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- QE速報:1-3月期の実質GDPは前期比▲0.2%(年率▲0.7%)-4四半期ぶりのマイナス成長、外需の落ち込みを内需がカバーできず
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2025年05月16日
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● 1-3月期は前期比年率▲0.7%と4四半期ぶりのマイナス成長
本日(5/16)発表された2025年1-3月期の実質GDP(1次速報値)は、前期比▲0.2%(前期比年率▲0.7%)と4四半期ぶりのマイナス成長となった(当研究所予測4月30日:前期比▲0.2%、年率▲0.9%)。
財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%の減少となる一方、財貨・サービスの輸入が前期の落ち込みの反動もあり、同2.9%の高い伸びとなったことから、外需寄与度が前期比▲0.8%(前期比年率▲3.3%)と成長率を大きく押し下げた。
高水準の企業収益を背景に設備投資は前期比1.4%の高い伸びとなったが、物価高の影響で民間消費が前期比0.0%と低迷したことから、国内需要は2四半期ぶりに増加したものの、外需の落ち込みをカバーするには至らなかった。
名目GDPは前期比0.8%(前期比年率3.1%)と6四半期連続で増加し、実質の伸びを大きく上回った。GDPデフレーターは前期比0.9%(10-12月期:同0.6%)、前年比3.3%(10-12月期:同2.9%)となった。民間消費を中心に国内需要デフレーターが前期比1.0%(10-12月期:同0.5%)と前期から伸びを大きく高めたことがGDPデフレーターを押し上げた。
2025年1-3月期のGDP1次速報と同時に、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定された。実質GDP成長率は2022年4-6月期が前期比年率3.2%から同3.8%へ、2024年10-12月期が前期比年率2.2%から同2.4%へ上方修正される一方、2024年7-9月期が前期比年率1.4%から同1.0%へ下方修正された。また、2023年10-12月期は前期比年率0.1%のプラス成長から同▲0.2%のマイナス成長へと下方修正された。この結果、実質GDPは2023年7-9月期から2024年1-3月期まで3四半期連続のマイナス成長となった。
2024年度の実質GDPは前年比0.8%(2023年度は0.6%)、名目GDPは前年比3.7%(2023年度は4.9%)といずれも4年連続のプラス成長となった。GDPデフレーターは前年比2.9%(2023年度は4.2%)と3年連続のプラスとなった。
財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%の減少となる一方、財貨・サービスの輸入が前期の落ち込みの反動もあり、同2.9%の高い伸びとなったことから、外需寄与度が前期比▲0.8%(前期比年率▲3.3%)と成長率を大きく押し下げた。
高水準の企業収益を背景に設備投資は前期比1.4%の高い伸びとなったが、物価高の影響で民間消費が前期比0.0%と低迷したことから、国内需要は2四半期ぶりに増加したものの、外需の落ち込みをカバーするには至らなかった。
名目GDPは前期比0.8%(前期比年率3.1%)と6四半期連続で増加し、実質の伸びを大きく上回った。GDPデフレーターは前期比0.9%(10-12月期:同0.6%)、前年比3.3%(10-12月期:同2.9%)となった。民間消費を中心に国内需要デフレーターが前期比1.0%(10-12月期:同0.5%)と前期から伸びを大きく高めたことがGDPデフレーターを押し上げた。
2025年1-3月期のGDP1次速報と同時に、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定された。実質GDP成長率は2022年4-6月期が前期比年率3.2%から同3.8%へ、2024年10-12月期が前期比年率2.2%から同2.4%へ上方修正される一方、2024年7-9月期が前期比年率1.4%から同1.0%へ下方修正された。また、2023年10-12月期は前期比年率0.1%のプラス成長から同▲0.2%のマイナス成長へと下方修正された。この結果、実質GDPは2023年7-9月期から2024年1-3月期まで3四半期連続のマイナス成長となった。
