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- 2025年4-6月期の実質GDP~前期比0.2%(年率1.0%)を予測~
2025年07月31日
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● 4-6月期は年率1.0%のプラス成長を予測
2025年4-6月期の実質GDPは、前期比0.2%(前期比年率1.0%)のプラス成長になったと推計される1。
国内民間需要は、建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で住宅投資が前期比▲1.7%の減少となったが、高水準の企業収益を背景に設備投資が前期比1.0%と底堅さを維持し、物価高の影響が若干和らいだことから、民間消費が同0.3%と前期から伸びを高めた。公的需要(政府消費、公的固定資本形成)も増加したため、国内需要が2四半期連続で増加した。
外需寄与度は前期比0.2%(前期比年率0.6%)と2四半期ぶりのプラスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比2.5%、財貨・サービスの輸入が同1.8%と予測する。米国の関税引き上げが4月から本格化しているが、日本の輸出企業が自動車を中心に価格の引き下げで対応したことから、実質ベースの財輸出は底堅い動きとなった。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が0.1%(うち民需▲0.0%、公需0.1%)、外需が0.2%と予測する。
名目GDPは前期比1.4%(前期比年率5.5%)と7四半期連続で増加し、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比1.1%(1-3月期:同0.9%)、前年比3.1%(1-3月期:同3.3%)と予測する。国内需要デフレーターが前期比0.2%(1-3月期:同1.0%)の上昇となったことに加え、円高・原油安の影響などから輸入デフレーターが前期比▲6.3%となり、輸出デフレーターの下落幅(同▲2.8%)を大きく上回ったことがGDPデフレーターを押し上げた。
なお、8/15に内閣府から2025年4-6月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2025年1-3月期の実質GDP成長率は、民間消費、外需の上方修正などから、前期比年率▲0.2%のマイナス成長から同0.2%のプラス成長へ上方修正されると予想している。
当研究所では、2025年1-3月期GDP2次速報が公表された6月時点では、2025年4-6月期はトランプ関税の影響を主因としてマイナス成長になると予想していたが、数量(実質)ベースの輸出が想定よりも上振れたことなどから、プラス成長を確保したとみられる。
しかし、米国向けの輸出価格引き下げは国内企業の収益悪化をもたらしており、このことが先行きの国内需要の下押し要因となることが懸念される。収益の大幅悪化を伴う値下げを長期間続けることは難しく、すでに日本の主要自動車メーカーは米国での販売価格の引き上げに踏み切っている。米国での値上げは日本車の価格競争力の低下につながるため、今後、米国向けの輸出は数量ベースでの下押し圧力が高まる。7-9月期は輸出の落ち込みを主因としてマイナス成長となる可能性があるだろう。
1 7/31までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
国内民間需要は、建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で住宅投資が前期比▲1.7%の減少となったが、高水準の企業収益を背景に設備投資が前期比1.0%と底堅さを維持し、物価高の影響が若干和らいだことから、民間消費が同0.3%と前期から伸びを高めた。公的需要(政府消費、公的固定資本形成)も増加したため、国内需要が2四半期連続で増加した。
外需寄与度は前期比0.2%(前期比年率0.6%)と2四半期ぶりのプラスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比2.5%、財貨・サービスの輸入が同1.8%と予測する。米国の関税引き上げが4月から本格化しているが、日本の輸出企業が自動車を中心に価格の引き下げで対応したことから、実質ベースの財輸出は底堅い動きとなった。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が0.1%(うち民需▲0.0%、公需0.1%)、外需が0.2%と予測する。
名目GDPは前期比1.4%(前期比年率5.5%)と7四半期連続で増加し、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比1.1%(1-3月期:同0.9%)、前年比3.1%(1-3月期:同3.3%)と予測する。国内需要デフレーターが前期比0.2%(1-3月期:同1.0%)の上昇となったことに加え、円高・原油安の影響などから輸入デフレーターが前期比▲6.3%となり、輸出デフレーターの下落幅(同▲2.8%)を大きく上回ったことがGDPデフレーターを押し上げた。
なお、8/15に内閣府から2025年4-6月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2025年1-3月期の実質GDP成長率は、民間消費、外需の上方修正などから、前期比年率▲0.2%のマイナス成長から同0.2%のプラス成長へ上方修正されると予想している。
