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- 2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
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2025年04月30日
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● 1-3月期は年率▲0.9%のマイナス成長を予測
2025年1-3月期の実質GDPは、前期比▲0.2%(前期比年率▲0.9%)と4四半期ぶりのマイナス成長になったと推計される1。
財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%の減少となる一方、財貨・サービスの輸入が前期の落ち込みの反動もあり、同2.5%の高い伸びとなったことから、外需寄与度が前期比▲0.6%(前期比年率▲2.5%)と成長率を大きく押し下げた。
高水準の企業収益を背景に設備投資は前期比0.9%の増加となったが、物価高の影響で民間消費が前期比▲0.0%と低迷したことから、国内需要は2四半期ぶりに増加したものの、外需の落ち込みをカバーするには至らなかった。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が0.4%(うち民需0.4%、公需0.0%)、外需が▲0.6%と予測する。
名目GDPは前期比0.6%(前期比年率2.5%)と4四半期連続で増加し、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比0.9%(10-12月期:同0.6%)、前年比3.2%(10-12月期:同2.9%)と予測する。民間消費を中心に国内需要デフレーターが前期比1.2%(10-12月期:同0.4%)と前期から伸びを大きく高めたことがGDPデフレーターを押し上げた。
なお、5/16に内閣府から2025年1-3月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、実質GDP成長率は2024年7-9月期が前期比年率1.4%から同1.1%へ下方修正される一方、2024年10-12月期が前期比年率2.2%から同2.4%へ上方修正されると予想している。
この結果、2024年度の実質GDPは前年比0.8%(2023年度は0.7%)、名目GDPは前年比3.7%(2023年度は4.9%)といずれも4年連続のプラス成長となると予想する。GDPデフレーターは前年比2.9%(2023年度は4.2%)と3年連続のプラスとなるだろう。
2025年1-3月期は4四半期ぶりのマイナス成長になったとみられるが、前期の反動で外需が大幅マイナスとなったことがその主因で、均してみれば景気は緩やかな回復基調を維持している。ただし、4-6月期は米国の関税引き上げに伴い輸出、国内生産が大きく下押しされることは不可避と考えられる。国内需要の回復が緩やかにとどまる中で輸出が減少することから、現時点では4-6月期は2四半期連続のマイナス成長になると予想している。
1 4/30までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%の減少となる一方、財貨・サービスの輸入が前期の落ち込みの反動もあり、同2.5%の高い伸びとなったことから、外需寄与度が前期比▲0.6%(前期比年率▲2.5%)と成長率を大きく押し下げた。
高水準の企業収益を背景に設備投資は前期比0.9%の増加となったが、物価高の影響で民間消費が前期比▲0.0%と低迷したことから、国内需要は2四半期ぶりに増加したものの、外需の落ち込みをカバーするには至らなかった。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が0.4%(うち民需0.4%、公需0.0%)、外需が▲0.6%と予測する。
名目GDPは前期比0.6%(前期比年率2.5%)と4四半期連続で増加し、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比0.9%(10-12月期:同0.6%)、前年比3.2%(10-12月期:同2.9%)と予測する。民間消費を中心に国内需要デフレーターが前期比1.2%(10-12月期:同0.4%)と前期から伸びを大きく高めたことがGDPデフレーターを押し上げた。
なお、5/16に内閣府から2025年1-3月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、実質GDP成長率は2024年7-9月期が前期比年率1.4%から同1.1%へ下方修正される一方、2024年10-12月期が前期比年率2.2%から同2.4%へ上方修正されると予想している。
この結果、2024年度の実質GDPは前年比0.8%(2023年度は0.7%)、名目GDPは前年比3.7%(2023年度は4.9%)といずれも4年連続のプラス成長となると予想する。GDPデフレーターは前年比2.9%(2023年度は4.2%)と3年連続のプラスとなるだろう。
2025年1-3月期は4四半期ぶりのマイナス成長になったとみられるが、前期の反動で外需が大幅マイナスとなったことがその主因で、均してみれば景気は緩やかな回復基調を維持している。ただし、4-6月期は米国の関税引き上げに伴い輸出、国内生産が大きく下押しされることは不可避と考えられる。国内需要の回復が緩やかにとどまる中で輸出が減少することから、現時点では4-6月期は2四半期連続のマイナス成長になると予想している。
1 4/30までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