2024年度の実質GDPは前年比0.8%(2023年度は0.6%)、名目GDPは前年比3.7%(2023年度は4.9%)といずれも4年連続のプラス成長となった。GDPデフレーターは前年比2.9%(2023年度は4.2%)と3年連続のプラスとなった。
<需要項目別の動き>
民間消費は前期比0.0%の横ばいにとどまった。雇用所得環境は改善が続いているが、物価高による下押し圧力が強まったことが消費の低迷につながった。実質賃金上昇率は特別給与の高い伸びを主因として2024年10-12月期は前年比0.4%と11四半期ぶりに増加に転じたが、特別給与がほとんど支給されない2025年1-3月期は、名目賃金の伸び率鈍化と物価上昇ペースの加速が重なり、同▲2.1%と再びマイナスとなった。
実質家計消費の内訳を形態別にみると、被服・履物、家具などの半耐久財(前期比3.0%)、外食、旅行、宿泊などのサービス(同0.4%)は増加したが自動車、家電などの耐久財(同▲1.5%)、食料品などの非耐久財(同▲0.5%)が減少した。
雇用者報酬は、名目・前年比4.3%となり、10-12月期の同5.6%から伸びが大きく鈍化した。2024年10-12月期はボーナスの高い伸びが雇用者報酬を押し上げたが、基本的にボーナスが支給されない2025年1-3月期にはその影響が剥落した。実質雇用者報酬は前年比1.0%(10-12月期:同3.2%)と3四半期連続で増加したが、前期から伸びは大きく鈍化した。名目雇用者報酬の伸びが鈍化したことに加え、家計消費デフレーターの上昇率が拡大したことが実質の伸びを抑えた1。
住宅投資は前期比1.2%と2四半期ぶりに増加した。新設住宅着工戸数(季節調整済・年率換算値)は2024年度入り後、概ね70万戸台後半で推移していたが、2025年3月には108.0万戸へと急増した(四半期ベースでは2024年10-12月期:77.8万戸→2025年1-3月期:88.6万戸)。2025年4月の建築基準法改正(省エネ基準適合の義務化、4号特例の縮小等)を控えた駆け込み需要が発生したとみられる。
住宅着工戸数は2025年4月以降、駆け込み需要の反動で落ち込むことが想定される。住宅投資は住宅価格上昇の影響などから基調としては弱い動きが続いていると判断される。
設備投資は前期比1.4%と4四半期連続で増加し、10-12月期の同0.8%から伸びを高めた。日銀短観2025年3月調査では、2024年度の設備投資計画(含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が2024年12月調査から▲1.5%下方修正され、前年度比8.4%(全規模・全産業)となった。また、2025年度の当初計画は前年度比2.2%となり、2024年度当初計画の伸び(前年度比4.5%)を下回った。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いているが、トランプ関税の影響もあり、先行きの企業の投資行動はより慎重化する可能性が高い。
公的需要は、政府消費(前期比▲0.0%)、公的固定資本形成(同▲0.4%)がいずれも小幅な減少となった。
外需寄与度は前期比▲0.8%(前期比年率▲3.3%)と2四半期ぶりのマイナスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%の減少となる一方、財貨・サービスの輸入が前期の落ち込みの反動もあり、同2.9%の高い伸びとなったことから、外需が成長率を大きく押し下げた。
米国向け輸出は増加したが、自動車関税引き上げ前の駆け込みにより押し上げられていることを割り引く必要がある。すでに自動車関税は引き上げられており、4月以降に米国向け輸出が大きく落ち込むことは不可避と考えられる。
1 内閣府は2025年1-3月期1次速報から、従来の名目雇用者報酬を家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISM)デフレーターで除したものに加え、家計最終消費支出デフレーターで除した実質雇用者報酬を公表することとなった(いずれも参考値)。2025年1-3月期の実質雇用者報酬は前者が前年比1.0%、後者が同1.6%である。
民間消費は前期比0.0%の横ばいにとどまった。雇用所得環境は改善が続いているが、物価高による下押し圧力が強まったことが消費の低迷につながった。実質賃金上昇率は特別給与の高い伸びを主因として2024年10-12月期は前年比0.4%と11四半期ぶりに増加に転じたが、特別給与がほとんど支給されない2025年1-3月期は、名目賃金の伸び率鈍化と物価上昇ペースの加速が重なり、同▲2.1%と再びマイナスとなった。
