- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 中国・アジア保険事情 >
- ベトナム生命保険市場(2023年版)
2025年01月21日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
4――保有契約の状況
生命保険の保有契約は、個人保険と団体保険の合計件数が12,441,387件4、対前年比10.46%減となり、内訳として個人保険は12,440,568件、団体保険の総件数は819件(団体保険の加入者は213,813人)となっている。団体保険の規模は大きくない。
保有契約の収入保険料については上述の通り、156兆9890億ドン(9234億円)で、対前年比12.72%減となった。また、付保保険金額は7921兆3490億ドン(31兆281億円)で対前年比4.15%減となった。
保有契約の収入保険料ベースの会社別マーケットシェアであるが、各社の収入保険料ベースの新契約シェアの順位が入れ替わったにもかかわらず、上位社の前年からの順位の変動は生じなかった。
まず、老舗であるBao Viet Life(20.70%)はシェアを対前年比2.08%増加させ、2021年から連続2年首位を維持した。2021年からシェア2位であったManulife(16.40%)は2023年に3位に下落した。かわってPrudential(17.29%)が3位に上昇した。以下、Dai-ich(12.46%)、AIA(10.01%)、FWD(3.54%)、MG Ageas (2.97 %)、と続く(図表3)。
保有契約の収入保険料については上述の通り、156兆9890億ドン(9234億円)で、対前年比12.72%減となった。また、付保保険金額は7921兆3490億ドン(31兆281億円)で対前年比4.15%減となった。
保有契約の収入保険料ベースの会社別マーケットシェアであるが、各社の収入保険料ベースの新契約シェアの順位が入れ替わったにもかかわらず、上位社の前年からの順位の変動は生じなかった。
まず、老舗であるBao Viet Life(20.70%)はシェアを対前年比2.08%増加させ、2021年から連続2年首位を維持した。2021年からシェア2位であったManulife(16.40%)は2023年に3位に下落した。かわってPrudential(17.29%)が3位に上昇した。以下、Dai-ich(12.46%)、AIA(10.01%)、FWD(3.54%)、MG Ageas (2.97 %)、と続く(図表3)。
なお、保険金の支払状況(解約返戻金払戻を含む)であるが、総計で60兆410億ドン(3531億円)、対前年比41.07%増となっている。これらの給付のうちのほとんどは養老保険と投資連動型保険の満期保険金と解約返戻金である。株の暴落で解約が進んだことがうかがわれる。また、責任準備金は562兆80億円(3兆3059億円)、対前年比12.60%増となった。
4 このほか、特約(riders)が24,485,471件となっている。
4 このほか、特約(riders)が24,485,471件となっている。
5――販売チャネル
6――おわりに
2023年のベトナム経済そのものは成長基調であったが、輸出入の停滞が顕著で、株価も2023年はさえない展開が続いた。
この株価低迷を生命保険業界はもろに受けることとなった。もともと生命保険業界の主力商品は貯蓄・投資性商品であったが、2021年、2022年辺りは投資性商品に販売が集中する傾向にあった。そこに株価暴落が直撃して、全体として生命保険業界は新規契約販売が半分近くまで落ち込み、また個人エージェントが大幅に減少するなど大きな打撃を受けたとみられる。
また、このように生命保険商品が売れないことを受けたものであろうか、個人のエージェントは3割弱も減少することとなった。
私見ではあるが、これを契機とし、投資商品偏重の販売戦略を修正して、保障性の高い定期保険や終身保険などにも焦点が当たることを期待したい。
この株価低迷を生命保険業界はもろに受けることとなった。もともと生命保険業界の主力商品は貯蓄・投資性商品であったが、2021年、2022年辺りは投資性商品に販売が集中する傾向にあった。そこに株価暴落が直撃して、全体として生命保険業界は新規契約販売が半分近くまで落ち込み、また個人エージェントが大幅に減少するなど大きな打撃を受けたとみられる。
また、このように生命保険商品が売れないことを受けたものであろうか、個人のエージェントは3割弱も減少することとなった。
私見ではあるが、これを契機とし、投資商品偏重の販売戦略を修正して、保障性の高い定期保険や終身保険などにも焦点が当たることを期待したい。
(2025年01月21日「保険・年金フォーカス」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1866
経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
松澤 登のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/11 | 貸金庫契約とは-法的性質と実務 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
2025/02/20 | 2022偽情報に関する実施規範-EUにおける自主規制 | 松澤 登 | 基礎研レポート |
2025/02/13 | 選挙におけるSNS偽情報対策-EUのDSAにおけるガイドライン | 松澤 登 | 基礎研レポート |
2025/01/24 | 第三者委員会とは-内部調査委員会との相違 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【ベトナム生命保険市場(2023年版)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ベトナム生命保険市場(2023年版)のレポート Topへ