● 主な需要項目の動向
・民間消費~物価高の影響で低迷が続く~
民間消費は前期比▲0.0%の横ばいを予測する。
雇用所得環境は改善が続いているが、物価高による下押し圧力が強まったことが消費の低迷につながった。実質賃金上昇率は特別給与の高い伸びを主因として2024年11、12月はプラスとなったが、特別給与がほとんど支給されない2025年1月、2月は物価上昇ペースの加速もあり、それぞれ前年比▲2.8%、同▲1.5%の大幅マイナスとなった。
民間消費は前期比▲0.0%の横ばいを予測する。
雇用所得環境は改善が続いているが、物価高による下押し圧力が強まったことが消費の低迷につながった。実質賃金上昇率は特別給与の高い伸びを主因として2024年11、12月はプラスとなったが、特別給与がほとんど支給されない2025年1月、2月は物価上昇ペースの加速もあり、それぞれ前年比▲2.8%、同▲1.5%の大幅マイナスとなった。
・住宅投資~駆け込み需要で大幅増加も基調は弱い~
住宅投資は前期比2.9%の高い伸びを予測する。
住宅投資は前期比2.9%の高い伸びを予測する。
・民間設備投資~高水準の企業収益を背景に高い伸びも、先行きは慎重化~
民間設備投資は前期比0.9%と2四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2024年10-12月期の前期比2.4%の後、2025年1-3月期は同▲1.4%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2024年10-12月期に前期比2.3%と2四半期連続で増加した後、2025年、1、2月の平均は10-12月期を▲1.1%下回っている。
日銀短観2025年3月調査では、2024年度の設備投資計画(含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が2024年12月調査から▲1.5%下方修正され、前年度比8.4%(全規模・全産業)となった。また、2025年度の当初計画は前年度比2.2%となり、2024年度当初計画の伸び(前年度比4.5%)を下回った。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いているが、トランプ関税の影響もあり、先行きの企業行動はより慎重化する可能性が高い。
民間設備投資は前期比0.9%と2四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2024年10-12月期の前期比2.4%の後、2025年1-3月期は同▲1.4%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2024年10-12月期に前期比2.3%と2四半期連続で増加した後、2025年、1、2月の平均は10-12月期を▲1.1%下回っている。
日銀短観2025年3月調査では、2024年度の設備投資計画(含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が2024年12月調査から▲1.5%下方修正され、前年度比8.4%(全規模・全産業)となった。また、2025年度の当初計画は前年度比2.2%となり、2024年度当初計画の伸び(前年度比4.5%)を下回った。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いているが、トランプ関税の影響もあり、先行きの企業行動はより慎重化する可能性が高い。
・外需~成長率を大きく押し下げ~
外需寄与度は前期比▲0.6%(前期比年率▲2.5%)と2四半期ぶりのマイナスを予測する。財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%の減少となる一方、財貨・サービスの輸入が前期の落ち込みの反動もあり、同2.5%の高い伸びとなったことから、外需が成長率を大きく押し下げた。
外需寄与度は前期比▲0.6%(前期比年率▲2.5%)と2四半期ぶりのマイナスを予測する。財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%の減少となる一方、財貨・サービスの輸入が前期の落ち込みの反動もあり、同2.5%の高い伸びとなったことから、外需が成長率を大きく押し下げた。

米国向けは2四半期ぶりに増加したが、自動車関税引き上げ前の駆け込みにより押し上げられていることを割り引く必要がある。すでに自動車関税は引き上げられており、4月以降に米国向け輸出が大きく落ち込むことは不可避と考えられる。また、中国向けは2四半期連続で増加したが、2024年度前半の大きな落ち込みを踏まえれば、戻りは弱い。輸出は全体として横ばい圏の推移が続いている。
(2025年04月30日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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2025/04/18 | 消費者物価(全国25年3月)-コアCPI上昇率は25年度入り後も3%台が続く公算 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/17 | 貿易統計25年3月-1-3月期の外需寄与度は前期比▲0.6%程度のマイナス、4月以降の輸出の落ち込みは不可避 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
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