実質家計消費の内訳を形態別にみると、被服・履物、家具などの半耐久財(前期比3.0%)、外食、旅行、宿泊などのサービス(同0.4%)は増加したが自動車、家電などの耐久財(同▲1.5%)、食料品などの非耐久財(同▲0.5%)が減少した。
雇用者報酬は、名目・前年比4.3%となり、10-12月期の同5.6%から伸びが大きく鈍化した。2024年10-12月期はボーナスの高い伸びが雇用者報酬を押し上げたが、基本的にボーナスが支給されない2025年1-3月期にはその影響が剥落した。実質雇用者報酬は前年比1.0%(10-12月期:同3.2%)と3四半期連続で増加したが、前期から伸びは大きく鈍化した。名目雇用者報酬の伸びが鈍化したことに加え、家計消費デフレーターの上昇率が拡大したことが実質の伸びを抑えた1。
住宅投資は前期比1.2%と2四半期ぶりに増加した。新設住宅着工戸数(季節調整済・年率換算値)は2024年度入り後、概ね70万戸台後半で推移していたが、2025年3月には108.0万戸へと急増した(四半期ベースでは2024年10-12月期:77.8万戸→2025年1-3月期:88.6万戸)。2025年4月の建築基準法改正(省エネ基準適合の義務化、4号特例の縮小等)を控えた駆け込み需要が発生したとみられる。
住宅着工戸数は2025年4月以降、駆け込み需要の反動で落ち込むことが想定される。住宅投資は住宅価格上昇の影響などから基調としては弱い動きが続いていると判断される。
設備投資は前期比1.4%と4四半期連続で増加し、10-12月期の同0.8%から伸びを高めた。日銀短観2025年3月調査では、2024年度の設備投資計画(含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が2024年12月調査から▲1.5%下方修正され、前年度比8.4%(全規模・全産業)となった。また、2025年度の当初計画は前年度比2.2%となり、2024年度当初計画の伸び(前年度比4.5%)を下回った。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いているが、トランプ関税の影響もあり、先行きの企業の投資行動はより慎重化する可能性が高い。
公的需要は、政府消費(前期比▲0.0%)、公的固定資本形成(同▲0.4%)がいずれも小幅な減少となった。
外需寄与度は前期比▲0.8%(前期比年率▲3.3%)と2四半期ぶりのマイナスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%の減少となる一方、財貨・サービスの輸入が前期の落ち込みの反動もあり、同2.9%の高い伸びとなったことから、外需が成長率を大きく押し下げた。
米国向け輸出は増加したが、自動車関税引き上げ前の駆け込みにより押し上げられていることを割り引く必要がある。すでに自動車関税は引き上げられており、4月以降に米国向け輸出が大きく落ち込むことは不可避と考えられる。
1 内閣府は2025年1-3月期1次速報から、従来の名目雇用者報酬を家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃及びFISM)デフレーターで除したものに加え、家計最終消費支出デフレーターで除した実質雇用者報酬を公表することとなった(いずれも参考値)。2025年1-3月期の実質雇用者報酬は前者が前年比1.0%、後者が同1.6%である。
(2025年4-6月期は2四半期連続のマイナス成長となる公算大)
2025年1-3月期は4四半期ぶりのマイナス成長になったが、前期の反動で外需が大幅マイナスとなったことがその主因で、均してみれば景気は緩やかな回復基調を維持している。ただし、先行きは関税引き上げに伴い輸出、国内生産が大きく下押しされることは不可避と考えられる。国内需要の回復が緩やかにとどまる中で輸出が減少することから、現時点では4-6月期の実質GDPは2四半期連続のマイナス成長になると予想している。
2025年1-3月期は4四半期ぶりのマイナス成長になったが、前期の反動で外需が大幅マイナスとなったことがその主因で、均してみれば景気は緩やかな回復基調を維持している。ただし、先行きは関税引き上げに伴い輸出、国内生産が大きく下押しされることは不可避と考えられる。国内需要の回復が緩やかにとどまる中で輸出が減少することから、現時点では4-6月期の実質GDPは2四半期連続のマイナス成長になると予想している。
(2025年05月16日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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