- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計14年12月~10-12月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・貿易赤字の縮小が続く
・輸出は持ち直しの動きが明確に
・10-12月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに
■要旨
財務省が1月26日に公表した貿易統計によると、14年12月の貿易収支は▲6,607億円の赤字となったが、赤字幅は市場予想(QUICK集計:▲7,351億円、当社予想は▲7,014億円)を下回った。輸出が前年比12.9%(11月:同4.9%)と1年ぶりに前年比で二桁の高い伸びとなる一方、輸入が前年比1.9%(11月:同▲1.6%)と輸出を大きく下回る伸びとなったため、貿易収支は前年に比べ6,460億円の大幅改善となった。
季節調整済の貿易収支は▲7,121億円の赤字となり、11月の▲8,325億円から赤字幅が縮小した。輸出が前月比2.0%(11月:同1.0%)と前月から伸びを高める一方、輸入が前月比0.1%(11月:同▲0.6%)と3ヵ月ぶりに増加したものの輸出の伸びを大きく下回った。
12月の貿易赤字(季節調整値)は直近のピークであった14年1月(▲17,742億円)から1兆円以上縮小したが、原油価格の急落は貿易統計にはまだ一部しか反映されていない。足もとの原油価格はWTI先物、ドバイ原油ともに1バレル=40ドル台半ばとなっているが、12月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=79.2ドル(当研究所による試算値)で、それよりも30ドル以上高い。通関ベースの原油価格は15年1月以降も大幅に下落し、貿易赤字の縮小傾向が続くだろう。なお、通関ベースの原油価格はすでに下落基調が明確となっているが、液化天然ガスの価格は現時点ではまだ高止まりしている。日本の天然ガスの調達価格が原油価格連動型の長期契約となっているため、市場価格の反映が遅れているためと考えられる。
10-12月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)で見ると、米国向けが前期比2.5%(7-9月期:同▲1.7%)、EU向けが前期比1.5%(7-9月期:同▲1.5%)、アジア向けが前期比3.1%(7-9月期:同1.7%)、全体では前期比2.4%(7-9月期:同0.9%)であった。海外経済は米国が好調を維持する一方、欧州、アジア経済は弱めの動きとなるなど全体として回復ペースは緩慢にとどまっているが、円安による押し上げ効果が顕在化することにより輸出はいずれの地域向けも持ち直しの動きが明確となりつつある。
12月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、2014年10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比2%台前半の増加、輸入が前期比1%弱の増加となることが見込まれる。この結果、10-12月期の外需寄与度は前期比0.2%(年率1%程度)となり、7-9月期の同0.1%からプラス幅が拡大することが予想される。
(2015年01月26日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/31 | 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
| 2025/10/31 | 鉱工業生産25年9月-7-9月期の生産は2四半期ぶりの減少も、均してみれば横ばいで推移 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/10/31 | 雇用関連統計25年9月-女性の正規雇用比率が50%に近づく | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/10/30 | 潜在成長率は変えられる-日本経済の本当の可能性 | 斎藤 太郎 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年11月10日
「推し」とは何なのか(1)-「推し選」に対して思うこと -
2025年11月10日
グローバル株式市場動向(2025年10月)-米主要テック企業の好業績などから上昇が継続 -
2025年11月10日
米関税政策がもたらすインフレ圧力-9月CPIにみる足元の動向とリスク要因 -
2025年11月10日
中国の物価関連統計(25年10月)~コアCPIの上昇率が引き続き拡大 -
2025年11月10日
ブラックフライデーとEコマース~“選ばない買い物”の広がり-データで読み解く暮らしの風景
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【貿易統計14年12月~10-12月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計14年12月~10-12月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスにのレポート Topへ