当研究所では、2025年1-3月期GDP2次速報が公表された6月時点では、2025年4-6月期はトランプ関税の影響を主因としてマイナス成長になると予想していたが、数量(実質)ベースの輸出が想定よりも上振れたことなどから、プラス成長を確保したとみられる。
しかし、米国向けの輸出価格引き下げは国内企業の収益悪化をもたらしており、このことが先行きの国内需要の下押し要因となることが懸念される。収益の大幅悪化を伴う値下げを長期間続けることは難しく、すでに日本の主要自動車メーカーは米国での販売価格の引き上げに踏み切っている。米国での値上げは日本車の価格競争力の低下につながるため、今後、米国向けの輸出は数量ベースでの下押し圧力が高まる。7-9月期は輸出の落ち込みを主因としてマイナス成長となる可能性があるだろう。
1 7/31までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
● 主な需要項目の動向
・民間消費~物価高の影響緩和で伸びが高まる~
民間消費は前期比0.3%と5四半期連続の増加を予測する。
民間消費は前期比0.3%と5四半期連続の増加を予測する。

2025年4-6月期の消費関連指標を確認すると、自動車販売台数は前期比4.0%(1-3月期:同▲0.4%)、延べ宿泊者数(うち日本人)は前期比0.5%(1-3月期:同▲2.8%)と増加したが、外食産業売上高は前期比▲0.0%(1-3月期:同0.8%)の横ばいにとどまり、小売業販売額指数は前期比▲0.7%(1-3月期:同▲0.3%)と減少した(いずれもニッセイ基礎研究所による季節調整値、外食産業売上高、小売販売額指数は消費者物価指数で実質化)。
・住宅投資~駆け込み需要の反動で減少~
住宅投資は前期比▲1.7%と2四半期ぶりの減少を予測する。
住宅投資は前期比▲1.7%と2四半期ぶりの減少を予測する。
・民間設備投資~高水準の企業収益を背景に底堅さを維持するも、先行きは慎重化~
民間設備投資は前期比1.0%と5四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2025年1-3月期の前期比▲1.3%の後、4-6月期は同1.9%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2025年1-3月期に前期比3.9%と2四半期連続で増加した後、4、5月の平均は1-3月期を▲0.5%下回っている。
日銀短観2025年6月調査では、2024年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が3月調査から▲1.4%下方修正され、前年度比6.9%(実績)となった後、2025年度の設備投資計画は2025年3月調査から4.8%上方修正され、前年度比8.7%となった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いている。ただし、トランプ関税の影響もあり、先行きの企業行動はより慎重化する可能性が高い。
民間設備投資は前期比1.0%と5四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2025年1-3月期の前期比▲1.3%の後、4-6月期は同1.9%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2025年1-3月期に前期比3.9%と2四半期連続で増加した後、4、5月の平均は1-3月期を▲0.5%下回っている。
日銀短観2025年6月調査では、2024年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が3月調査から▲1.4%下方修正され、前年度比6.9%(実績)となった後、2025年度の設備投資計画は2025年3月調査から4.8%上方修正され、前年度比8.7%となった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いている。ただし、トランプ関税の影響もあり、先行きの企業行動はより慎重化する可能性が高い。
・公的固定資本形成~4四半期ぶりの増加~
公的固定資本形成は前期比1.1%と4四半期ぶりの増加を予測する。
公的固定資本形成は前期比1.1%と4四半期ぶりの増加を予測する。

外需寄与度は前期比0.2%(前期比年率0.6%)と2四半期ぶりのプラスを予測する。財貨・サービスの輸出が前期比2.5%の増加となり、財貨・サービスの輸入の伸び(同1.8%)を上回ったことから、外需が成長率を押し上げた。
2025年4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比0.4%(1-3月期:同2.2%)、EU向けが前期比3.7%(1-3月期:同▲2.0%)、アジア向けが前期比0.2%(1-3月期:同0.1%)、うち中国向けが前期比▲2.7%(1-3月期:同0.2%)、全体では前期比0.8%(1-3月期:同▲0.7%)となった。
中国向けは弱い動きとなったが、EU向けは持ち直し、米国向けは関税が引き上げられた中でも数量ベースでは横ばい圏で踏みとどまった。
(2025年07月31日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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