12月期と比べると米国向けが2.2%、EU向けが4.4%、アジア向けが0.8%、全体では0.6%高くなっている。均してみれば輸出は回復基調を維持していると判断される。
輸入価格の低下に加え、ここにきて輸出の回復基調が明確となっていることから、東日本大震災以降4年にわたって赤字を続けてきた貿易収支は15年度入り後にいったん黒字に転換する可能性が高い。ただし、原油価格(ドバイ)は世界経済の回復に伴う需要の持ち直しや採算悪化を受けた生産量の抑制を背景に先行きは上昇基調となる可能性が高い。また、輸入数量も国内需要の回復を受けて増加ペースが高まることが見込まれる。このため、貿易赤字はいったん解消するものの、そのまま貿易黒字が定着する可能性は低いだろう。
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2015年03月18日「経済・金融フラッシュ」)
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